崩れた足元を睨む顔が
終わりなき旅で地べたを濡らす
もつれた平和がゴミと散らばり
もうここまでだとため息をつく
さすらうばかりの鳥たちも
光に食われて花を咲かせる
眠った獣が穏やかに歌い
血を求めるものはどこにもいない
果ても終わりも失われ
風のささやきが時を満たすだろう
誰も来ないで
私は一人きり
夢の最後を飾る旅人
遠くから響く鐘の音が
空っぽの町をそっと満たす
息吹きの遺りは形を忘れ
砂塵に撒かれて天へと消えた
鉄塔から望む景色のなかに
影という影が揺れては消える
生まれたすべてが幻となり
最後の席はただ一人のために
夜の静寂に抱かれて
深い眠りだけが安らぎを呼ぶだろう
誰も知らない
私は一人きり
夢の末期を看取る旅人
目覚めはいずれ忘れていく
昇る太陽は身を凍らせて
獣も鳥も言葉を失い
歌い手たちはこの地を去った
地上をめぐる風だけが
私に寄り添い手を取るだろう
誰も来ないで
私は一人きり
夢の最後を飾る旅人
誰もいらない
私は一人きり
夢の最後を謳う旅人
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