[某所 モニタールーム]
ガチャリ、とドアが開いた。
「…テイ!一体どこにいたの!?」
中に入ってきたテイの姿を見るや否や、リツが声をかけてきた。
「…ちょっと釘を刺しに行ってきたの」
「…は?」
訳の分からない返事に、リツは変な声を上げた。
「…まあ、何でもいいですわ。丁度、あの方からの指令が来ているので」
「…指令?」
「ああ、これだ。…全く、あの方も焦りすぎだっての…」
やれやれと言った様子でデフォ子は伝令をテイに見せた。
「…各地のボーカロイドを倒せ、か。ついに動くのね…あの方の計画が」
「そのようだな」
デフォ子はふん、と鼻を鳴らした。
「とりあえず現在の所在は出したぜ。ミク、リン、ルカ、キヨテル、ミズキがD街‐2、レン、ユキ、ミキがD海、グミ、リリィがD街‐1だな。…すっげ、みんな同じエリアじゃねえか…」
ルコがモニター画面の一つを見ながら解説する。
「まだ結構生存者いるってのに…」
大丈夫かよ、とテトが言った。
「…ところで、みなさん…」
モモが少し神妙な顔つきで尋ねる。
「私たちの計画…『ボーカロイド殲滅計画』は、いつ実行に移すんですの?」
一瞬、部屋が静まり返った。
「…まだ、いいだろ。あの方に従ってた方が、な」
「うん、まだ多すぎる」
デフォ子、テトが返事をする。
「じゃあ、取りあえず今起きてる戦いが全部ひと段落したら、ってところ?」
「だな、その方が楽だ」
水面下で、どんどんと計画が進んでいく。当然、戦っているボーカロイドたちは、こんなことが起きているなんて知る由もない。
「じゃあ、ネルも呼んでくるわね?」
「やめとけテイ。…あいつ呼ぶと色々面倒だ。あいつはUTAUじゃない。変な行動に出られたら、それこそ本末転倒だ」
「…そう」
再び出ていこうとしたテイはつまらなそうな様子で、近くの椅子に腰を下ろした。
「よし…とりあえずここからは二人組で行動するようにしようか」
テトの提案で、UTAU六人は三グループに分かれた。
テトとテイ、ルコとモモ、デフォ子とリツ。
「よし、じゃあ戦いの準備をしようか…」
[某所 廊下]
「…ここに、いるけどね」
モニタールームのドア越しに、ネルは会話をすべて聞いていた。
何も知らないのは、あいつらのほうだ。殲滅計画?はは、反吐がでる。
「…でもまあ、ちょうどいい、かな」
ネルは廊下を歩き出す。多分、あいつらは全員同時に出ていく。ここ、ゲーム管理施設に残るのは私だけになる。そうなれば、テイみたいな邪魔がなくなって、自由に動ける。
鍵も…テイに返す前に必要なやつだけ抜き取っておいた。
廊下にはコツコツとネルの歩く音だけが響く。あの方の部屋を通り過ぎ、廊下の奥へと突き進む。一番奥につき、ネルは立ち止まる。目の前には、大きな扉。
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待っててくれ。
…ハク。
扉にわずかな熱を残し、ネルは踵を返した。
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