嵐の眼
人の生活が過ぎ去って また何かが現れようとしている
感覚はすでに忘れ去られた
それでも残されたものが 歩みを止めやしないから
虚しささえ愛して進むんだ
遠くの景色は遠くに見えるまま
痩せこけた芥(ごみ)を打ち上げる
止まった時間はもう燃え尽きそうで
空を飲み込んだような顔をぶら下げて
儚い花畑を歩いていく
生暖かい風 一瞬が錨を上げた
始まりも終わりもこの眼の中
変わり果てた姿でただ何もいない檻を眺めていた
寡黙な曇が音を洩らした
一人じゃ生きれはしないから独りで死んだ姿を
抱きしめて今日を過ごすんだ
甲高い雄叫びが 姿を見せぬまま
足元を吹き攫っていく
穿った命でさえ青ざめていて
愛を吐き出したような顔をうつむかせて
何事もない町を歩いていく
途方も無い記憶 永遠が錨を下げた
始まるも終わるも この眼の中
無音を求めた人が 決して消せない音色を聴いた
いつだって最高の音楽は きみの産声だった
遥か上空の空洞に蓋が被さって
降り出した雨は 痛みのある寒気に満ちた恵みだ
空を飲み干したような顔を仰ぎ向いて
褪せた花畑を歩いていく
土砂降りの後には 現在が揺らぐことなく
始まりも終わりも 瞼の裏で
歩みは続いていく
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