＃４２



ミクとカイトは、敵をせん滅し、施設に帰ってくる

すると、そこにはすでにメイコが帰ってきていた


「あ、メイコさん！無事でしたか！お疲れ様です！」


ミクが笑顔でメイコに近づく


「ええ……ちょっと、二人に話があるんだけど……」


けれど、メイコは真剣な顔でそういった


「何があったんだい？」


カイトはいち早くメイコのいつもと違うことに気づく


「実は……この間の……ミクにそっくりなバグがいて、名はシルルって……で、その子が教えてくれたんだけど……」



メイコは、ミクとカイトにシルルから得た情報を二人に話す

けれど、メイコはシルルに協力しないかといわれたことに関しては何も言わなかった


「ちょっと待って。それは信用できる情報なのか？そもそも、なんでそいつは、そんな情報を話したんだ？」


カイトが当然、警戒する


「なんでかはわからないけど、情報自体は信用してもいいと思うわ……実際、ゲートと呼ばれる黒い塊……あれから、彼女が出入りしているのを見ているし……攻撃があれから出てきたのだって見ているでしょう？」

「え……それじゃぁ……私たちが倒すバグ達も、かつては私たちと同じような存在だったっていうことも、信用するんですか？」


ミクが少し不安そうな顔をする


「それに関しては事実だろう、外の人間の過ちの歴史だからね……僕らも彼らも結局、外の人間に作られたという意味では一緒だろう……ただ、害を成すものか、それを排除するものかの差はあると思うがな」


この情報は、カイトにとっては、認識を変えるほどのことではないらしい


「……そうなると、私たちのやっていることって……一体何なのかしら……同じ【モノ】同士での戦いなんて……」


メイコがうつむく


「……それはもう何度も話したじゃないか。僕らはここを守る……たとえそれが、外の人間に押し付けられただけだとしてもだ……それが僕らの役目だ」


まるで、カイトは自分に言い聞かせるかのようにいった


「……そう、よね……私、ちょっと頭冷やしてくるわ……」


メイコはそういうと、外に出て行った


「あの……カイトさん？」

「ん？なに？」


ミクが不安そうな顔をしながら、カイトに近付く


「……メイコさん、大丈夫でしょうか……最近、かなり無理しているような気がします」


新人のミクでも、それを感じ取れるほど、ここ最近のメイコの気疲れは表面化していた


「あぁ……だが、だからといって、めーちゃんに抜けられると、ここを守りきれないからね……それは彼女もわかっているはずだ」


この施設を任されるカイトとしての責任と、古くからの戦友を心配するカイトとしての不安……

そのジレンマの中、カイトもまた、苦しんでいた















頭を冷やすといって、外に出たメイコ

遠く地平線を見つめる……


「メイコさん……もう、【別れの挨拶】はいいんですか？」


メイコの後ろには、ミクにそっくりな少女、シルルが立っていた


「ええ……」


メイコは振り向かずにそう答えた


「でしたら……メイコさんは先に行っててください。私には、まだ仕事がありますので……」

「わかったわ…………さよなら、カイト、みんな……ごめんなさい」


メイコは一度だけ施設の方をみると、黒い塊……ゲートの中へと自ら入っていった