「10」です。これは本当に見た夢を基にした話です。
パラレルでオリキャラが少し出ております。
若干描写がグロテスクかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。
パラレル、オリキャラ、グロ、全て大丈夫な方はスクロールで本編へどうぞ。










>>10



 例えばこれが本当の世界だったとしたら、俺は間違いなく発狂していただろう。いや、それだけで済めばまだいい方かもしれない。自暴自棄になって、自ら命を絶つか・・・ああ、そうかもな。
 閉じた目が熱くなるのを感じながら、そんな投げやりなことを考え続けた。
 ゲームの世界だからと言っても、この世界に生き残りはもうほとんどいない。もしも俺が最後の一人だとしたら・・・俺がここで殺されれば、ゲームオーバーになった連中も俺も本当に死んでしまうってことだ。そんなことはわかっているのに、目はまだ開けないし動けない。
 ああ、何て俺は無力なんだ。大事な親友も、パートナーも護れないなんて。
 二人の笑い声が響く中で、俺は自嘲的に笑った。
 そうしていると二人の笑い声が徐々に小さくなってぷつりと途切れる・・・数秒空けて、小さく二人の笑う声がした。
「ああ・・・僕らはあなたのようになりたかった」
「誰もがアナタを羨む・・・リンもレンも、一緒っス」
 静かに喋り出した二人の声は静寂の中に続く。
 あなたが羨ましい。
 自分の唯一大切な人を護っていけるアナタが。
 僕らには何もできなかった・・・僕らの自我は弱いから。
 でもアナタは違うっス。普通のナンバー付きの奴らとは違う。
 本物の心を持って、特別な力を持って、大切な役割を担った。
 自我を強く持っているアナタは、影響を受けるのが遅い。
 全ては、あなたがAAAだから。
 そうっス。全てはアナタがAAAだから。
「羨ましかった・・・」
「恨めしかった・・・壊したいと思うぐらい」
 くすくすとリンが笑い、レンが一つ息を吐き出す。
 ルカは・・・どうなった?
 声だけ聞いていても、わかるのはリンとレンが生きているということだけ。
「でも、もうそれも終わりっス」
 リンの口から零れた終焉を告げる言葉。それが意味しているのがどういう意味なのか、考えたくなかった。
 また体が震え出す。
 違う。・・・違う・・・?何を根拠に違うなんて言うんだ。
 考えれば考えるほど、背筋が凍るような気がした。
 ゲホッ、と誰かが咽る。それは小さく荒い息を数回して、大きく一つ深呼吸。
「マス、ター・・・ごめん、なさい・・・」
「ゲホゲホゴホッ・・・!・・・っま、す・・・た・・・・・・
 もう一度、どこか で 会えた ら ・・ ・  ま た  よ、   ろ   」
 途切れ途切れの言葉は、ぶつりと途切れて・・・ぱたっと小さな音がした。そうかと思った瞬間、じゃりっと俺の方へ近づいてくる足音。
「――もう目を開けて構いませんわ、シュン様」
 静かに囁かれた声に、弾かれたように瞼が上がった。
 目の前にいるのはルカ。視線を下げた先にいるのはハル。そして・・・ゆっくりルカの後ろに視線を向ければ、手を繋いで倒れているリンとレン。
 丁度腰の部分で二人とも真っ二つになっていて、繋がっていない方の手は・・・空っぽの二人の手は・・・ハルの頭が落ちている血溜まりに浮かんでいた。まるで、ハルの頭に触れようと無理やり伸ばしたような・・・そんな感じで。
「・・・死んだ・・・のか・・・?」
 音だけ聞いて、言葉だけで状況を理解しようとしていたせいか、目に映る光景をちゃんと整理できないでいる。何も言わないルカは、ただ静かに頷いて肯定の意を示した。
 ぼーっとしながら、ゆっくり立ち上がる。
 いまいち何が起こったのかよくわからないというか、自分自身の中のもやもやを晴らす場所がなくなってしまったどころか・・・それすら無理やり消されてしまったというか・・・。
 いや、そんなことより・・・最期、リンとレンが言ったことは何だというのか。ハルを殺しておいて、ごめんって?一体どの面下げて言ってんだ。もう二度と俺の親友を動かなくしたのはリンとレンだっていうのに。
 あれは何だ。一番最後に、皮肉か?
「いいえ・・・あれは本心ですわ」
「――っ・・・じゃあ聞くけどなぁ!それまでのあいつらは何だったっつーんだよ!?」
