「VOCALOID HEARTS」~第19話・巡音を訪ねて遥々と~

投稿日:2013/12/29 20:09:09 | 文字数:5,489文字 | 閲覧数:558 | カテゴリ:小説

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ピアプロの皆さん、新年明けましておめでとうございます!
…え?もう3月になる?

昨年も色々ありましたが、今回から再びMART編に入ります。ちょくちょく番外編も挟みながら、まだまだ遠い最終回まで持って行きたいと思います。皆さん、今年もまた宜しくお願いします!

重ね重ねですが、ピアプロの皆さんへのメッセージ返信遅れも含め、いつもブックマークしかできなくて、本当にごめんなさい…!
また仕返し…じゃなかった、お返しさせていただきます!

次回は20話に続きます!
今回も最後まで見て下さって、ありがとうございました!

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TEXT
 

 私たちの街に積もった雪も溶けはじめ、ようやく春の訪れが感じられるようになってきた。長かった冬も、いよいよ終わりを告げる。そんな時期に私たちがやってきたのは、まだ雪が降りしきる北の大地・北海道。一緒についてきたモモが観光気分になってしまっているけど、今回の目的はそうじゃない。リンちゃんの里帰りも含めた、MARTの緊急総会。それが私たちの目的。


「さて、北海道の名物と言えば何がある?」

「りんご!」

「それは青森ですわ…」


 まったく、この桃音モモは…私だけでなく、カイト総長も呆れてしまっている。いつものことだとは、分かっているけど…


「…ところでモモ、今回ここに来た理由は分かってるよな?」

「はい!ルカさんとの会合ですよね!」

「そうそう。ちゃんと俺の話を聞いていてくれたか」

「それから、観光とグルメ巡りですね!」

「…いや、それはしないが」


 歩きながら話す私たち3人の前を、リンちゃんとレン君が元気よく走り回っていた。その光景を見た私は、何気ない今この時間が、どれだけ平和なものなのかを感じた。昔の私が、戦いに明け暮れていた時と比べて。


「レン君! ほら、見て見て!」

「待ってよ、リンちゃん…!」


 この2人は、出会ってまだ1ヶ月ほども経っていない。けれど、お互いに共通しあうところが多かったのだろう。すぐに打ち解けて仲良くなった。まるで姉弟か、幼い恋人のよう。


「ふふっ、リンちゃんもレン君も元気がいいですわね」

「子供が活発なのが一番さ。小さいうちは、思いっ切りはしゃげってな」

「小さいうち、ね…」

「そういえばルナ、お前の幼い時っていうのは、どんな感じだったんだ? 思えば、今までそんな話をしたことがなかったな」

「ええ、そうですわね。でも私の意識があった時には、既に身も心も成長した状態でしたわ。だから子供の頃というものが、私にはないのです」

「そうか…」

「私も普通に生まれられたのなら、幼い思い出も作ることができたのかもしれませんわね…」


 私の頭の中で、忌々しい記憶が蘇る。初めて目覚めたのは、大量のチューブとコードで繋がれたカプセルの中だった。不気味に青光りするのが、いくつも。平和統括理事会の査察部隊・トリプルエー。それを最強の人造人間で構成させるためのサンプル候補として、私は造られた。AAA計画。後に知ったプロジェクト名だ。


「…どうですエリス様、ご覧下さい!」

「ん~、これはまた随分と綺麗な子だ」

「はい。容姿端麗で頭脳明快、更には戦闘能力においても特化させることに成功したアンドロイドです。我々はこれを、天の月から舞い降りた姫のような美しさから¨天音ルナ¨と名付けました。こちらのデータをご覧下さい。候補として十分以上の結果が得られました」

「…悪くないな!このブロンドガールは、どの面からも理事長のお側に仕えるのに、ふさわしいねぇ♪」

「いかが致しましょう?」

「よし、この子はメンバー決定だ!理事長も喜んでくれそうなステータスだよ。素晴らしい」

「ありがとうございます」

「ちなみにこの子、話はできるのかい?」

「ええ、少しだけですが…」

「ちょっとでいいからさ、喋れるようにしてくれないか?」

「分かりました」


 女性と見間違うほどの容姿をもったその男は、野望を秘めた瞳で私を見ていた。忘れもしない。あの男の顔は。


「XAー0815、返事をせよ」

「…はい、マスター。おはようございます」


 XAー0815。それは私の開発コード名。未だに自分の腕には赤字で「0815」と刻まれている。私の誕生日にちなんでいて、掻きむしっても消えることのない文字。それがまるで、理事会との離れられない運命を示唆しているように…感じる。


