「はぁ~、疲れましたわ~…」


やたら長い名前の学校を帰宅したレンディは、部屋に入るとすぐさまにソファに寝転ぶ。
レンディの部屋は6畳を3部屋繋げた──つまり、子供部屋が3部屋あるという、庶民は勿論、そこらへんのお嬢様やお坊ちゃまも羨ましがるほどの令嬢だった。
しかも見た目といい、身体能力といい、頭の良さといい、レンディは全て揃っている完璧人だった。


しかし、完璧人とはいえレンディは所詮子供。7歳だ。
勉強に対して、庶民と同じレベルの不満を叫ぶ。


「どうして勉強なんてものやらなきゃいけないのですかー!!
 勉強なんてものなくなればいいのにーー!!」


勉強をなくす方法はないかしら、と、レンディはシックなデザインが印象的な本棚に手を出す。
そのときだった。


ドアを優しく叩く音。
その瞬間、本棚にと手を伸ばしかけていたレンディの手がピタリと止まる。


やがてドアが開く。
入ってきたのは若い男だった。紫の長い髪と、金色のチェーン眼鏡がチャームポイントの、世にいうイケメンだ。
そんな彼の正体は、レンディに仕える執事だ。
主に、レンディが興味本位でやっている剣術を教えてもらっている。そのほか、絵本の読み聞かせだ。


彼は恭しく、レンディにいう。


「お嬢様、そろそろお勉強の時間です。もうじきカイトがくるので、それまで私と待ちましょう」


「お勉強」──その言葉を聞いただけでレンディはこの部屋から脱出しようとする──のを、彼は阻止するかのように、部屋の鍵をかけた。


「お嬢様、お逃げなさるのはおやめください。っていうか、観念するんだ」
「わたくしに対して私語を使うとは、いい度胸ですね。カムイ」


まぁ、わたくしは別によいのだが。
彼──カムイはレンディの言葉には敢えて答えず、不敵な笑みを見せる。


「お嬢様のような身体能力の持ち主でも、私を倒すことは不可能でしょう?大人しく、勉強をしてもらいますよ」


別にカムイを倒すわけではないのだが…。
レンディは窓にと手をかける。


そしてレンディも、不敵な笑みをかけた。


「では、わたくしのような身体能力の持ち主なら、この窓から飛び降りることは可能でしょう」
「はは、それは流石に無理でしょう。なんたってここは2k──えええええええ!!??」


レンディはカムイが言い終わる前に窓から飛び降りる。
カムイはすぐさま窓に駆け寄る。しかし、レンディは無傷だった。いや、むしろぴんぴんしている。


「バイバ~イ♪」


レンディの言葉で我に返ったカムイは、彼女の跡を追いかけるために窓から飛び降りた。


さて、カムイが無事かどうかは──知る由もない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【LOVELESS×××】ⅰ.お勉強の時間【自己解釈】

第1話です。時間軸では、7年前になっております。


[偉大なる本家]
http://www.nicovideo.jp/watch/sm13363453

閲覧数:755

投稿日:2012/01/27 22:20:57

文字数:1,123文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました