中断してしまった夕食は再開した物の、やはり皆食が進まない様だった。会話は無く溜息混じりだ。
「大丈夫かなぁ?浬音ちゃん、凄く辛そうだったけど…。」
「うん…ずっとあんな事言われて来たのかな?」
「何処の世界にもどうしようもない奴は居るもんだよね。見てよ、これ。」
ナチ君はそう言って置きっ放しになってた携帯を向けた。目を覆いたくなる様な文面が履歴をびっしり埋め尽くしてて携帯がドス黒く見えてしまう。
「消しちゃいなよ、そんなメール、可哀想よ。」
「そうだよね…。」
「消さない方が良いですよ。」
「え?でも…。」
「文面だけでも相当な精神的ダメージ、プレッシャーを与えていた証拠になる。
それにさっきあの子吐いてたから拒食症も混じってる可能性がある。手足の傷、
メール、それに診断書があれば虐待容疑は勿論の事、義兄の彼女に対するストーカー
容疑のおまけ付きで告発出来…な、何?」
冷静につらつらと的を射た意見を口にしたシャルロットに、少し尊敬の眼差しが向けられていた。確かにメールだけでも傷付くだろうし、証拠なんだよね。タダのヲタ男だと思ってたけど意外と頭良かったんだ…。
「全然関係無いけど姫抱っこって格好良いよね。」
本当に関係無い意見がチコリの口から飛び出した。
「ああ、俺生で初めて見たよ、姫抱っこ。実際出来るもんなんだね、あれって。」
「浬音は軽そうだからな、帽子屋も抱っこし易かったんだろう。」
「2人共軽そうで良いわよね~、私身長あるから重いし難しいのかも。」
「理解不能、あんなん何が良いんだか。」
「えぇー、良いじゃない、真っ先に駆けつけて姫抱っこ。」
「浬音ちゃんにベタ惚れっぽいよね~。」
―――ドカッ ガシャ ゴツン カラカラカラカラ…
皆一斉に音のした方を振り向くと、躓いたらしい帽子屋の姿があった。多分聞こえてたんだろう、耳まで真っ赤だった。
「帽子屋さん、浬音ちゃんは?」
「部屋で休んでます…。少し落ち着いたので飲み物を取りに来たんです。」
「至れり尽くせりねぇ、まぁ心配なのは判るけど。聞いた番号は305号室だったわよね?
後でお見舞いに行きたいんだけど。」
「あ、違…。」
「え?」
「………………………………………。」
「………………………………………。」
「………………………………………。」
「ま、邪魔はしないから、うん。」
「馬には蹴られたくないですしね。」
「ん?どう言う事だ?説明しろ。」
「大人の事情って奴ね。」
「なっ…!そ…そんな事は…!」
ああ、『違う』って、部屋がって事ね…。確かに色々大人の事情な気はするわ!
DollsGame-32.カンガルーポー-
大人の事情です、大人の…。
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