【オリジナルマスター】 ―Grasp― 第六話 【アキラ編】

投稿日:2009/10/17 15:41:30 | 文字数:3,952文字 | 閲覧数:212 | カテゴリ:小説

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マスターの設定で異様に盛り上がり、自作マスターの人気に作者が嫉妬し出す頃、
なんとコラボで書きませんかとお誘いが。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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アキラ、カクテルバーにのみにいくの巻。

諸君、私は二次元のおっさんがだいすきだ! ……残念な宣言ですみません。
後半の舞台になってるカクテルバーですが、+KKさんのraison d'etre ep.7,5の
設定をそのままそっくりお借りしました! ほんとうにありがとうございます!
ほんと私はぷけさんに菓子折りか何か持ってお礼言いに行くべき。
それもこれも私がraison d'etreのこの店とマスターに惚れ込んだからなんですよ。
うん、後悔はないよ!(いい笑顔

しかし……ぷけさんちからお借りする一番最初のキャラがマスターになるとは、
さすがに斜め上というか、想定の範囲を軽く飛び越えてますね(笑

悠編では、こはさんの夢ネタがふんだんに盛り込まれているようです、こちらも是非!

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白瀬悠さんの生みの親で、悠編を担当している桜宮小春さんのページはこちら!
http://piapro.jp/haru_nemu_202

つんばるがいろいろお世話になりっぱなしの+KKさんのページはこちら!
連載中のraison d'etre(,5)シリーズも是非読んでみてください!
http://piapro.jp/slow_story

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TEXT
 

オリジナルのマスターに力を入れすぎた結果、なんとコラボで書けることになった。
オリジナルマスターがメイン、というか、マスター(♂)×マスター(♀)です、新ジャンル!
そして、ところによりカイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手は、かの純情物語師(つんばる命名)、桜宮小春さんです!
(つ´ω`)<ゆっくりしていってね!>(・ω・春)



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 それ以降、どんな会話をしたのかよく覚えていないのだが、悠サンの持ってきたUSBの中の生テキストも開けなかったことから、どうやら悠サンのパソコンからのコピー自体が失敗しているようだと結論に至った。
 しかし、曲のデータはきちんと開けたし、歌詞がないから歌わせられないというわけでもないので、とりあえず全音発音は「ラ」で、めーこさんとかいとくん、それにメイコさんとおとうとくんにも歌ってもらった。
 作業は順調に進んだし、私が話した会話の内容や口調はいつも通りそのものだった。大丈夫そうに繕っていたのも、だいたいがうわの空だったのも、気付かれていないだろう。もちろん、あの忌々しい腹痛のことも、完璧に隠し通した。
 ただ、めーこさんの心配そうな瞳が、ときどきこちらに向いていたから、めーこさんにはばれているのだろうけれど。



―Grasp―
アキラ編 第六話



 かいとくんのエディターを閉じて、めーこさんだけが残ったディスプレイに、ふうと溜め息をついて見せる。そこでやっとめーこさんは、あからさまにほっとしたような顔で、心配そうに私を見上げた。……まったく、空気が読めると言うか、私のきもちをきちんと汲んでくれているというか、めーこさんには敵わないと思う。

「しんぱいさせてすまないね、めーこさん」
「いえ……マスター、だいじょうぶですか」
「だいじょうぶだよ、どうせ気の病さ」

 気の病、とは、よくいったものだと思う。精神論者ではないので、誰でも気を強くもてばなんとかなるとは思っていないが、すくなくとも自分自身のことはコントロールしきれていると思う。……尤も、それが概していいこととは限らないのだけれど。
 じわじわと襲う痛みを無視しながら、めーこさんに向かって微笑んでみるが、めーこさんの眉尻はそれでも下がったままだ。

「今回のは私が不覚だった」

 拒否反応が身体に沁みついているなら、それを相手に悟らせないような距離をとればよかっただけの話なのに、無意識に警戒を解いていた。むやみに自分のテリトリーに踏み入らせた私の落ち度だ。私は、もうすこし注意深くふるまうべきだった。
 めーこさんは、腕を組んで仁王立ちして、私をまっすぐ見据えている。……やれやれ、なにかお説教でもするつもりらしい。

「いくら白瀬さんが鈍感だとはいえ、今回みたいなことが続けば、さすがにへんだと思われますよ」
「ふん、次がないからその心配はないね」
「そのつもりがなくてもマスターは気にしてるじゃないですか。今回がいい例です。いい加減……」
「めーこさん」

 名前を呼ばれためーこさんが不意に口ごもる。

「思い出したくないんだよ」

 こどもに言い含めるような、ゆっくりとした口調で言ってやると、めーこさんはふっと瞼をふせた。いつもの自分の声なのに、なぜこんなに不穏な響きがのこるのだろう。腹に滲む痛みが、ほんのちょっとだけ声に混じったからだろうか。めーこさんは、組んでいた腕を解いて、スカートの裾を握りしめた。

「……それでも」
「あの件はもう決着がついている。悠サンが気づいてないなら、そのままの方が気楽だ。……もちろん私だけが、だろうけれど」

 ああ、ここにめーこさんの実体があれば、きっとその栗毛の髪を撫でまわしていただろう。下唇を噛みながら、両の手に拳をつくっているめーこさんは、心底くやしそうに見える。――めーこさんがそんな表情をする理由なんてないのに。

