食べる、ということ。
食べるという行為は、ただただ単純に食べものをひたすら噛んで、飲み込むこと。
食べるということは、体を作るということ。飲み込まれたものは、血となり肉となり骨となる。
食べるということは、皿の上にある命と一つになるということ。
私の体内に吸収されるものには味がある。辛かったり、甘かったりする。おいしかったり、まずかったりして、とても不思議。それに食材を『変身』させる人によって味は変わる。
これは私が小学二年生のときの話お母さんの友達のおばさんの家で食べた料理を食べたら、お母さん死んじゃった。おばさんはうれしそうに笑って小瓶を私たちに見せた。
「これね、隠し味なの。料理がとってもおいしくなるのよ。この料理には私の気持ちが篭っているの。」
「そうなの?おばさんありがとう。」
隣にいる弟のレンは半狂乱で何かを叫んでいる。父は私の手からスプーンと皿を取り上げおばさんが作った料理を、命をゴミ箱に捨てた。父も弟と同じ様に半狂乱になりながら私の頬をペチペチ叩いて何かを叫んでいる。痛いよ、お父さん。
「おばさん、ごめんね。食べれなくて。」
「いいのよ。リンちゃん、おばさん気にしてないわ。」
「ありがとね。また今度来るね。」
父は私の頬から手を放し固定電話のもとへ走っていった。お父さん、何をそんなに急いでいるの?どうしてそんな顔をしているの?
数分後、あまり聞き慣れないパトカーのサイレンが聞こえた。もしかしたら私悪い子としたのかな?どうしよう?
そんなことを考えたいたら私の元に父が駆け寄って私を抱きしめた。痛い、体折れる。え、ちょ、ギブギブ!!!
今でもあまり意味が分からない私はたぶん頭が弱いのだろう。
「リンちゃん、今日はリンちゃんの誕生日だから僕なんでも作ってあげるよ。」
「ミートパイ。」
ぽんっという間抜けな音を立てミートパイが皿の上に現れた。魔法みたいね。
「マカロン。」
私の口の中にマカロンがぶち込まれる。おいしい。
あ、忘れてた。
「レン、チョコ。」
「おいしく食べてね。リンちゃん。」
レンはニコニコと笑いながらボウルに入ったチョコを私にぶっかけた。口元まで垂れてきたチョコを舌で舐めとる。
さすがレン、おいしい。
「あ、レン。」
「なに?リンちゃん。」
「いただきます。」
食べるものも食べられるものも同じ命。そんなの知ってる。
私たちが普通に暮らしていけるのは地球上の何かが私たちの不幸を背負っているからなんだよ。
そして、私たちにもいつか必ずそれはやってくる。それに変わりはない。
「リンちゃん。」
「ん?なに?」
「Happy Valentine!!」
「えっ?ワンモアワンモア!」
「もういってやんない!!!」
「あはは、ありがとね。レン。チョコおいしいよ。」
いつか私も食べられる側に回るだろう。
あぁ、その時はどうか美食家のあなたに食べてもらいたい。
あなたと、ひとつになりたいの。
(食べることとは皿の上にある命とひとつになることである)
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