(なんて楽しそうに歌うんだろう)

こちらまで笑顔になってしまうような、そんな歌だった。
ルカとは全然違うのに、それでも心が震えた。
胸が熱くなる。

歌いたい。

締め付けていた喉を破って叫んでしまいそうな衝動が湧き上がってくる。

「ぁ……」

しかし衝動だけでは声は出ず、口を開いても風が通るばかり。
どうしても二人のように軽やかに声を出せず、
出そうとすればするほど力が入って、ミクはうなだれる。

「どうだった?」
「どうだった?」

歌い終わった二人がミクの顔を覗き込んでくる。

「気に入らなかった?」
「好きじゃなかった?」

沈んだミクの様子に二人は不安げになった。

「ううん、違うの。二人ともすごい上手で、すごいすてきだった」

あわてて顔を上げ、二人の頭を撫でる。
ふかふかしたウサ耳の感触が気持ちいい。

「歌いたいって思ったの。二人みたいに」

「あたしたちはミクじゃないよ」
「ミクはぼくたちじゃないよ」

「だからあたしたちみたいに歌おうとしてもだめだよ」
「ミクはミクらしく歌おうとしないとだめだよ」

「わたしらしく……」

ルカのように歌えといわれ続けてきた。
ルカのように歌いたいと思った。
今は二人のように歌いたいと思った。

誰かのように歌うということしか教えられてこなかった。
考えてこなかった。
だから、ミク自身の歌は、どんな歌なのか。
ミクには思いつけなかった。

「だから探しに行こう」
「ミクの歌探しに行こう」

二人は再びミクの手を取って引っ張る。

「うん、行こう」

さっきまですくんでいた足はもう動く。
まだ声は出せないけれど、気持ちは歌を求めていた。



歩いていると聴こえてくる。
木々の歌、花の歌。
どこからか運ばれてくる。
風の歌、水の歌。

この国には歌が溢れている。

けれど、そのどれもミクの歌ではないように思えた。

「ミクが歌いたいと思う歌がミクの歌だよ」
「ミクが歌おうと思う歌がミクの歌だよ」

二人はミクの手を引いて楽しそうに笑った。

そのとき、遠くから歌声が響いてきた。

「女王様の歌だ」
「歌を召される時間だ」

女王の歌だといわれた歌。
その歌声は。

「ルカ姉さん……」

紛れもなく、ルカの声だった。


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【物語】うたをさがして 4

歌とお話でのお話のお話部分その4
歌詞はあとでまとめて書く予定

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閲覧数:95

投稿日:2011/03/31 16:05:29

文字数:984文字

カテゴリ:小説

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