ねぇ
私と踊ってくださいます?


私を踊らすのではありませんよ

私と踊るのです


どうですか?








































































私は絡繰
作られた存在


真っ白な冷たい肌
それを覆うのはとっても小さいお洋服

フリフリがいっぱいなの
とってもとっても可愛いの


手はとっても小さくて、それでいてとっても精密
小さな足には左右ばらばらの靴
赤と茶

どうして一緒じゃないのかしら?


黄色い髪の毛はとってもとっても綺麗
頭の上には王冠
貴方がつけてくれたもの

とってもお気に入りなの







私はとってもとっても可愛くて綺麗なお人形

でもね、この美しさの理由は着飾っているだけじゃないの
何よりも美しい愛を貰ってるから


誰から貰ってるかって?



ふふ
教えなぁい
























私の両手両足を縛るのがこの糸


辿っていくと貴方のその手に辿り着く

この糸はね
貴方と私を繋ぐ大切な大切な糸


切れたらきっと自由になれるのね
でもでも、ダメ


だって、私、一人じゃ歩けないもの
一人じゃ動けない
一人じゃ笑えない


一人じゃ何も出来ないお人形なの
























さぁ、その糸を引いて下さい
私を動かしてみせて頂戴


この足は作り物
そうね
作り物

だけど、それが何だって云うの?



神に与えられた足を持ちながらも使わず、自ら切り落とす愚かな人間と比べたみて頂戴?
私に劣っている所なんてあるかしら?
























作り物
だけれどねとっても上手に踊れるの

あはは

とっても愉しいわ



どぉう?
ワルツなんて良いんじゃなくて?
一緒に踊りませんか?


ほら
音楽に合わせて
いちにさん
いちにさん


ふふ
愉快ね
























さぁ

動かすのは貴方
可憐に舞う蝶にするのも貴方
哀れに地面を這いずる尼にするのも貴方


さぁ
貴方のしたいように



全ては貴方次第なんだから
























ふわっと躰が浮く

足はくらくらくら
手もぶらぶらぶら



ちょっと……
髪の毛を引っ張らないで下さる?
痛いじゃない


だからって首を持てば良いって話じゃないのよ
きちんと手の平に乗せて頂戴


もう
ちゃんと糸で操ってくださらないと……



足はね球体でくっついてるの
手もそうだけれどね

くるくる回るのよ

ふふ
何故かしらね
とっても楽しいわ
























私はお人形だから
お人形だから、普段は喋らないで貴方を見つめる
とっても悲しい存在なの


だけどね、その分美しさを持ってるわ
人間には無い美しさ

何と云うのでしょうか?



人間は醜いわ



つまらないことで争い、血を流す
己の欲望のままに動き、そして自我に飲み込まれる


唯一美しいと思っていた愛だって、そんなものじゃなかった
愛なんて、この世で最も醜いものなのかもしれないわね

私の目に美しく映った理由
それはこの世のものと思えないほどの美しさの仮面を被っていたから
正面から見ているだけではダメだったの
でも、後ろから見てみたらすぐに分かったわ

愛はとてもとても醜いということにね
























でも
それは一方的な見方なのかもしれないわね

もしかしたら
もしかしたら、人間は醜いだけではないのかもしれない


でも私はお人形なの
お人形には難しいことは分からないわ

人間になったら分かるかもしれないけどね
























私の夢はこの両足で踊ること

貴方に踊らされてばかりだから
少しは自由が欲しいのよ



でも、私はお人形
この糸が切れることは無い


この糸が切れるとき
その時、私はもう人形じゃない

人間にでもなっているのかしら?



糸が切れるだなんて、そんなことはきっと起こらない
分かっているわ
だからお願い

さぁ
糸を引いて頂戴?
























私は絡繰

作られた物
お人形なの


お人形が一人で動けると思う?


無理よね

だから貴方のその手が必要なの
分かるかしら?


誰かが居ないと何も出来ないから
一人じゃ何も出来ないから、この糸がついてるの


貴方は人間なんだから分かるでしょう?

人間にはお人形と違って脳があるのよね
私はお人形だから考えることが出来ないわ
でも貴方には分かる


ねぇ、そうでしょう?








































































貴方が声をかけてくる



『おはよう』



うーん
どういう意味の言葉なの?
お人形、理解できません


だって、考えるための脳が無いから
人間と同じにしないでほしいわ



貴方が外へ繋がるガラスを覆ってる布を開く
光が差し込む



私の硝子に光が入る

痛いわ……

おかしいわね
私の目は硝子製
光なんて跳ね返すだけの存在なのに



貴方は、綺麗な櫛で私の髪をといてくれる

私の自慢の一つ
絹糸の毛なの
とってもサラサラで、動く度に私を輝かせる存在


でも、欠点が一つ

寝癖がね
一度つくと、なかなか取れないのよ
毎朝貴方がこうやってお手入れをしてくれなかったら、ごわごわになって髪の毛の妖精達はとっくに死んでいた筈よ
























今日は躰が重いわ

貴方、ちょっと手を抜いてるんじゃなくて?
ちゃんとしてくれないと、可憐に舞えないじゃない



あぁ
もう動く気が失せたわ
私は動かない
やるなら勝手にやってなさい

私は知らないわ
一人で遊んでなさい
動かすなら一人で悲しく動かしなさい

私は手伝わないわ
ただ、貴方が勝手に遊ぶって云うんなら別に止めはしないけど
























あぁ
今日の舞台はとっても悲しい物語なのね

私はそのヒロイン
皆から嫌われて独りぼっちの哀しい子を演じるの

そのヒロインとは、貴方のことなの?





