※諸注意
・カイト×マスター(女性)
・妄想による世界観
・オリキャラ満載
・カイトは『アプリケーションソフト・VOCALOID・KAITO』の販促用に開発されたキャンペーン・イメージロイド(?)機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』

恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです

上記が許せる方は、自己責任でスクロールして本編へどうぞ








☆☆☆☆☆





※若干の流血、暴力描写あり



一体、何がどうしてこうなったのか。
カイトの強靭な腕で、力任せに壁に押し付けられ、痛む身体が悲鳴を上げている。
上半身が圧迫されて、うまく息ができない…。
ヤバい、オレ…死ぬかも。


シャングリラ・第十九話~暴走~

SIED・SINOBU


オレと一言二言会話を交わしたあと、突然カイトに襲われた。

「や…め、…痛いっ、カイ…ト…!!!」
「…篠武さん…、傍にいて…離れたくない、嫌だ…嫌だ…、」
掠れたオレの言葉は、振り絞るように出されたカイトの声にかき消され、届くことなく消えていく。
こうなった引き金は、多分『マスター』。
この子はきっと、オレにそれを望んでいたに違いない。
それが叶わないと知って…。

(…っ、それにしても…、)
なんて苦痛に満ちた、痛々しい音を出す子なんだろう。
溢れ出す負の感情が全身に伝わり、深い闇に飲み込まれる錯覚さえ呼び起こされる。
恐らく、カイトにはオレを殺しかけている意識はないんだろうが、掴まれた肩と背中に激痛が走り、今にも意識を失いそうだ。
動かそうとした両腕は、彼の肘で封じ込められる。
(どうせ、一度は死んだ身だ…、このまま死んだって…、)
カイトになら殺されてやっても構わないし、生に対する執着も…うーん、少しはあるかな?
でも、問題はその後だ。
我に返ったカイトが、人を殺めた罪悪感に絶望するかも知れない。
加奈さんや正隆さんに知られたら、処分…廃棄される恐れもある。
(それだけは、避けなければ、)
オレが死ぬ分にはよくても、この子は死なせたくはない。
カイトを追い詰めたオレが言えた義理じゃないが、これ以上傷ついて欲しくないと心底思えた。

「落ち…着け、…カイトっ!!!」
「嫌だ、…嫌…い、…やだ…ッ!!!!!」
「ぐっ!!??」
満足に制止の声さえ上げられない状態のオレに、身体を密着させ、より一層押さえつける。
思わずえづきながらも、今にも泣き出しそうな、蒼穹に濡れる瞳を見据えた。
…まずはこの拘束を、なんとかしなければ。
(仕方…ない、か、)
四肢の自由を奪われ、身動きができない状態でも、できる反撃技がある。
多少荒っぽいが、背に腹は代えられない。
「…ゴ、メンな、」
オレは一言謝ると、鼻先が触れ合うほど近くにあるカイトの唇に、思い切って喰らいついた。
口の中に広がる、赤い液体とえぐい味。
ああ…怪我、させちゃったな…。
「…っ!!!!!!!!!!」
瞬間、怯んだカイトが僅かに身を引く。
力が緩んだ隙を見計らい、お互いの身体にできた隙間に膝を割り込ませ、勢いよく腹を蹴り飛ばした。
「がっ!!!!!」
仰向けに倒れ、床に背中を強かに打ちつけた彼に、今度はオレが馬乗りになる。
「…ったく。いいか、ほら…何も考えるな。オレの声だけ聞いて、この鼓動だけ感じろ、」
カイトの頭を胸に抱き、できるだけ穏やかに語りかけながら、オレの心臓の鼓動にあわせて、優しく背中をさする。
「ゆっくり呼吸して…、落ち着いてきたか?」
しばらく抱きしめていると、彼の腕がおずおずと背に回された。
はぁ、…一時はどうなるかと思ったが、何とか死なずに済んだな、オレ。
顔を覗き込めば、見上げてくる青い瞳と視線が絡む。
「篠…武、さん…?」
「お、意識戻ったか?よしよし、」
オレの身体にしがみつくカイトの髪を優しく梳きながら、囁くように語りかける。
「痛かったろ、…悪かったな、」
「…いえ、オレの方こそ…すみま、せん…、」
傷ついた唇を指で拭ってやると、まだ何処かぼんやりした様子のカイトの頬が緩む。
…コイツ、本当に可愛いやつだな。
「篠武さんと、離れないといけないと思ったら…、」
「うん、わかってる。何も言うな、」
いや、違うな。
言わなきゃいけないのは、オレの方だ。
この子が望んだものを、何一つ与えてあげられないのなら…せめてその理由を明かすのが、義務だろう。

「カイト、ちょっと話そうか、」
目を閉じれば、今でも鮮明に思い出せる。
あの日の真っ赤な夕焼けと、それに染まった視界の中…横たわる、二つの黒い影。

オレはカイトに、すべてを話した。


☆☆☆☆☆


白く湯気の立つ浴室で、シャワーに紛れた涙が落ちる。

あの子はオレの話を聞いて、一応理解はしたようだ。
…あの様子だと、納得はしてないみたいだけどな。


洗面台の鏡を覗き込み、濡れた髪をタオルで拭っていたオレは、ふと自身の肩口に視線が止まった。
暴走したカイトに、力一杯掴まれたせいか、見事なまでに、歪な指の形に鬱血している。
「…右肩に、紫の…か。…あー、マズったな…、」
これは覚悟した方がいい、間違いなく痣になって…しばらく残る決定だ。
零れたため息は、諦めか呆れか。
オレは軽くシャツを羽織ると、カイトの眠る寝室へ戻った。


最終話へ



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

シャングリラ・第十九話~暴走~【カイマス】

リンレンのあの曲、大好きなんです。

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閲覧数:207

投稿日:2011/08/24 12:57:34

文字数:2,233文字

カテゴリ:小説

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