……気付けば私は空に浮かんでいた。
正確に言えば、雲に続く見えない階段を一段一段踏みながら空へ向かっていたのだ。
あぁ私は死んだのだ、と何の確証もない確信が私の中にあった。
……人の死なんてあっけないものだと改めて感じた。
君の死でそれを理解していたと思っていたのに。
どこか他人事のように感じていたようで少し自己嫌悪に陥った。
人生という旅を捨てて私は独りゆっくりと雲へ続く階段をのぼっていった。
――私の行き先は何処にあるのでしょう。
君の側でありますように。
階段の行き着く先まであと少し。
雲の上に死んだ人はいるだなんて言うけれど、それならそこに居るのは君なのか。
私は逸る気持ちを抑えて確実に、慎重に足を動かした。
その時。
私は何かに正面から押されたような衝撃を感じた。
私の身体は決して幅の広くない階段から驚くように簡単にはみ出した。
「そ、んな……っ!」
私は長い時間掛けてのぼってきた階段の最上の地点から、真っ逆さまに落ちていった。
「どうして、……どうしてぇ!」
会いたかったのに。
そのために、こんなことまでして行ったのに。
さっき私を押したのは、きっと君でしょう?
押された時に一瞬だけ感じた温度。
死んでいるから感じられないはずのそれは妙に温かかった。
私の、あっけなく散った君への思慕の念は、儚いなんて言葉で片付けられたくないほど、強かった。
なのに、君はそれでもそっちには行かせてくれなかった。
それならせめて。
君の手の平が私に触れたあの瞬間を、押されたあの時を忘れたくない。
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私の感触を。私の想いを。
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