僕らは、歩く。
テクテクと。
駅に向かって。
時折、彼女のツインテールの髪が揺れる。
何でも無い、いつも通り、学校からの帰り道だ。
ちなみに僕は彼女の後ろに立たない様にしている。
風が吹くと、当たるのだ。
生徒指導の先生から何故か注意されない、あのツインテールが。
サラサラ且つフワフワ故の宿命か…。
実際、あれが当たると顔面中がソワソワする。
正直、くすぐったい。そしてクシャミが出る。
その防止のためだ。
一部では「実はあのツインテールは取り外し式で手持ちこん棒になる」なんて噂を聞いた事があるがそんなことはない。
というか、あってほしくない。
もしそうなら彼女を怒らせて殴られる可能性が最も高いのは、僕だ。間違いなく。
僕もまだまだ長生きしたいからねー。
くだらない世間話や噂話、他人の恋愛事情なんかを話している内、駅に着いた。
僕と彼女の住んでいる所は結構な田舎なのだが学校は少し離れた街にある。
東京などと比べたら全然大した事ないのだが、この辺りではそれなりに大きい街だ。
夕方の帰宅ラッシュ時だ。やはりそれなりに混んでいる。
この駅から25分、途中で一回乗り換えて僕らは僕らの町に帰る。
幸運にも僕らが乗る方面の電車はいつもあまり混んでいない。
電車の中で彼女は囁く様に歌を口ずさむ。
「むすんでひらいて」
昔から疑問なんだが。
手を結んで、開いて。手を打って、結んで。
で。
何なのだ、その動作は?
この歌詞を考えた人はハイテンションになるたびにそんな動作をしていたんだろうか?
むぅ…。
まぁいい。
世の中、どうしても解けない謎があった方が面白いだろうしね。
そして、あっ、という間の25分。
僕らの降りる駅だ。
さすがナイス田舎町!人、いねぇ!(多少はいるんだけどさ)
駅を出て2~3分も歩けば分かれ道だ。
僕は、右へ。彼女は、左へ。
そうしたら、また明日、だ。
駅を出てから分かれ道まで、彼女はもう一度、歌を囁いた。
さっきより少しだけ大きな声で。
でも、きっと周りには聞こえない。
僕にしか、聴こえない。
歌を歌う彼女はかわいい。何度も言うが、かわいい。大切な事だからもう一度言うが、本当にかわいい。
でも僕はそれを口にしない。
だって、恥ずかしいから。
いつか、そのうち、な。
分かれ道に着いた。
彼女は言う。
「じゃーねー!また明日ねー!」
元気だなぁ。
だから僕も返す。
「おー、また明日なー。」
あ。
また、彼女のツインテールが揺れた。
家路に付く。
飯食って、風呂入って、歯磨いて、寝る。
明日のために。
明日、また、会うために。
僕と彼女のありふれた1日(その3)
カバー曲と小説リンク第三弾。
「むすんでひらいて」とリンクします。
http://piapro.jp/content/7l3o8kg29t2r6gto
主人公よぉ、のろけてんじゃネェゾ、ゴラァ!!!
まぁ書いてるのは俺なんですけどね。
やっぱさー、いいよねー、青春とかさー。
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