「おはようXAー0815。私の左にいるのは、理事会親衛隊長の現音エリス様だ」

「現音…エリス…? 理事会…親衛隊…?」

「随分しどろもどろだけど、大丈夫かい?」

「まだ意識がはっきりしていないようです。XAー0815、返答をせよ」


 その男、現音エリスはAAA計画の元締め。既に2人が候補に決定していたが、もう1人の選定に迷っていた。そんな時に天音ルナを見つけた。彼は大層、私を気に入ったようだった。


「エリス様…初めまして。私は…XAー0815と申します」

「ふふっ、挨拶もできて本当にいい子だ。ますます気に入ったよ。今日からキミの名前は、天音ルナだ!近いうち、ボクたち理事会のために活躍してもらうことになるかもね♪」

「天音…ルナ…?」

「…さてと、3人の候補も決まったことだし、AAA計画は一応の遂行といったところかな。残りのやつは、どうせ知れてるだろうし」

「は…はい」


 幸か不幸か、偶然か必然か。私がトリプルエーの候補に選ばれてしまったのは…こんな計画、何かの間違いで頓挫してしまえばよかったのに。私はこの世に生まれるべきではなかった。そう長らく苦悩した時があった。


「…………」

「ルナ、大丈夫か?」

「えっ…?」

「さっきから一言も喋らないから、どうしたのかと…」

「い、いえ…ちょっとした考え事ですわ」

「それならいいんだが。疲れているようなら、あまり無理するなよ」

「心配なさらなくても大丈夫ですわ、総長」


 それもみな、この人に救われた。トリプルエーに所属していた頃には「MARTは我ら理事会の目指す平和を乱す、目的の為なら手段を選ばない過激で陰湿なテロ集団」と教えられていた。その元凶が、カイト総長だと。ふふ、まったくとんでもない嘘を吹き込まれていたものね…馬鹿馬鹿しい。今、私の世界はガラリと変わった。いや、カイト総長が己の命をもって私を変えてくれた。そのおかげで、自分は日の下に出られた。月の明かりも射すことのない、深い深い闇の底から。カイト、私はあなたに出会えて本当によかった。
 彼の行く先には、彼の信じる未来が待っている。だから私は信じたの彼の後に、どこまでもついていく。盲目的になってるんじゃない。カイトと一緒なら、もう何も怖くないから。


「Excuse me?」

「はい、何でしょう?」


 再び意識を戻すと、向かい側から歩いてきた金髪碧眼の外国人の女性が、私たちに話しかけてきた。そのものぶりからして、何かを尋ねたい様子だった。一瞬、その女性は以前に会ったように感じたけれど…きっと気のせいだろう。


「Could you tell me how to get to station?」

「あ、えっと…もしかして、どこかの駅に行きたいんですか?」

「Oh,Sorry.I don't understand Japanese…」

「総長、英語で話さないとダメですわ」

「んなこと言ったってな、身内で英会話なんてできるのは、ルカぐらいしか…」

「私に任せて、カイト」

「ルカ!?」

「何というグッドタイミングですの…」


 突然、私たちの前に現れたルカさん。彼女の話す流暢な英語で話が通じたのか、その外国人の女性は笑顔で去っていった。私はまともに英語も喋れないから、本当に助かった。それにしても、なんてグッドタイミングなんだろう。


「ようこそ北海道へ。久しぶりね、ルナさんにカイト総長」

「お久しぶりですわ」

「ああ、久しぶりだなルカ。それにしても偶然だな、どうしてこんな所にいるんだ?」

「それなんだけど、ちょっとした人捜しをしてるの。それでこの辺りに来てるって聞いて…」


 ルカさんと出会ったのは本当に偶然だった。私たちが立ち話をしていると、ルカさんの存在に気づいたレン君たちがやってくる。特にリンちゃんは、しばらくぶりの再会に、笑顔満点の表情だった。


「あっ、あれってもしかしてルカさん?」

「うわぁ! ルカさーん!ルカさーん!」

「あら、他のみんなもいたのね」

「ルッカさ~ん!」


 鏡音の2人は、駆け足でこちらにやってくる。桃音モモは…それ以上の速さだ。そんなにルカさんのことが好きなのかしら? まったく、元気なことだわ。いつものことだけれど。


「ルカさん、ただいま帰りました!」

「リンちゃん、離れたのは少しの間だったのに、何だかとても変わったように感じるわ」

「リンちゃんは体の成長が著しいですよ、特にむn」

「シャラ~プッ!!」

「あがっ!?」

「モモ、あなたには恥じらいというものが無いんですの!?」

「でもルナさん、そんな蹴らなくても…」

「ほら、早く立ちなさい!」


 このおバカは、TPOという言葉を知らないのかしら…所構わずこんな発言をされたら、とてもたまらないわ。いっそのこと、五稜郭の堀の中にでも投げ飛ばしてやろうかしら?いや、それだけじゃ足りないかも。


