昼過ぎにあたし達プレイヤーはラウンジに呼ばれた。途中で会ったハレルさんと一緒にラウンジへ降りると浬音ちゃんが居た。相変わらずの護衛付きにハレルさんが少し眉をひそめる。
「お帰りなさい、浬音さん。」
「お帰り~。」
「ただいま…で良いんですかね?」
「あはは、それもそうね。でも良いんじゃない?」
「じゃあ、ただいまで。」
ここを離れていた理由は大体聞いていたので色々心配だったけど、元気そうでホッとした。と、柔らかい笑顔を見せる浬音ちゃんにハレルさんがそっと手を伸ばした。
「…何か良い事でも?」
「え…?」
「吹っ切れた様な顔に見えます。」
「あ…あの…!」
つくづく直球な人よね…悪気が無いのがまた凄いわ。なんて事を考えていたら、視界の端からにょきっと耳と手袋が現れて浬音ちゃんを引き寄せた。
「俺の、ですから。」
「………………………………。」
「ガキか、バカウサギ。」
「何とでも言ってくれて結構ですよ~?目を離したら狼さんが噛み付いて大変です
からねぇ~?」
「帽子屋さん、浬音さんに噛み付いたんですか?」
「ガタガタ煩いバカウサギだな。大体手前ェ昨日も人が吐きそうな横でイチャイチャ
ベタベタと…いっそY罪でワッパでもガチりてぇ程ふざけた真似しやがって…。」
「密さん!密さん素が出てます!」
え…?!帽子屋さん元ヤン…?!何だか黒い火花でも散ってそうな雰囲気になった所へ、丁度他のプレイヤーが降りて来た。毒気を抜かれた様に雰囲気が戻る。心底ホッとした所に台車を押しながら女の子が現れた。
「お待たせしましたー。皆揃ってますか?」
「木徒、いっぺんに運ぶな、落として割れたらどうすんだ?」
「そんなヤワな構造じゃないもん。はい、じゃあ一人一つずつこの箱持って行って
下さーい。あ、中身は同じです。」
よく判らないけど取り敢えず言われたまま箱を一つ手に取る。
「何これ?サングラス?イヤホンみたいのが付いてるけど…?」
「我が社が開発しましたモニター付きのイヤホンマイクです。このプラグを携帯に
ぶっ刺せば、無線で通話は勿論マイクロモニターで映像も見られます。GPS機能で
現在地なんかも表示可能。」
「うぉおおお!すげぇ!…ちょっと映像ちっちゃいけどな。」
「昔のSF映画に出て来そうだな。」
「でも何でこんな物を?次の課題に関係が?」
「うん。人が多いからこうでもしないと把握出来ないでしょう?」
「へぇ~、こんな薄型モニターかぁ~。」
皆新型モニターに夢中になって色々弄っていた。ん?今何か聞き捨てならない事言った様な。
「人が多い?」
「?…ええ、次の課題は招待客でこの施設いっぱいにするから。」
「えええええええええええええええ?!」
清々しい笑顔で言ってのけたけど、とんでもない事になりそうな予感がした。
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