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こちらはwowaka氏による初音ミク楽曲「ローリンガール」の二次創作小説です。
そういう類のものが苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
はじめての方は「はじまりと、」からご覧下さい。
ローリン@ガール 6
初めて転がった、あのとき。「ぜろ回目」と数えた、あのとき。記憶があったのは、転がり落ちて、踊り場に投げ出されたあとからだった。転がり始める前のことは、なにも覚えていない。
この島のことも、自分の名前さえも。
全身にじんじんと、どこからともなく次々と響いてくる痛みを、深呼吸を繰り返してやり過ごす。慣れた作業だった。その間は暇なので、晴れ渡った空の青さを、昨日の空の青さと比べて過ごしていた。今日は、昨日よりも空が青い。深い深い、高い空だった。
そうしているうちに、全身の痛みがすうっと引いてくる。もう、身体が慣れてしまった。それを感じながら、のろのろと身を起こす。さすがに、転げ落ちた直後は全身が重い。だけど、少しでも時間を無駄にしたくなくて、彼女は立ち上がり、階段の先を見上げた。
もう一回。もう一回。
「ぜろ回目」以降、もう何回目になるかは、数えていない。いや、途中から分からなくなったのだ。「せん回目」の次の数を、彼女は数えられなかったから、とうの昔に、数えるのをやめた。
でも、やらなきゃいけない。これだけは、ぜったいに。その思いとともに、彼女は重い身体を引きずるようにして、コンクリートの階段を上ってゆく。
「ぜろ日目」に、「ぜろ回目」を転がったことは覚えている。
「いち日目」に、「いち回目」を転がったことも覚えている。だけど、そのあとの記憶はもう、曖昧になってしまった。ぼんやりと霞がかったように。
気まぐれに、「せん日」を数えたことがあった。だけどそれも「さん回」ほど「せん日目」を数えただけで、あとは飽きてしまった。
「せん日目」の次の日を「なん日目」と数えていいかわからなかった。それと同じように、「ぜろ日目」の前の日を「なん日目」と数えていいかも分からない。さらにそれと同じように、「ぜろ日目」の前の日に何をしていたのか、まったく思い出せなかった。霞がかかっているどころじゃない。白い霧が、記憶の世界一面に広がっていたのだ。だからきっと、「ぜろ日目」の前の日のことは「しらない」のだろうと、彼女は勝手に解釈していた。
でも、たぶん。彼女はこう推測していた。「いち日目」の自分は、こんなことを知っていたのだ。
「ぜろ日目」の自分は、「ぜろ回目」を転がったから生まれたのだ、と。
だから、ひょっとしたら、もう一回、「ぜろ回目」を転がったら、「ぜろ日目」の前のことを知れるのかもしれない。幼い彼女はただ好奇心に突き動かされて、今日も踊り場から、延々と下に伸びる階段を見下ろすのだ。
もう一回。もう一回。
わたしは今日も転がります。
息を大きく吸い込んで、止めるの。――今!
それを合図に、少女の身体はぐらりと傾き――長い階段を転がり落ちる。
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kurogaki
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