鍵盤が揺れる午前 窓を叩く雨を
君は見ていたようだ 何を思ったろうか

細い糸が絡まって
なんだか苦しくなるね 呼吸が

それから 君は泣いていた
ぬるい部屋に座って
昼の灯りが 染みて痛む胸
「ランプを消してよ 眩しいのは嫌なの」
暗い部屋を歩いて
冷え切った手が なぜか落ちつくんだ
どうして


きっと君は大人になって いろんなものに出会って
もう飲み込みきれなくなって 吐き出しそうになるだろう
そのときはあの日の雨 思い出して 泣いて

これから十と幾年経って 瞳の色も変わって
君だけの宝物を 掴めたなら
ねえ それまでを塗りつぶしたくても
そのままで

過去を消し去らないで
どの日の君もなくさないで
すべて手放さないで
今 約束しようよ 指切りで


Für dich, Adalheidis
まだ若い君に 一体何を遺せるだろう
Für dich, Adalheidis
老いた私はもう 君の未来は見られない

Für dich, Adalheidis
その澄んだ君の両眼に何を見せればいい
Für dich, Adalheidis
口下手な私の言葉は伝えきれない

Für dich, Adalheidis
ならば伝えよう 私が遺せるすべて
Für dich, Adalheidis
君が好きだった あの雨の日の鍵盤にのせて

Für dich, Adalheidis
君に届くころ 私はもういないだろう
Für dich, Adalheidis
だから弾いてくれ
「この五線譜が最後の手紙
聞かせてくれ いつか返事を
あなただけのピアノの音で」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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Ein Klaviersong (‘Für Dich’)

閲覧数:78

投稿日:2022/12/19 20:29:53

文字数:682文字

カテゴリ:歌詞

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