浴槽の底
爪先の青
散るよに泳ぐ
魚みたいだね
ばれないようカーテンを引こう
わたしが傍にいてあげるから
きっと二度とは来ない逢瀬だ
そんな二人だ
呼びかけた名前、蕩けたの
もう帰りなどしないんだって
あなたが引かないこの手なら
砂になってもいいんだって
そこへ行きたいけど
そこへ行きたいけど
浴槽の底
爪先の赤
泳ぐよに散る
躯みたいだね
泣けないよう神経を切ろう
わたしが傍にいてあげるから
ずっとあなたを待っていたんだ
そんな そんな 独白
告げかけた嘘も、失くしたの
まだそのときではないんだって
あなたが言えない言葉なら
吸い込んじゃえばいいんだって
浅はかなんだけど
浅はかなんだけど
夏の匂いが漂って
わたしはまた少し寂しくなる
踝だけが溺れてた
下がった水、置いてけぼりのまま
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