嫌われ者は辺りを見渡します
周りには、自分を嘲り笑ってきた悪い奴らがいます

嫌われ者、回ります
ぐるんぐるんです


嫌われ者は止まりました
目の前に広がるのは真っ赤な海です


やったーやったー


嫌われ者を嫌う者はいなくなりました


わーいわーい





今日の舞台は楽しかったわ
またこんなお話を演じたいわ


私が気に入ったのは、お話もそうだけど、お洋服
とっても可愛いのよ
赤と黒のお洋服でね


えぇ
とっても綺麗だわ

普段のお洋服も好きだけど、こっちの方が好き



まぁ
舞台用のお洋服だからね
普段からは着れないわよね
























私はお人形だから、自分で着たいお洋服を選べない
人間は、自分で着たいお洋服を選ぶわ

私が人間になったら、きっと毎日フリフリで可愛くて綺麗なお洋服を着るわね
それでね、頭には今よりもっと大きな王冠をつけるの
周りの人間には、召使やメイドをやってもらうの



私はお姫様よ



可愛くて綺麗なお姫様
皆、きっと慕ってくれるわ
























でも結局の所、私はお人形でしかない
夢見たところで、それが叶うことはない

私はそれを無理やり理解してる訳じゃないの
きちんと理解して受け入れてるの



人間なんかじゃない
そう
私はお人形



自由を手に入れることが出来ても、汚れてしまうのは嫌
だから、お人形のままが良いの



でも、人間に興味が無いといったら嘘になるわね



難しいわ
お人形の脳では難しいことは考えられないのに……


無理なんかさせないでよ
























両の足はまだ動きません



でも夢見ます
私のこの足で、自分自身の力で踊ってみせるのです



貴方は驚くでしょうか?

ふふ
貴方の驚く顔が見てみたいわ





夢見ておきます
きっと、見るだけで終わるんです
だから、今だけは赦してください
























私はお人形

お月様と太陽さんが、何回入れ替わってもお人形
部屋に明かりが燈っても、部屋が闇に包まれていてもお人形
貴方の手によって舞うことが出来ても、所詮はお人形


そう
所詮はお人形なのよ



貴方とは対等になれない



貴方は私のマスター
ご主人様

私は貴方の玩具
お人形



お人形は何時だってマスターを求めてる
だって、マスターがいないと動けない
マスターがいないと踊れない

自由を手に入れれないのは、いてもいなくても変わらないこと
























私はお人形
お人形
お人形

お人形なの



だってね、私一人じゃ踊れないの
足が動かないわ

ほら
これで証明出来たわ



だって人間なら一人で踊れるんでしょう?

でも私は違う
一人じゃ踊れないの

貴方がいなくちゃ



ね?
























今夜も始まった貴方と私の舞台
今夜のお話はどんなお話?

なになにぃ?






皆から愛されるお姫様のお話なの?
へぇ



お姫様は皆から慕われていました
お姫様は只管平和に暮らしました
国も只管平和に時を流していました

そして、時間が来て閉幕です


平和なお話



何コレ
面白くない
ツマンない

こんなことが実際にあるとでも?
人間のくせに考えることも出来ないの?
























足がくらくらくら

あら?
くるくるは何処に行ったのかしら
アレがないと、手足が上手く動かないのよ



今朝光に貫かれた硝子

何故かしら
水がついてるわ

?

今日はお風呂には入ってないわ
どうして濡れてるの?

?

分からないわ

この世は謎だらけね
























私の夢はね、いつか叶うんですって
神様が云ってました


そうね
夢が叶ったら、まずは貴方と一緒に踊りたいわ
音楽に合わせて軽快に愉快に



あぁ
楽しみだわ
























私はお人形
今はお人形なの


もう、そんなこと言わないで
意地悪なんだから


私はお人形
お人形よ



だって、こんなにも可愛いのよ?
こんなにも綺麗なのよ?
この美しさは人間には持てないでしょう?
























操り人形はね、動かしてくれる人がいなくなった刻
その刻がその人形の寿命

どれだけ綺麗でも、どれだけ滑らかに動けても、動かしてくれるマスターがいなくなったらおしまい
もう塵も同然



壊れた玩具では誰も遊ばないの
























ねぇ
お願いします

一つだけ
最初で最期のお願い



この糸を引き千切って下さいな?



この糸が切れれば、もう私は誰にも操られない
自由を手に入れることが出来るの
何て素晴らしいことでしょう


自由を手に入れれるのよ?