「めーこさんが気に病むひつようはない。めーこさんには、わるいことをしたと思っているけれど」
「……私は、べつに、迷惑とか思ってませんから」

 話の途中でいったん間をおいて顔を上げためーこさんは、いつもの眼光鋭いめーこさんだった。き、と、睨みつけるような視線が頼もしい。ああ、怒っているのだろうな。腹の内をあかさない私に業を煮やしたというところか。めーこさんのそういう直情的なところが、とても好もしいと思う。よけいな雑味がないぶん、まっすぐにきもちがここまで届く。

「マスターの歌わせてくれる歌が私たちのすべてです。マスターが不調だと私たちも調子が出ません。だから、ほんとうにマスターがダメそうなら、私だって出しゃばらせてもらいますからね」
「そうならないように気をつけるよ――あ、めーこさん」

 ウチのめーこさんは、人間性(というのが適当かどうかわからないけれど)ができている。引き際をわきまえてさっさと帰り準備をしているところを引きとめると、めーこさんはすこしだけ怪訝な顔をしてこちらを見た。

「……それでも、かいとくんには、くれぐれも内緒に。彼の心配はすこし過剰だからね。私は、キミらに同情されるのも本意でないよ」
「……今は黙っておいてあげますが、いずればれると思いますよ」

 いっぱしの捨て台詞をのこして、めーこさんは(勝手に)自分のフォルダへと帰って行った。


 デスクトップが表示されたままのパソコンから離れて、すこしだけ苦笑する。
 過敏になっているだけだ、気にするほどのことでもない。そう言って彼らを安心させてやることができないということは、自分が一番よくわかっている。そういう点で、めーこさんには、弱みを握られ過ぎている、とも思う。まったく、アプリソフトのくせに、めーこさんもかいとくんも立ち回りが人間くさすぎる。
 久しぶりに戸棚の中の薬箱を取り出す。気休めだろうがなんだろうが、なにかを腹にいれることが重要なのだ。痛む以外の仕事を与えてやれば、私の身体は痛みを忘れる。
 水を用意するために蛇口をひねったとき、ポケットからメールの着信音がした。空のコップを置いて、蛇口をもどして、携帯電話を手に取る。そして、差出人の名前と、その内容を確認して、私は薬をのむのをやめた。
 ――どうせなにかのむなら、酒をのんだ方が気分も晴れる。気がする。


 いつものパンツスタイルに、すこしだけきちんとした黒のジャケットを羽織って、店のドアを開けた。開店時間ぎりぎりの店の中には、マスターのほかは誰もいない。照明を落とした店内に、夕日ののこりかすが差しこんで、なんとも優雅な雰囲気だ。
 このちょっとおしゃれなカクテルバーは、美憂先輩に教えてもらったすてきな店のひとつだ。美憂先輩は悠サンとも何度か来たことがあるらしいが、私が加わるようになってからは、居酒屋に行くことの方が多くなったという。それでも、美憂先輩とふたりでのみに来る場所は大概ここになる。ようするに、美憂先輩と私のふたりの場合、わいわいがやがやのむ気分じゃないときや、まったりおちついてのみたい気分のときが多い、ということなのだろう。

「いらっしゃい」
「こんばんは」

 黒髪にオールバックのスタイルを崩さないマスターに挨拶して、迷わずカウンター席に座る。なににする、と訊かれて、すこし考えてから、私がキープしていたボトルのジンと、トニックウォーターを出してもらう。最初の一杯がマスターの手によってつくられ、コースターとともに私の目の前に差しだされた。

「相変わらずだね、もう少し女の子っぽい格好してみたらいいのに」
「好きでこの格好なんです、放っておいてください」
「今日は誰と? あたらしい彼?」
「……美憂先輩ですよ」

 私も、このお店に来るときは、たいがい誰かと2人で来る。そしてここ最近は女性としか来たことがないのをわかっていて、マスターはこういうことを言うのだ。傍目にはおせっかいなこと極まりないのだが、このヒトの笑顔は嫌味なく爽やかで、その爽やかさに圧倒されて二の句が継げなくなることもしばしばだ(客を笑顔ひとつで黙らせられる店主なんて、このひと以外、私は知らない)。
 呆れ半分の返答も全く意に介さないように、マスターは朗らかに話を続ける。

「黒部さんといえば、白瀬くんは元気かなあ」
「なんで私に訊くんですか」
「最近、白瀬くんが東雲さんと仲良くしてるって聞いたからね」

 この間黒部さんがひとりでのみに来たよ、かまってくれるひとがいなくて寂しいんじゃないかな、なんて本気か冗談かわからないような言い方で、雑談をふってくるマスターはたのしそうだ。

「仲良くというか、一緒に曲つくってるだけですよ。ほんとうは美憂先輩とも一緒にやりたいと思っているところですけれど」
「付き合ったりしないの?」
「誰が、誰と」
「東雲さんが白瀬くんと」
「どこからそういう話がでてきたんですか」

 このマスターはなにかへんな誤解をしているのじゃないだろうか。それともただの冗談か。どう問いただそうかと考えを巡らせているうちに、マスターは、いちどだけ時計を確認して、「ちょっとごめんね」と言って店の奥に引っ込んでしまった(店の奥からはなにやら良い匂いがしている。今日はなにをつくっているのだろう)。
 つきあう? 悠サンと?
 ……ないない。無言でジントニックをグラスの半分ほどまで飲み干した。空きっ腹にいきなり流し込んで、胃と肝臓に負担がかかりそうだが気にしない。いつもはこんなのみ方をしないのに、どうしてか、いまはそんな風にのまなければいけないような気がした。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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