-エクソシスト-
館の前につくと、ミクはその先に家があるので、プリマとともに手を振ってそちらへと向かう。レオンはしばらく名残惜しそうにしながら、今来た道を戻っていく。
「…レオン君、毎日ずっと同じ道戻っていくの、すごく寂しいよね」
「…だろうな」
あきれながらそう言って、リンが家に上がる。
確か今日はカイトたちが来るはずだから、そのときにエクソシストに対する対処法を聞いておこう…。そんなことを考えていると、ちょうどよくその本人がやってきた。
「二人とも、お帰り」
振り返ると、買い物袋を両手に抱えたカイトが笑顔でたっている。
「あ、カイトさん。こんにちは」
「うん、こんにちは」
挨拶を交わすカイトのほうに駆け寄っていって、レンはカイトが抱えている買い物袋を一つ持ち上げると、
「カイト兄、一つ持つ」
といった。
「ありがとう」
素直にそれを受け入れるあたり、弟の扱いに慣れているのだろうか。
三人はさっさと家の中に入っていった。カイトとレンはキッチンに買ってきた夕食の材料を置いて、リンは自分の部屋に戻り、着替えを始める。ついこの間まではリビングでごろごろしてから部屋に戻っていたのだが、年頃の女の子なんだから、とメイコにしかられ、ルカが『レンが狼になる』といい、それをレンが迷惑がるので、なるべく早く着替えるように心がけている。
「カイト兄、また買出し任せられた?」
「まあね。まだまだめーちゃんには頭が上がらなくて」
「…だろうな」
「あはは」
へらっと笑うと、どうにも少女のようなカイトの笑顔は、やはり兄弟だからか、レンのふとした笑顔によく似ていた。
どうやらメイコとルカは出かけているらしく、館の中を見て回っても、二人の姿は見えない。それに安心しながら、レンは買い物袋の中からうれしそうにカップアイスを取り出すカイトに、声をかけた。
「あのさ、カイト兄――」
学校に入ってきた臨時教師がカフをつけていたこと、その意味をプリマは特殊な業種を表しているといったこと、その特殊な業種の中にエクソシストも含まれていたこと、三人で何かあったときには、とうなずきあったこと…。簡単に今日のことを話すと、カイトは微妙な表情になった、
「まぁた変なことに首突っ込もうとして」
「俺から突っ込もうとしてるわけじゃない」
「それでも突っ込もうとしてることには変わりないでしょ。…まあ、情報提供くらいはしてやるけどね」
あきれたような、仕方ないというような、そんな微妙な表情だった。
「まず、エクソシストたちがつける、カフについてだけど…。あれは一種の身分の証明書にあたるんだ。その…プリマちゃん? その子がエクソシストだと気づいたのも、そのことからだね。
次に、エクソシストそのものについてだ。ある程度の知識なら、レンにもあるよね?」
「まあ…。人並みには」
「いくつか特徴を言ってみてよ」
突然言われても困るのだが…。兎に角、レンは知っている情報を要約しながら話し出した。
「エクソシストは悪魔祓いの能力を手に入れた人間たちのことで、位的には結構な高位に立つ…。くらい、かな」
「うん、大体あってる」
カイトは『大体』と言うところをちょっと強調していった。その強調された部分にレンはむっとしながらも、話の腰を折らないように、どうにか自分を抑えた。
「確かに元々、エクソシストは悪魔祓い師のことをさした。けど、二十世紀はじめごろからはそんなものは名だけ。今は本当に力を持ったエクソシストなんて、そうそういないと思うなぁ。世界探しても二、三人いるかいないかだよ」
「二、三人…。希少種だな」
「そりゃあそうさ。見た目だけの儀式なら誰だって出来るんだから。そうやって本物が次第に消えていくんだよ」
それはよくわかるが、それならばあの先生は希少種なのか。世界に二、三人しかいないエクソシストの『本物』だとしたら、レンは『当たり籤』を引いたようなものである。しかし、そのあたり籤が、本当にあたりなのかと言うと、実際、そうでもないこともあるのだ…。
「…エクソシストの苦手なものってなんかないの? 十字架とか、ニンニクとか、朝日とか」
「残念ながらヴァンパイアとエクソシストは違うからね…」
困ったようにカイトは笑った。
「ま、あれだね。エクソシストって言ったって、エクソシズムが行えなければ怖くないよ」
「エクソシズムを行えなきゃ…って言ってもなぁ」
と、レンが困っていると,ひょこっとリンが顔を出して、
「あれ、レン、着替えてなかったの?」
と聞いたのだった…。
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