あはは

私がずっと求めてきたことじゃない



糸が切れれば、私はもうお人形じゃない
一人のヒトとして生きていけるのよ

ヒトになったら毎日お洋服をいっぱい着るの
それから、美味しいものをいっぱい食べるの
それからそれから、貴方を手に入れる



今までずーっと、私で遊んできたでしょう?
じゃあ、次は私の番よね?

私が貴方を躍らせてあげるの
























夢ね夢

今の私はお人形
夢は、見るなら見るだけにしないとね



あんまりずっと見てると、夢と現実の区別が付かなくなるんですって
そんなことある筈ないのに

だって、この穢い現実の世界と己の美によって作られた夢が一緒になるだなんて……
そんなこと、ある訳ないじゃない
























あぁ、もう
これで云うのは最後だからね?

私はお人形
お人形なの



人間なんかじゃないわ
私が憧れているのも人間なんかじゃないの

私は自由を求めているだけ

それが人間だなんて、何時いったかしら?



さぁ

お人形はお人形らしく踊ります
貴方の手で踊らしてごらんなさい
























お人形は愛されるべき物なの
愛さえも貰えなくなったら、お人形は死んじゃうの

そんなの悲しいでしょう?
嫌でしょう?



ほら
愛を下さいな

理由なんていらないでしょう?
其処にお人形があるのだから、愛を注ぐ



何かおかしいことでも?



ほら
操り糸よ
特別にプレゼントよ

この糸で早く躍らせて下さいな
私がお人形で居続けるために
























もう
何回云ったら分かるのよ!?



止めてよ
止めて!



私はお人形
可憐で孤高の存在なの



そんな空洞に言葉を吹き込んだって何にも返って来ないわよ
だから、意味の分からない言葉を吹き込むのは止めて頂戴

操り人形は貴方の思う動きを何だってするわ
だけどね、お喋りは出来ないのよ

だからそんな言葉呟いたって無駄なの



もう
止めてってば!
























『ヒトなら自分の足で踊れる筈だよ』



その言葉は何?
理解出来ないわ

でも、その言葉は聞くとイライラする



もう聞き飽きた
五月蠅い
黙れ



何なの?
さっきまで、狂ったように操らされてたのはどっちなのよ!?

貴方が操ってるのはアレでしょう?
私があまりにも美しいから


ふふ
愚かね



私はね、特別品なの

愛を込められて作られ
愛によって育っていく


可愛い可愛いお人形




















(前のバージョンに続きます)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

絡繰賛歌  ……今日から5月だねー 部屋のカレンダーを捲ったら、ウェディング姿の秀●と明●がいたよー…………

ここまで読んで下さった貴方・貴女
ありがとうございます!


まずは素晴らしすぎて涙が出る原曲様
短すぎる3分間です
http://www.nicovideo.jp/watch/nm8897974






今回はmayukoさんの『絡繰賛歌』で書かせていただきました
mayuko様と呼ぶべきか?
そして、零奈さんのリクエストでもありました!


難かった……
一回目に聴いて『『自由な人間に憧れる、糸につながれた美しい人形』に憧れる少女』だ! って思ったんです
しかし……
書いてみるとそれが難しい
全然書けなかった……

ホントすいません

mayuko様
零奈さん
こんなところまで読んでくださってる方々

ホント、マジですいません






まぁ、気を取り直すと……
聴いた時の感想は上に書いてあるのともう一つ
『ロー●ンんん!!』
いや、単にその漫画を自分が好きなだけですけどww……

球体間接とかそうですよねー

話が分からない人すいません
ホント、こんな奴ですいません





ご意見・感想いただけると喜びます
明日、1日だけ学校があることも忘れて喜びます
もう、そのテンションで明日家に閉じこもると思います

よろしくお願い致します

閲覧数:408

投稿日:2011/05/01 14:22:20

文字数:5,968文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 零奈@受験生につき更新低下・・・

    さっそく読ませていただきました!
    いえいえ、アリサさんは充分すごいですw
    だってそんな発想零奈にはないですもん。
    mayukoさんはもうmayuko様です!
    そして私もロー●ン好きです。
    も、もう一つリクエストしていいですか?
    アリサさんが書くmayuko様の「エーヤ」が見てみたいです。
    ワガママ言ってすみませんw
    私のほうもリクエストを(書けたら)受け付けてます。
    でも、曲聴いて1日で作るなんてできませんw
    やっぱりアリサさんはすごいです!
    零奈でした~

    2011/05/01 17:27:58

    • アリサ

      アリサ

      感想、ありがとうございます!



      すごいだなんて……
      勿体無い御言葉ありがとうございますm(_ _)m


      そうですね!
      mayuko様ですねw!




      『エーヤ』了解致しました!

      mayuko様の存在を知ったのが、昨日でして……
      こ、これから聴いてきます!

      少々お待ちくださいませませー





      では、お言葉に甘えて(もし良ければですが)リクエスト(というのでしょうか?)を……

      自分は、書くの暗い方がは好きですが、実際自分が読むとなるとギャグの方が好きだったりする奴です
      なので、もし良ければギャグとか書いていただけたら……と

      いえ、嫌だったら全然いいんですよ?
      もし良ければ……


      更に言うと、カイトとかがくぽとかが変態なのが好みですww……

      2011/05/01 17:35:32

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