「かぜまち」
(1A)
風を待つの 帆かけ舟
帰る場所を 探すため
ふるさとの空 今頃
花に染まるのだろう
(1A')
浅葱色の 水の上
萌黄色の 葉は流れ
瑠璃色した空は また
雨を静かに落とす
(1S)
言わぬが花 絵空事
伸ばす 伸ばす 両肱(りょうかいな)
指の隙間 きらり きらり
逃げて 此処(ここ)ら 其処(そこ)ら
(2A)
風の街の 丘の上
ひとつ影は 佇んで
そっと想い馳せる日々
花の枝(え)を手折りつつ
(2A')
若葉色の 葉はそよぎ
朱鷺色の 雲は流れ
翡翠色の ひとしずく
伝う頬紅の花
(2S)
独りよがり 世迷い言
零す 零す 抄(すく)い水
指の隙間 ぽとり ぽとり
逃げて 此処ら 其処ら
(3A)
種をまいた 過ちは
忍ぶことも 覚えずに
鮮やかな花をひらく
嬰児(みどりご)の夢の中
(3A')
枝を伸ばす 災いは
光あびて さんさんと
風に揺れて 騒ぎ出す
幼子(おさなご)の夢うつつ
(3S)
大人気ない 意地っ張り
落とす 落とす 宝物
指の隙間 ほろろ ほろろ
逃げて 此処ら 其処ら
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