#105「家族」



とある一軒家でのこと……


「ちょっと!こら、待って!まだ拭いてない!」


お風呂上がりの娘が、裸のまま、勝手に走ってリビングに行ってしまった

最近、おてんばの盛りだ……


「全く、しかたないなぁ……」


僕は腰にタオルを巻いて、後を追う

すると、娘は母親の陰に隠れていた


「こら!お母さんの後ろに隠れているのはわかっているんだ!さっさとでてこーい!」


わざとらしくそういうと、きゃっきゃと笑って、娘が逃走する


「もう……そんなことしてないで、早くつかまえちゃえばいいのに……」


僕は妻にそう言われたが、捕まえるのだって難しいんだ

大人しく投降してもらった方が助かる



わーっと裸のまま逃げ回る娘……

しかし、玄関でどんっと誰かに当たって止まった

そして、うるさい泣き声が家中に響き渡る


それを聞いた母親が慌てて駆けつける


そして、僕ら夫婦は驚いた


「レン!久しぶりじゃない!」

「ミク姉も娘さんも元気そうだな……というか、カイト……お前なんつー格好してんだよ?」


そこにいたのは、レンだった

僕の腰にタオルを巻いただけの姿に、呆れていた



「いや、ちょっとコレを追いかけててさ」


僕は娘を指さした


「そりゃ、お前に追いかけられたら誰だって逃げる」


レンはくくくっと笑いをこらえていた




「それで、レン、今日は何の用?」

「あ、そうだそうだ。うちの棟梁(とうりょう)に、これを持ってけっていわれてさ」


レンはそう言って取り出したのは、木でできた小さな妖精の置物だった……羽が生えていて、小さい。いわゆる絵本にでてくるような妖精


「うちの棟梁、その子にメロメロだからよ……顔に似合わず、こんなものをつくるんだ。しかも、自分で渡すのは恥ずかしいからって、俺をパシリにしやがる」


とか言っている、レンもうちの娘にメロメロのくせに

やっぱり、ミクに似たのが原因だな、うん



僕らの住む、この一軒家もその棟梁がレン達に指示を出しながら建ててくれたものだった


「ねぇ……これ、どことなく、マイちゃんに似てない?」


ミクが木彫りの置物をみてそう言った


「確かに……言われてみるとそうだな」


レンもそう思っていたらしい


「元気かなぁ……マイちゃん」

「おかあしゃん、マイちゃんってだぁれ?」


娘がミクに抱っこされた状態でそういった


「うんとね、お父さんとお母さん、それにこのレンお兄さんの大事な家族だよ」

「ふ~ん……じゃぁ、私もその人と家族だね!」


二コリと無邪気に笑った娘は、とても機嫌がよさそうだった

そして、その場にいた誰もが思いだしていたに違いない……

あの眩しい笑顔の少女のことを……









僕らが、その【大事な家族】に再会することになったのは、まだまだずっと後のお話……



【妖精の毒・完】

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

妖精の毒#最終話

妖精の毒、ここに完結

ここまでみてくれた方々に、厚く感謝ww

考える、想像する、余力を残した最終回w

あとがきも、別テキストにて書きますw


本当にありがとうございましたww

閲覧数:530

投稿日:2012/12/25 23:29:03

文字数:1,235文字

カテゴリ:小説

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    88888888888888888888
    ひたすら、88です!!
    gjgjgjgjgj!!ww

    というか、何とも微笑ましいですね……
    かわいいなあ、みんな

    2012/12/26 11:57:34

    • しるる

      しるる

      たくさんの「8」をありがとう!
      これでしばらく「8」には困りませんww

      ねw
      かわいくできてよかったですww

      2012/12/26 18:26:52

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