私達のマスターは蒼と言ってかなり有名な音楽家だ。ただ、歳は13で私達より年下だからメイコ姉は蒼、て呼んでいる。でも他の人(・・・?)は私を除いて皆マスター、と呼んでいる。蒼ちゃんは「別に名前でも良いよ?」て言ってくれてるけどやっぱり遠慮してしまうらしい。
そんなこんなで蒼ちゃんの部屋の前。凄くドキドキする。フゥ、と息を一つ。そしてドアノブに手をかけ、キィ、と開ける。
中では蒼ちゃんが音を調節する機械を弄っている。右耳にヘッドホンを当てながら左手では忙しなく機械を調節している。その目は真剣そのものだ。
こういう時は声をかけずに暫く待つ。後ろ手でそっとドアを閉める。
パタン、と小さく音が出ると蒼ちゃんはこっちを見た。本当に耳が良い。何時もならこの後、
「リン、そっとドア閉めてね?こっち忙しいから」
と言うのに、今日は
「あ・・・待ってたよ、リン、こっち来て」
と言われた。今日はもう、本当に色々と可笑しい。
「此処に来たのは・・・レンの事だね?」
「えっ?」
蒼ちゃんはレンの事覚えていた・・・。その事実に嬉しさよりも驚きの方が先に出た。蒼ちゃんは「やっぱりね」と少し寂しそうな顔をして言った。
「レンがいなくなってもリンは覚えてた・・・か。いや、覚えてたんじゃなくて消せなかった、て言うのが正解かもね」
「・・・・・・・・・・・・・・・いなく・・・なった・・・?それどういう事蒼ちゃん!?」
私は身を乗り出して蒼ちゃんに迫っていた。
「・・・取り合えず・・・落ち着いて?ね?」
蒼ちゃんは私を宥め、椅子に座らせた。こういう時はやっぱり蒼ちゃんの方が年上に見える。
「・・・まあ正確にはいなくなったんじゃなくて元いるべき場所に還った・・・て所かな・・・」
「元・・・いるべき場所・・・って・・・此処じゃないの!?レンの居場所は・・・此処じゃないの・・・?」
私が聞くと蒼ちゃんは小さく頷いた。 そんな・・・。ボー然としている所に蒼ちゃんは ス、と何かを取り出し私に見せた。
「これ、何だ?」
「それ・・・」
忘れもしない。私とレンが入ってた、ソフト。
「この中にレンがいるの。一度も起動させてない状態でね・・・」
「起動・・・させてない・・・?それってどういう・・・?」
「これを買った去年の12月・・・。私は鏡音リンと鏡音レンを起動させようとした。けど、そのインストール中に事故が起きたの。ブレーカーが落ちたわけでもない、今でも原因不明の事故。でもそれは一瞬の事ですぐにパソコンは元の調子に戻った・・・。インストールした鏡音は大丈夫か、と思ってパソコンを見て驚いたよ・・・。だってリン、貴女はもう起動させてる筈の無いレンと話してたんだもの・・・。可笑しいと思いつつも私は貴方達をリン、レンとして歌を歌ってもらったの。 でも今日レンを電話で呼んだ時、凄く悲しそうな声だった。何となく不思議に思いつつ、レンを待ってたの。それでレンが来た時、あの子、何て言ったと思う?
『俺、もう此処にはいられません』 て言ったの」
「此処にはいられない・・・」
私が鸚鵡返しで言うと蒼ちゃんは頷いて話し出した。
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