「いた」
小さくつぶやく。

今私の目の前にあるのは、新入生のクラス表。
私はあることを確かめたくて、先生に手伝いを申し込んだ。
壁にクラス表を貼り付けてから、名前を探す。
すぐに見つかった。
口元が緩む。
ついに、会える。
私は見つけた名前を指で触る。
「・・・レン君」
覚えててくれたんだね。
会いにきてくれたんだね。
嬉しさがじんわりとひろがる。
目を閉じて、君の姿を思い浮かべる。
身長は伸びたかな? 髪は切ったかな? 声変わりはしたかな? もしかして太ったかな? たとえ太っていても、レン君ならいいんだけどね。
「みくちゃん」
名前を呼ばれて、思考を中断する。
レン君のことを考えていたら、笑いをとめられないからだ。
振り返ると、そこには1年の時から同じクラスのカイト君がいた。
もう3年間同じクラスになる、毎年お世話になっている友達。
「どうしたの?知ってる子でもいた?」
カイト君の言葉に少し緊張する。
レン君のことは、誰にも話したことがない。
まるで私のことを全部知っているみたいなカイト君の言葉に、いつも緊張させられる。
「あ、ちょっとね。近所の子が今年入学したの」
私は嘘が苦手なので、嘘と本当のことを混ぜて言う。
近所の子が入学したことは事実だ。
「へぇ、なんていう子?」
「えっと」
苦笑いを浮かべる。
名前まで聞いてくるとは思わなかったのだ。
私はあまり親しくない近所のこの名前を思い出す。
「確か・・・松崎・・・・えみちゃん」
小声で「かな?」と付け足してみる。
あまり自信がない。
カイト君の顔を見れば、いつもの笑顔だ。
「女の子なんだ。かわいいの?」
「かわいいよ!私の数倍はかわいい!」
顔は思い出せたので、さらりと答えられた。
内気な感じだが、顔は整っている、いい子だった。
過去形なのは、最近会っていない為だ。
小学生のころはよく遊んだな・・・。
ぼんやりと考えていると、不意に髪を触られた。
「カイト君?」
「いないよ。みくちゃんよりかわいい子なんて」
少し間を空けて、作り笑いをする。
カイト君は、こういうこと誰にでも言えちゃうんだろうな・・。
だから、みんなから人気があるんだ。
私はちょっとこういう冗談、苦手なんだけどなぁ。
「あはは・・・お世辞をありがと。じゃあ、私帰るね」
気まずい空気から逃げるように立ち去る。
カイト君には悪いと思うけど・・・。

一人で歩く帰り道。
頭の中は、レン君でいっぱいだった。






「・・・お世辞でも、冗談でもないんだけどな」
ため息と一緒に吐き出した言葉は、誰も聞いていなかった。

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君へ6

また一ヶ月

なかなか暇が見つけられなくて困ってます

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投稿日:2011/09/23 13:10:55

文字数:1,086文字

カテゴリ:小説

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