あなたの寝息は酷く静かで。
微かに上下する胸元に この世の平穏を感じた
あなたの細く豊かな髪が 純白の布地に散らばるさまは
懸命に枝葉を伸ばす大樹を思わせた
等間隔に時を刻む秒針の音は非情の表明。
(ずっと心待ちにしていたこの時を)
眼下に広がる豊かな街は あなたが治めた栄華の跡
人も家畜も、野犬でさえ 心から幸福そうに思われた
「最期くらいは親子水入らずで」と涙ながらに身を引いた医者と重臣は
今も分厚い扉の向こうに控えているはずだ
閉ざされたこの部屋にはあなたと私しか居はしない。
(ずっと心待ちにしていたこの時を)
(父子に生まれていなければ、この想いは叶ったでしょうか)
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