 しらっとした顔でハルを殺して、何の悪気もない・・・寧ろ満足そうな顔で高笑い。ごみか虫けらでも見るみたいな目で、俺を見てた・・・。
 あれは確かに本気の目だったはずだ。
 ルカを見ると、彼女はゆっくりと首を横に振る。その口が「あれは、」と言葉を紡いだ瞬間、ザザッと耳元でノイズが弾けた。
『――実に面白い余興ですね、AAAルカ。私の声が聞こえませんでしたか?』
 どこから響いているのかすらわからないほどの大音響。それでも不思議と耳を塞ぐ気にはならず、体に染み込んでいく。その声に、聞き覚えがあった。
 一体どこで聞いたのか。
「・・・私があなたごときの命令を聞くとでも思って?」
『そうだったわね。そんなことより・・・そこにいるシュンという男性には
 随分入れ込んでいるようね。せいぜい楽しみなさい・・・
 どのみち、ファザーから逃れられはしないわ』
 ブツッと音が響いて通信が切れる。
 その瞬間、ゲームを始める前の記憶が蘇った。その中で俺とハルに笑顔を向け、丁寧に声をかけてくれる女性・・・。
「・・・マジかよ」
 彼女が声の主で、ルカが言う命令というのをリンとレンが聞いて・・・もしもそれに二人が抗えなかったのだとしたら、本当の黒幕はさっきの女とその裏にいるファザーって奴だということになる。
 抗えないというのは、作られたキャラクターであるということから考えれば仕方のないことだ。あまり詳しくないからわからないが、絶対従順だろう。命令されたことしかこなさないものなのだから。ということは、リンとレンは・・・操られていた、だけ・・・?
 俺の思考はそこで停止させられた。
 ゴキンゴキンと盛大な音を響かせて、それはリンとレンの体を・・・喰らっていた。
「な、んだよ・・・共食い・・・?」
「ナンバーが016ですわね・・・吸収しているんですわ」
 経験と知識・・・その全てを。
 カニバリズムを目の前にして・・・内蔵をあさりズルズルと引きずり出したものを啜る姿を見て、気持ち悪くて仕方がない。そこにいた016のリンとレンは、ルカが殺した自分たちと同じリンとレンを喰らっていた。
 これで一つ謎が解けた。この辺りに落ちている死体は、こいつらがやったのだと。全て戦意を喪失させるために残酷に凄惨に見えるように仕組まれたものだったのだと。
 ふと、足元を見下ろす。ハルの体に向かって静かに目を閉じて一つ息を吐き出した。
 ごめんな、すぐにクリアしてやるから・・・それまで待っててくれ。
 目を開くと、ハルをマスターと呼んでいた双子の姿はなく、そこには016の双子が立っていた。その後方からぞろぞろと黒い影が近付いてくる。
「・・・本当ならばちゃんと最後のボスが現れるはずなのですが・・・」
「ああ・・・だろうな」
 多分本当は他の雑魚とは比べ物にならないモンスターがいて、そいつを倒して終わりってもんなんだろう。いや、そこから自分の好きな世界を作れるとかいうご褒美ってやつがあるのか。
 今はもう、そんなことはいい。
 ただ俺は、ハルを・・・皆を、この世界から出すことができるならそれでいいんだ。
 他にも生き残りがいるかもしれないし、いないかもしれない。だから、俺がやらなきゃならない。ただ、それだけのこと。
「ふー・・・腹括れ俺ぇ・・・」
 バチンと頬を手で叩いて気合を入れる。
 ただの一般人だし、自分のことで精一杯の俺が・・・何故かヒーローみたいなことしなくちゃならないってのはわかってる。もちろん俺はヒーローなんかじゃないし、全体的によく見積もっても中の上か上の下ってとこだ。そんな俺が、今プレイしてる人たちほぼ全員の命を預かってるって?・・・考えただけで気が遠くなる。
 でもやらなきゃ。
 倒れたハルの服の裾をビリビリやぶいて、それを手首に巻き付ける。
「っし!いくぞ、ルカ!」
「誰に言ってますの?」
 冷ややかな視線を向けられてにっと笑う。
 ぞろぞろと現れたパートナーキャラクターたちは、共食いを始めていた。それはスピードを上げ、黒く大きな禍々しい物体へと姿を変えていく。首をもいで、腕を折り、体を切り裂き、内臓を引き出して、全てを自分のものにするように広がる。それは随分と遠いところで繰り広げられていた。見えるところにいるやつらは、俺たちを敵とみなしているらしく、共食いどころじゃないみたいだ。
 俺たちは一呼吸置いて、その混乱の中へと走り出した。
 ハルとルカが傍にいるなら、多分大丈夫だなんてそんな気がしてたんだ。



 凄惨な光景は、悪夢そのものだった。
 閉じられたこの世界は最早ゲームではなく、俺の中で現実となりつつあった。いや、もう現実だった。
 二手に分かれて、俺は銃を持っていることすら忘れて必死に戦っていたんだ。俺よりも戦闘力の高いお前は、どんどん先に行ったよな。多分、一番後ろにいるでかいのを倒せば全部消えるって思ってたんだろう。俺もそうだと思って先を急いでた。
 ・・・それは多分、間違いじゃなかったんだけどな。

 どうしてなんだろうな?・・・神様はやっぱりいないのかもしれないって思ったよ。













>>11

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

Elysian 10

記念すべき二桁「10」突入!
というわけで・・・ラスボス戦?始まります。
できたら15回までにはおさめてしまいたい・・・そして早く新作を・・・!
そろそろ普通の日常編書きたいと思ってるので、次の話は日常編書きたいと思います。
・・・・・・我が家ボカロはどうしたって?
いやー・・・何かもう、「何それ、おいしいの?」状態です、すみませんorz

閲覧数:186

投稿日:2009/04/26 21:54:31

文字数:3,935文字

カテゴリ:小説

  • コメント7

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  • +KK

    +KK

    その他

    >>ちくろさん
    こんにちは、ちくろさん!
    では、今から拝見しに行きますっ!

    2009/04/29 15:10:31

  • こか

    こか

    ご意見・ご感想

    こんにちは。 ようやく全部できました。
    http://piapro.jp/content/98sc1tced4c1jar3

    2009/04/29 13:54:19

  • +KK

    +KK

    その他

    >>ちくろさん
    こんばんは、ちくろさん。二桁お祝いありがとうございます~。
    といってももうすぐ終わるのですけどね(笑
    シュンには本当に頑張ってもらいたいとこです。
    そして、ELYイラストの件・・・!本当に嬉しいです。ありがとうございます。
    これで今のところ連載物全てにイメイラ頂いたことに・・・すごいです。
    気に入っていただけたんだなと勝手に思って勝手に書くパワーいただいてますよ。
    暗いイメージがあるので「明るく」と言われてわくわくしてます。いろいろ期待して待ってますね!

    2009/04/27 19:58:28

  • こか

    こか

    ご意見・ご感想

    こんばんは~ちくろです。
    双子…!不憫な…;;シュンには頑張って頂きたい…
    そして二桁おめでとうございます。

    ELYイラストやや出来てきました。いたって健全ですので、ご安心ください(笑)
    まあ…小ネタも入ると思います(爆
    それはELYを明るく描こうという私の怪しい思考のせいです;

    2009/04/27 19:04:18

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