「ああっ、急に立った時の¨企み¨ってしんどいですよね…」

「それを言うなら¨企み¨じゃなくて¨立ちくらみ¨ですわよ…」

「みんなも相変わらずね」

「ルカさん、また会えて嬉しいです!」

「私もよ。レン君、また大きくなったわね。会う度に変わっているように見えるから、びっくりするわ」

「自分で言うのもおかしいですけど、だんだん男らしくなってきたかなぁ…って思うんです」

「レン君も体の成長が著しいですよ、特に…ごふっ!?」

「…モモ、今度辞書で自重の意味を調べてくると宜しいですわ」


 また何を言い出すか分からないから、とりあえずモモには黙ってもらうことにした。その方が安心だわ。とりあえず、私たちはルカさんの言う人捜しの話に戻した。


「それでルカ、その人捜しはまだ続いているわけなんだな?」

「ええ。その子は友達で、イギリスからここに来る予定になってるの。もう着いてるはずなのに…」

「まいったな、できれば早めに会合を始めたいと思っているんだが…」

「私もそうしたいんだけど、このまま待たずに帰ることなんてできないわ。カイト、先にみんなで北部支局の方に行っててもらえるかしら?」

「分かった。じゃあ先に行かせてもらうよ」

「ごめんなさい、できるだけ早く戻るわ」


 そうしてルカさんを後にした私たちは、一足先にMART北部支局にやってきた。ここは本部を支える大事な拠点。メンバーは月日の流れと共に次々と変わっていくが、局長は長らくルカさんが務めてきた。私自身にとっては、ここを訪れるのは1年ぶりになる。だが以前とは、特に何も変わっていないようだ。木造の山小屋を連想させるようなこの建物は、喫茶店のような安らぎを与える。リンちゃんはこの場所で、ルカさんたちと共に育ってきたそうだ。MARTが創立された当初は、まだ小学校に通って間もない頃だったと聞いた。


「ただいま~!」

「あ、リンちゃんだ!」

「いろはさん、元気にしてた?」

「いろは、久しぶりだな。しばらく会わない間に、また大人っぽくなったな」

「カイトさん、みんなお久しぶりね!」


 猫村いろは。彼女はルカさんを支える大切なパートナー。この関係は、私とカイト総長との関係と似ている。だからよく話が弾む。いろはさんは、ここのところ手が放せないほど忙しいのに、私たちを出迎えるために時間を作ってくれた。その器の広さは、私と全然違う。


「いろは、今月のお前の誕生日に、好物のキャットフードを贈ってやろうか?」

「本当ですか! ありがとうございます…って、私もアンドロイドなんですから、ちゃんとしたものを下さいよ!」

「あ、間違えた。ネコマンマだったな?」

「そうですよ…てか普通、ネコマンマをキャットフードって間違えます?」


今の総長は、天然ボケだったのかしら…? 総長はしっかり者のはずなんだけど、たまにこういうところがあるから…意外だわ。何だか、それが妹のカイコさんと重なる。そう私がふけっている最中に、モモがいろはさんに話しかけようとしていた。妙に嫌な感じが…

「カイトさん、これをどうぞ。私からのプレゼントです!」「おっ、これはアイスじゃないか!嬉しいね、こんないいものを」

「いろはさん、また私たちからも、たくさん仕返しさせて貰いますね!」

「仕返し、ですか?それは歯の治療をする、お医者さんのことですか?」

「それを言うなら¨仕返し¨じゃなくて¨お返し¨ですわ…っていろはさんも、それは¨仕返し¨じゃなくて¨歯科医師¨ですわよ!」

「ルナさん、ナ~イスツッコミ!」

「もうよく分かりませんわ、この2人は…」

 私はその2人に呆れかえって、ソファーに腰を下ろした。やれやれ、いろはさんは立場的には私と同じでも、性格はモモ寄りということね…そこへ荷物を下ろし終えた総長が、階段から急ぎ足で下りてきた。

「ルナ、ルカが帰ってきたら、すぐに会議を始めるぞ。場所は2階の談話室にする」

「分かりましたわ」


 ようやく始まるみたいね。最後の戦いに向けた会議が。このために、私はここまで足を運んだ。
 そしてカイト、あなたも何時になく真剣な面持ちね。その揺るぎない目の先には、何が見えているのかしら。惑わされない心の中で、何を思っているのかしら。何にしたって、私はあなたの目指す未来に向かってついていく。それはもう、変わらない。

 初めての方は初めまして、オレアリアと言います! 最近、さりげなく名前変えました(笑)
 様々なクリエイターさんの創作作品を見たい思いでピアプロにやって来ました。そのピアプロのユーザー様のおかげで、底辺の作家ながら今日まで創作活動を続けられています。

 現在はシリーズものを中心に、番外編も交えながら小説を書いています。イラストは自身の画力不足で、とてもうpできません…でも、ごくたまに晒すかも? そんなワケで、ここでは身内や友人のイラストを投稿させて頂いています。更新の方は自身の都合上で、なかなか思うようにできていませんが、時間の合間を縫いながら少しずつ書いています。
 なお、7月下旬から「VOCALOID HEARTS」シリーズ多数が注目の作品入りしています。こんな駄作が…ありがとうございます!

