藍が海に溺れんと
星降る廻りに任せんと
なんぞ憐れとおもうなよ
淡いの間合いがみちみちて


いつか時代にある話
身薙ぎ首刈り血を散らし
落ち椿と唄われた
とある男が死んでいた

名無き村より名を馳せて
名無し子供よあわいの子
人の心も知らぬまま
太刀筋ばかりを覚えゆく

さらさらさらさ、さざれ笹
柏手ばかりと何を打つ
落ち椿に匂い無し
修羅の心にはな付かず


これか地獄と覚えしか
鉄に潰れた鼻先に
なよ竹より鈴が成り
鬼の魂掠めとる

他人(ひと)のことなど知れまいと
人間(ひと)知れずが泪花(なみだばな)
人でなしやと嘯けば(うそぶけば)
断てぬ筋こそ恋しけれ

さらさらさらさ、さざれ笹
柏手ばかりか何を打つ
落ち椿に色映り
修羅の詞が鬼を詠む


かしこくいみじき御お方
椿が鬼の潔さ
その白さが愛しいと
白矢に見立てた腹刃(はらやいば)

あれは鬼じゃと笛吹けば
あれが鬼じゃと指が立ち
花を枯らした人喰いに
どれが鬼かと笑うもの

さらさらさらさ、さざれ笹
幽世(かくりよ)より手が伸びた
知れず鬼やと落つ椿
焦がるものこそ人でなし


藍が空を満ち充ちる
星降る廻りに身を任す
なんぞ憐れと覚えたか
淡いの間合いよなよ竹の

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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薮の中

なよ竹が薮に紛れて、椿の花はひっそりと、墜ちてゆくのです。
人間らしい心に触れぬまま大人になった鬼武者と呼ばれた男を、人間臭さがなにより愛しいと思う神さまが隠しちゃうお話。

閲覧数:125

投稿日:2015/09/23 21:21:28

文字数:523文字

カテゴリ:歌詞

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