そして、その日の夜。大学内の雅彦の部屋。雅彦は部屋に戻ってくると、まずのびをした。
 「ああ…、やっと終わった。何で教授の会議ってあんなに長くなるんだ…。もっと早い時間に会議を始めれば良いのに」
 不満をこぼす雅彦。そう言いながらも冷蔵庫から出した飲み物を片手に雅彦あての連絡をチェックする雅彦。ひととおりチェックを終えると、荷物をまとめて、部屋をあとにする。
 大学の建物をあとにし、帰り道を歩く。いつもと何の変わり映えもしない帰り道だが、暗い街路とは逆に、雅彦の心は明るかった。家に帰ればミクが待っていてくれる、と言うことだけで気分が軽くなるのだ。ミクの明日の仕事に響くかもしれないが、もしそうミクが判断したならば休んでいるだろう。雅彦は以前よりもっとミクのことを信じるようになった。それが、今回の喧嘩の件で雅彦が成長したところの一つである。そうこうしているうちに、雅彦は家まで辿り着いた。
 「ただいま」
 「お帰りなさい」
 雅彦の声が聞こえたのか、玄関まで迎えに着たミク。二人揃ってリビングへいく。キッチンとテーブルには夕食の残りが置かれていた。
 「雅彦さん、夕食、温めます」
 「お願いするよ」
 そう言って夕食の残りを温めるミク。雅彦はその光景を見守っていた。夕食が大体温まり、器に盛られた所で、自分のお茶碗にご飯をよそう。夕食が揃った所で、雅彦は食べ始めた。
 「ミク、今回のワールドツアーってどんな感じだったの?」
 「はい、アジア、オセアニア、欧州、アフリカ、南北アメリカ大陸と、色んな所を回りました。色んな国の色んな人たちからの声援を受けました」
 「確かに、色んな国の曲が流れていたね」
 雅彦はミクと仲直りしてから、今までの遅れを取り返すため、動画配信されている今回のワールドツアーの全てのライブを見たのだ。雅彦が普段使わない言語の曲もそれなりにあったが、動画配信の場合、作られた言語の他に日本語の歌詞がセットで流れるようになっているため、大体の雰囲気は理解できた。
 「楽しかったかい?」
 「実は…、雅彦さんと仲直りするまでは、雅彦さんとのことが心の重しになって、あんまり楽しくありませんでした。ですけど、雅彦さんと仲直りしてからは、いつもどおり楽しかったです」
 「…そうだったんだ、ごめん」
 「良いです。もう済んだことですし」
 「それじゃ、ワールドツアーで世界一周してきて長い間頑張って来たミクに、ご褒美をあげないとね」
 「何ですか?」
 嬉しそうに言うミクに雅彦は近づき、キスをする。二人とも、しばらく互いの唇の感触を味わっていた。
 「…とりあえず今はこれだけ。日を改めて何かちゃんとしたものをプレゼントするよ」
 「本当ですか?嬉しいです」
 「…それじゃ、片づけようか」
 「はい」

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初音ミクとパラダイムシフト3 エピローグ4節

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投稿日:2017/03/06 23:05:17

文字数:1,167文字

カテゴリ:小説

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