床にお弁当 突き飛ばされた階段
転がっていた机 底でしか息ができない
日ごとに痣が増えていることを 母は知りえもしない
ほとんど帰ってこないくせに メモでだけ親のフリして
私が悪いのか 誰かが悪いのか
もう分からなくて とにかく死にたくて
今日も日々は続いて 今日も独り浮いて
走り出して逃げたくて 屋上の縁に立っていた
落ちていく命の中で
見えていた情景は
美しくも汚くもないのに
忘れられないような色をしていて
随分と長いこと
世界を眺めていたようで
そのままそっと目を閉じ
意識は沈殿していった
お父さんもお母さんも 私を愛してくれていた
いつも近くで見守っていて 怪我したら過保護なくらいで
夜遅く布団の中で 食器が割れる音を聞くようになって
父はいなくなった 母もいないことが多くなった
目を覚ましたら 白い天井が映った
辛いくらいに眩しい どうやら昼下がり
規則的な電子音 全身が痛い
握られている手 何日ぶりの母の顔
落ちてくる涙が胸に
母はなぜか泣いていて
抱きしめてきたその腕は
優しくて痛みはなかった
あの頃転んだときも
こうしてくれていたっけ
いつぶりだろうか
お母さんの泣き顔を見るのは
落ちてくる涙が頬に
私はなぜか泣いていて
わかっていたんだホントは
生きていたかったんだって
生きていていいんだって
思いたかったんだって
泣いて眠った 幼児のように
もう落としてしまわないように
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