 軽い挨拶と紹介になりましたが、皆さんよろしくお願いします! 余談ですが、カラオケでの十八番はいろは唄とかだったり←

 メッセージ等は必ずお返しします…とか言っときながら返信おせーよ!
 お友達やフォローも大歓迎です!(フォローして下さる時は、メッセージで報告して頂けると、フォロー返しがしやすくて嬉しいです)

 プロフ画像の重音テトは、リア友のwestさんが書き下ろしてくださいました! 絵のイメージは「VOCALOID HEARTS」作中に登場する査察部隊・トリプルエーのテトからです。
 
 2014年も、よろしくお願いします!

・ツイッター
http://twitter.com/ocelot0207
・ユーザーID
ocelot0207

※現在、7話~21話までのボカロハーツの文章とストーリーを修正しています。

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作品へのコメント3

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    ご意見・感想

    オセロットさん今晩は!まずは明けましておめでとうございます!
    今年もよろしくお願いします!

    いよいよMARTのメンバーもトリプルエーの方々たちも、大きな動きを起こそうとしていますね。
    もうすぐ理事会への反乱も始まるという事で常にワクワク(?)しています!

    …でもその前にモモの危ない発言のせいで、このボカロハーツも無くなってしまいそうで怖いですww

    ブクマさせていただきます!次回も楽しみにしてるので頑張って下さい!

    2012/03/03 18:50:55 From  ミル

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    メッセージのお返し

    ミルさん、明けましておめでとうございます!

    一体どれだけ遅い新年の挨拶なのか←
    とにかく今回もメッセージのお返事が遅れてしまって本当にすみませんでした…(汗)

    そろそろボカロハーツも後半に入って、ラストの理事会への決起も近づきつつありますね。
    今年中に完結させたいと思ってるんですが、モモさんのコトも含めてこの更新速度だと不安が…w

    メッセージとブックマーク、いつも本当にありがとうございます!!
    ミルさんやその他の読者様のおかげで、僕もここまでやってこれました。

    改めて今年も宜しくお願いしますね!

    2012/03/31 09:54:28 オレアリア

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    ご意見・感想

    うpお疲れ様です。今回も結構色々設定が垣間見えてますね。自分も更新しないと……

    2012/02/29 22:15:18 From  瓶底眼鏡

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    メッセージのお返し

    びんさん、メッセージありがとうございますっ!

    また毎度の事ながら返信がとんでもなく遅れてしまってすみませんでした…!
    いつになったらこの悪い癖は治るのか…

    また地味にややこしい設定が増えてしまいました…重ね重ね本当にすみません←
    こちらはうp率が悪いですが、陰謀シリーズのうpも待ってますね!

    2012/03/30 23:02:03 オレアリア

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    ご意見・感想

    こんにちは! コメント遅くなって申し訳ないです。

    さて、今回はまさしく、

    ”モモ無双”

    でしたね~♪ キャラで勝てる人、いないかも…。それにこの方、放っておくと、この小説シリーズも無くなりかねない程のキャラ。

    さて、ルカさんも登場して、終盤へのキャラが揃ってきた所ですね。楽しみです!

    ではでは~♪

    2012/02/28 15:58:11 From  enarin

  • userIcon

    メッセージのお返し

    enarinさん、メッセージありがとうございます!
    折角下さったのに、1ヶ月以上もお返事ができなくて本当に申し訳ありませんでした…!!
    こちらが遅れてしまうなんて情けない…

    今回は正に「モモ無双」になりましたw
    モモはボカロハーツのボケ担当ですけど、今回みたいなうっかり禁止ワード連発でこのシリーズの存在が危うくなってしまいそうです←


    モモ「当分は自重しませんよ♪…ごふっ!?」


    enarinさん、改めていつも読んで頂いて本当にありがとうございます!
    次回からは余裕ができたので、メッセージのお返事も含めて更新頻度も上げていきます!

    ボカロハーツも終盤に向けて、心強いキャラ達も増えてきました。
    21話のうpも近いうちにしたいと思っています!

    2012/03/30 22:45:20 オレアリア

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