それから、時は過ぎ去りーー・・・

「・・・はあ、今頃ミクはどうしてるのかな・・・・」
カイトは白い壁に囲まれた部屋に閉じこめられていた。
といっても、衣食住に困る事はなく比較的快適だった。ただひとつ、外に出られない事をのぞいて。
「ちくしょー・・・」
カイトは、ふがいなさにどうしようもなく、ただ唯一高いところにある窓を見上げるだけだった。
そんな毎日だったある日ーー・・・

「・・・はあ」
カイトがいつものように窓を見上げていると、
「カイトっ」
という、一番会いたい人の声が入り口付近から聞こえてきた。
「・・・・ミクっっっ」
カイトは振り向こうとしたが
「会いたかった・・・・カイトお兄ちゃんっ!!」
という一言が振り向くカイトの動きを凍らせた。
「・・・・・・・・」
カイトは目の前が真っ暗になるのが分かった・・・。

「どういうことですかっ!!?」
「どういうことって言われてもね・・・・」
テーブルの向こうに座る人物は、困った顔をした。
「どうしてっ・・・・俺とミクを兄妹にしたんですか・・・!?・・・・どうしてですか・・・!!」
怒りのあまり、声が震えて叫ぶカイト。さらに、バン、とテーブルに手をつき身を乗り出す。
「・・・・答えて・・・下さい・・・っっ!!」
「・・・・・」
しばらく黙って俯き、それから呟くような小さい声で言った。
「・・・ないの・・・、・・しょうがないの・・・しょうがない仕方のないことなのよ・・・」
「・・・・・そんな一言で、切り抜けられませんよ。そこまで、俺は優しくは・・・ないですから」
冷静にそう言って、カイトはソファに座り直した。「・・・また、貴女に裏切られるとは思いもしませんでした。ひどい人ですね、貴女は」
「・・・・・」
「・・・もうここには何も、何もない。行こう、ミク」
「・・・・うんっ!」
ミクは、一度だけ「その人」を見たあと、カイトのあとを追いかけた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

日常的環和 4話 過去悲劇、未来喜劇、ときどきトライアングル その4

ミクに「お兄ちゃん」と呼ばれたカイトが凹むのもそれもそのはず、実は幼い頃2人は大きくなったら結婚しようねという婚約者だったのです!!
このことを頭の中に入れてこの小説を読んでほしいです!

閲覧数:175

投稿日:2009/07/19 13:57:06

文字数:809文字

カテゴリ:小説

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