――少年少女、前を向け。
≪チルドレンレコード Ⅰ【自己解釈】≫
――とあるパーカーを被った男みたいに見える少女が歩いていた。彼女は耳に白いイヤホンをあて、街を歩いていた。
街は八月の半ばにもなり、暑さのピークである。そんな中歩く少女は、なんだか少し別の次元にいる人間にも思えた。
そして――それを嘲笑うかのように彼女は笑った。
**
――また、とあるところでは赤いジャージを羽織った少年が道を歩いていた。路地裏を知ったかのように歩き――たどり着いたのは、小さなドア。
もう彼は何度このドアにたどり着いたか、覚えてはいない。
しかし、このドアの前で感じる吐きそうなほど気だるくなる生ぬるさはもう体に染み付いていた。
彼は何も考えずに、ドアをノックする。彼の中に染み付く何もかもが溢れ出しそうになる。堪えて――扉を開けた。
**
「まだ視えない?」
まるでそんな声がどこかから聞こえてきそうだった。
少年はもうこの夏をどれくらい過ごしたことだろう。数えたら、気が狂うほどに彼はもう夏を体感していた。耳にたこが出来てしまうほど聞き慣れてしまったセミの声、眩しい太陽、窓から視える向日葵。どれもがもう見慣れた景色だった。
「……今日こそ、いや今度こそ……」
彼は、あるものをある人間から奪われ、繰り返していた。それは彼にとってどんなものにも代え難いものだった。
そして――彼は8月14日の空のもとへ。
**
フードを羽織るパーカーはこの時期には似合わない。
それは誰にだって分かりそうなことでもあるが、この少年には知らない風を装っているみたく、涼しげに考え事をしているのか、目を瞑っていた。
彼はあの日――躊躇した。だが、それは忘れたくても、忘れられないこと。忘れたい、忘れたい。だが、そんな脳裏から声が聞こえる。
「今だ、取り戻せ」
飽きるほどに聞いたその声に――セトは無言で頷いた。
つづく。
チルドレンレコード Ⅰ【自己解釈】
じんさんの曲まじかっけえ
本家:http://www.nicovideo.jp/watch/sm18406343
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まふまふ
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