アナウンスが終わるのと、客の歓声と、ほぼ同時に施設の照明が落ちて辺りが闇に包まれた。一瞬のざわ付きの後、非常灯がポツポツと点ったと思うと。能天気なチャイム音が鳴った。

「カーカカカカカ!ご来場の皆様、そして視聴者様!これは事故ではありませんので
 ご安心を!只今より【DollsGame】最終課題をスタート致します。【DollsGame】
 最終課題をスタート致します。大事な事なので二度言いました。ご覧の通り施設内の
 電気が消えていて非常~に地味だ!よってお前等にはここに明かりを点けて貰う!
 最終課題はこれだぁ!

 『その暗闇に灯を点せ』

 プレイヤー8名はそれぞれスコープが示す場所に行ってクイズに答えた後スイッチを
 入れてくれればOKだ!そんじゃいっちょ張ーり切ってこー!!」

アナウンスと同時に再び客が湧き立った。

『最終課題キター!』
『もう終わっちゃうんだなぁ。』
『俺も行きてぇ!つか金クレ!』
『グリフォンビビッたのって私だけ?(@Д@;)』
『優勝ダレー?』
『ラビットたぁん!俺のラビットたぁああん!(*◎∀◎*)ハーッハーッ』
『ヘソタイカエレ』

再生数とコメントが見る度に上がっている。リアルタイムで打ち込んでるこっちは正直かっつかつなんだけど…まぁ良いか。

「ノア、原稿貸して、私も手伝うから。」
「ありがと、って…名前。」
「あ…ごめん…。」

原稿を見ながらセリフと指示とを打ち込んで行く。カメラ、スタッフ、動画、そして文字が一斉に動き出す。

「ハーイ此処でプレイヤーにメッセージが届いておりまーす!先ずは…チコリ様!」
「へっ?!わ、私?!」

カメラワーク、音声、照明OK、再生…っと。

『チコリはすっごくカッコイイと思うぞ?王子様って感じだ! ラビット』
『野菜を食べるのは良いけどやっぱりにんじんは勘弁して下さい。チェシャ猫』
『私が落ち込んでいる時一緒にお料理作ってくれてありがとう。頼りにしなさいって
 言ってくれた事、凄く凄く嬉しかったよ。年は同じだけど、チコリは皆の
 『お姉ちゃん』みたいだね。 花壇より』
『チコリお姉様ファイトー!』
『トカゲとのカード勝負最高でした!俺的MVPは貴女です!』
『ドレス超綺麗だったよ!背高いしモデルみたい!憧れちゃいます!』

「え…ちょ…何これ…?花壇ちゃんとか入ってるし…。」
「頑張れー!」
「お、来た来た、いらっしゃーい。」
「トカゲさん!」
「時間が無いのでサクッと問題。」
「う…うん!」
「貴女は今幸せですか?不幸ですか?」
「!…どちらもNOよ、全ては考え方次第、だもの。」
「お見事です。」

モニターランプが一つ点る、リレーみたいに、糸みたいに、紡がれて、繋がって、動き出す。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-131.一人静-

閲覧数:132

投稿日:2011/05/26 19:46:43

文字数:1,154文字

カテゴリ:小説

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