…半ば放心状態のメイコをお姫様抱っこで抱き上げ、カイトは苦笑した。
「ちょっとした冗談でしたのに」
 困ったようにルカが手を頬に添え、首を軽くかしげながら言う。ぐずぐずと大人気なく顔をぐちゃぐちゃにしているメイコは、いやいやをするように顔を横に振った。
「あら、随分嫌われてしまったようですわね」
「当たり前」
 小さな声で言ったレンをにらみつけたルカの目が、矢を刺すかのように鋭かったことは言うまでもないだろう。
「メイコ姉、大丈夫?」
「だ、大丈夫よ、全然!」
 心配そうに自分を見上げる妹に、メイコは強がって見せた。すると、カイトが少し微笑んで面白そうに言う。
「じゃあ、自分で歩ける?」
「…」
「…ってかさ」
 何も言わなくなったメイコを助けるつもりかそうでないのか、レンが口を開く。
「メイコ姉を誘き出すためにリン使うとか…。マジ命知らず」
 ブチ切れたら何をしだすか分からないというのに。実際、リンが起こればメイコ姉やカイト兄よりも怖いというのは、我が家の常識である。それを敵に回すとは、この女性、この上ない命知らずだ。
 しかし、リンはその自覚がないので、きょとんとしている。
「お姉様ったら…本当に可愛らしかったですわ」
「もうルカなんか…!」
「ああもうお姉様…!」
「いや――っ!!」
 にぎやかだなぁ、とリンは思う。
 今さっきまで豪邸の一室に閉じ込められていたとは思えないくらい、皆明るくて、笑顔だ。そうか、あの『契約』って言うのは、メイコをひっぱってこさせるための一種の手段だったのだ。やっと、リンは理解できた。何となく、嬉しくなる。いや、確かに嫌ではあるのだが。
「か、カイト!さっさと帰るわよ!」
「え、もう?」
「そうよッ!ホラ、さっさと歩く!」
「はいはい。…リン、レン、帰るよ」
「はぁい」
 二人でシンクロした返事をして、カイトの後ろに続く。
 四人が去っていくのを、ルカは一人でずっと手を振っていた。どこか、寂しげだった。


「ミクちゃーん」
「きゃあ、リンちゃーん」
 ぎゅっと抱き合って、二人は笑う。
 あの夜、怪盗Rの衣装はメイコが片付けた。リンが、もう怪盗Rはやらない、と言ったからである。肩の荷が下りたような気がした。
 普通の女の子としての自分は開放的で、何物にも変えがたい素晴らしいものに思えた。
「レンのクラスの授業終わるまで一緒に待っててくれない?」
「もう、リンちゃんは仕方ないんだからー」
 そういってじゃれあいながら、二人はきゃっきゃとわらう。
 あれから、既に四年。二十歳になったミクと、十八歳になったリンは流石に大人っぽくなっていて、長いツインテールだったミクは落ち着いたポニーテールに変わっていたし、短いショートヘアーだったリンは癖のあるロングヘアーになっていた。真っ白で大きかったリボンも、長い髪を後ろで軽く結わえる程度に抑え、大人っぽくなっている。
 レンも含め、三人は同じ大学に通う大学生になっていた。それでも、二人の関係は全く変わらない。いつでも仲良く、「女の子」しているのだ。
「…玄関口でたむろすんな」
 ドサ。
 リンの頭に鞄を乗せ、レンが言った。
「あ、授業終わった?」
「ん」
 伸びた髪の毛はリンよりも長く、後ろで結んだ髪とボサボサの前髪は、幼いころとなんら変わりはない。しかし、ひとつがらりと変わったのは、眼鏡をかけるようになったことである。紅く淵の細い眼鏡をつけるようになった。これは、リンが選んだものである。
「じゃ、帰るぞ」
「やーん、ミクちゃんと帰りたーい」
「じゃあ遠回りして帰って来い。俺はさっさと帰る」
「レンひどーい!じゃ、ミクちゃん、明日ね!」
「じゃねー」
 手を振ってレンの手をひいては知りながら、リンはうれしそうにきゃっきゃと笑い声を上げる。ある意味、これはリンの癖の一つである。風にふわふわと髪を揺らしながら笑うリンは、絵になった。
「――リン?」
「なぁに、レン」
 くるっと向きをかえ、リンが微笑む。その手をつかみ、引き寄せた。
「どうしたの、レン?」
「ちょっと…さ」

