二人の男女が峠の茶屋で出会った。
男はフルフェイスのヘルメットを抱え、ギターをかついでいた。
女はジェット型ヘルメットを抱え、ベースギターを持っていた。
それぞれが茶屋の北と南にバイクを停めて来たらしい。
茶屋に入ったその男女は、店先でばったりと出会った。

男が女の顔を見て驚いたように言う。
「あれ?今日は用事があるから出かけるとか言ってなかったか?」
女も驚いたように男の顔を見た。
「何言っているの、君が募集した例の件に応募しにきたんじゃない」
「そうか、家でそう聞いたね」
よくわからない会話だったが、二人は知った顔らしい。
そんなやり取りでも納得したのか、この男女は落ち着きを取り戻し、
団子とお茶で一息入れていた。
そこに三人目の人物が現れる。

「よくバイクが突っ込んでくる峠の茶屋ってここかしら」
遠い目をした少女がふたりに尋ねる。
肩にはキーボードケースを担いでいるが、手には登山用のピッケルを持っている。
ひと山超えてきたらしく、威風堂々の本格登山スタイルだった。
男が登山家少女をちらと見ながらそれに応えた。
「ここは杵屋という店だよ。バイクが突っ込んでくる店なんて言うヤツはまあ、この俺くらいのものだ」
「じゃあ間違いないわ。街でバンドのメンバー募集を見かけたんだけど、今日ここで面接があると書いてあったので来たの」
そう言いいながら少女は男の返事を待たずに、肩にかけていたキーボードケースを下ろして縁台にピッケルを突き立て、奥に向かってお茶を注文した。
男の隣にいた女が登山家少女に向かって身を乗り出す。
「あら奇遇ね、実はこの子も」
もぐもぐと団子をほおばる男をつつくように指差しながら
「今日ここで、バンドのメンバー面接に来たのよ。あなたの言う面接の人は来ていないみたいだから、あたしたちのメンバーになる?」
「そうね、それもいいわね」
少女はあっさり承諾した。

登山家少女がまず名乗った。
「私の事はアンジェラとよんでちょうだい。この近所に住んでいるプロドラマー志望の学生よ」
「オッケー、アンジェラ。略してアンジーでいいかな」
「アンジェラでお願い」
「わかった、アンジー。ところでそれは本名かい?」
男は笑顔でそう尋ねた。
アンジェラと名乗った少女は焦点の合わない視線を男に向ける。
「本名は初音ミク。アンジェラってよんで」
「そうか、よろしく初音。俺の名はバカルディア、略してバカとよんでくれ」
「ルディアとよばせていただくわ」
初音の言葉を聞いているのかいないのか、男は後ろの女性を親指で指す。
「彼女は俺の姉でアフォーリアス、略して・・・」
「リアスとよばせていただくわ」
男の返事を待たずして初音がそう言い切った。
相変わらず遠い目をしていた。

男はメモ帳を取り出してページをめくった。
「ではさっそく打ち合わせるか、初音君はギターの応募で来たんだったな」
「ボーカル求むの募集で来たんだけど・・・それよりその、バカルディアとかアフォーリアスとか、本名なんでしょうね」
「うん、俺は戒人、彼女は迷子だ。二人揃ってバカ&ア・・・」
「カイトとメイコとよばせていただくわ」
「じゃあそういう事で打ち合わせだ、メイちゃんはギターだったね」
「あたしはボーカルという事になっていなかった?」
「そうだね、じゃあ俺がボーカルをやるよ」
「決まりね」
「よおし!じゃ、そろそろ行くとするか」
三人はいっせいに立ち上がり、荷物をかつぐと揃って北に歩き出す。
「で、どこに行くの?」
初音が腰掛けに置いてあったヘルメットをかぶりながら、戒人の方を向いて質問する。
「それは歩きながら考えるわ」
そう言う迷子に対してなのか、初音は標識を指差しながら、独り言のようにつぶやいた。
「それならその分かれ道を右よ」
戒人はピッケルをかざしながら、ふたりに明るく宣言した。
「オッケー、オッケー、じゃあ次は駅前の喫茶店『ランダム』で会おう!」
「じゃ、ね」
「さよなら」
お互い手を振りながら、三人はそれぞれの道を歩いていった。

【終劇】

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【電波小説】三人の音楽家

書いた後の感想:
なんか自分で読み返してみて、あまり面白くない・・・。
私が尊敬して止まないドリフターズやモンティパイソン、
そして神とあがめるクレイジーキャッツの才能、
その1%でもあればッ!

一時間くらいで考えて書きました。
スピードは自慢にならないですか?
あ、つじつまが合っている部分がひとつもない!と
思っていただけたら成功です。

閲覧数:208

投稿日:2008/05/14 06:19:28

文字数:1,682文字

カテゴリ:その他

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  • てきとう怪獣

    てきとう怪獣

    ご意見・ご感想

    HiBiKiさん
    あ、バイクは趣味ではなく実用ですw
    去年まで数年間、NHKの爆笑オンエアバトルを欠かさづ観ていて、
    コントがだいぶん身について来たような・・・。
    意味不明の電波人間が、けっこうすらすら描けました。

    そうですね、色々大変ですが、とにかく書くネタがある限り、
    続けていきます。ネタがなければそれまでですが、今のところ
    底をつく気配がないです。

    2008/05/29 22:40:40

  • HiBiKi

    HiBiKi

    ご意見・ご感想

     一通り見て、タラバさんの言うとおりバイクが趣味かなと思いました。
    しかし、ミクが茶屋にピッケル片手に違和感なく来るなんて斬新だと思います。
    しかもKAITOがバカと呼んでくれといった所もあえて逆を言ってないのがまたいい感じに思えてしまいます。
     いろいろ問題がありますが、がんばって乗り越えていきましょう!

    2008/05/29 22:02:57

  • てきとう怪獣

    てきとう怪獣

    ご意見・ご感想

    コメントどうもです!
    個性については後になって隠す必要がないと気づきました。
    途中でそれぞれの名前を明かす訳ですが、よく考えるとそれ以前も別に、
    キャラの正体を隠していた訳でもないし、流れ的にも最初から明かした方が
    良かったかもです。
    ちなみにあえて身体的特徴を書かないのは、せっかくキャラを借りて二次小説を
    やる以上、ビジュアルな説明は省こうと思ったからです。
    それまた余計な配慮でしたが・・・。

    2008/05/14 21:05:47

  • タラバ

    タラバ

    ご意見・ご感想

    なるほどwらしいですねw
    てきとう怪獣さんの趣味が丸わかりでいいと思います。

    一つ加えるなら、個性的な一人称や語尾、勝手にあだ名を付ける癖などで個人を特定しやすくなります。迷子(というとサケウメエしか思いつかないのですがw)の場合、台詞より鉄拳の方が早いとかw

    掲示板に上げていただいて良いのでは?

    ところで、ktttgさんの小説連投が叩かれた事実があり、小説投稿用コラボフォームを立てようかと思っているのですが。
    私が立てても良いですし、匿名で立てることも出来ますけど。よければ、ご意見お願いします。

    2008/05/14 19:51:38

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