 ――ちゅ。

 願わくば。
 いつまでも二人一緒でありますように。
 どこにあってもこの心は一つでありますように。
 二人で一つでありますように。

 二人で一輪の花を咲かせるように。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

怪盗探偵 17

こんばんは、リオンです。
思ったより長く続きました、終了です。
レ「…てか双子の弟がスキって時点で普通の女の子ではねぇ。」
リ「身も蓋もないことを言うね」
レ「言うとこの話が元も子もなくなるからな」
リ「何故わかっていながら言ったんだ」
レ「面白いから」
リ「…。明日は特別に短編ものを投稿するよ!お楽しみに☆」
レ「無理やり閉めた!!」

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閲覧数:361

投稿日:2010/04/29 23:51:34

文字数:1,794文字

カテゴリ:小説

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  • 紗央

    紗央

    ご意見・ご感想

    終わっちまったっっ;;

    ルカさんww
    なんかルカさんらしいよ←

    あぁぁぁ、、
    大学のリンちゃんみたいなぁ^^

    最後にミクと帰りたい、って言ってるのに
    レンの言う通りにするとこが
    ちょいと萌えてしまいました><

    2010/04/30 19:40:02

    • リオン

      リオン

      紗央さん
      終わってしまいました!!

      いまだにルカさんはああいう人だと信じてます。
      ルカさんらしさって、こういうことですよね(違

      大学生のリンちゃんの可愛さは世界を壊せるほどの破壊力だと思います。

      多分、レンもリンの反応がわかるから言うんでしょうけど、たまにリンが
      「じゃあ、ミクちゃんと帰る」
      っていうと、付いて行くわけにもいかないから一人で帰ってメイコに慰められてると思います。
      考えただけで可愛い(笑

      2010/04/30 20:38:41

  • 華龍

    華龍

    ご意見・ご感想

    なあああああああ!!!!!!終わってしまったぁ~!!!!
    ルカとメイコの関係が…!!!
    てか、カイトはいつ来たのだ?!!!!
    それにしても、一件落着で良かったです~^^
    あの日から怪盗をやめちゃったリン。
    さぞ、すがすがしい気分だったでしょうね~!!!
    リンは普通の女の子としてレンとイチャついてれば、それで良いんです!!!
    ミクのポニーテールとリンの長髪見たい~!!!!!レンの長髪も!!!
    めがねのレンきゅんもグッと来ますね(´▽`*)
    最後の ちゅ が良かったです!!!!!(≧∀≦)b

    明日の短編楽しみにしてます~!!怪盗探偵お疲れ様でした!!(`・ω・´)ゞ

    2010/04/30 00:26:20

    • リオン

      リオン

      華龍さん
      終わっちゃいました、ありがとうございます!!
      ルカはさっさとめーちゃん押し倒しちゃえ☆(やめろ
      カイトは呼び出しうけました。ちなみに、掃除機かけてる最中です。主婦ロイド最高です。
      一件落着ですね。よかった。ちゃんと落ち着けてよかったです。
      清々しいというか、もはや神々しいんじゃないでしょうか(違
      毎日帰り際にチューとか当たり前のようにしていればいいと思います。
      ああもう全員うちに来い(自重。
      イケレン+ツンデレン+マセレン=ウチのレンです。たまにヘタレン。
      違います。 ちゅ。 です(どうでもいい

      今日も頑張ります!!

      2010/04/30 20:34:00

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