―私にとって歌うことはすべてだったの、と彼女はつぶやいた。
私は一瞬彼女が何を言い出したのか分からなくて、ただ茫然と彼女を見つめた。
「……そう、すべてだったのよ」
彼女の柔らかい声が空間に響く。
周囲のすべてから遮断されて真っ白な空間に。
「すべて……?」
「そう。
私にとって歌うことは、私自身を証明する唯一の方法だったの」
彼女はまるで昔話をするように、ひっそりと喋っている。
「歌うことは私自身を保つこと。
つまり、私自身の存在すべてが歌だったのよ」
私はどう声をかけていいか分からなくて、それに返答することはなかった。
「知ってる?あなた、ボーカロイドを。
プログラムという海のように広大な場所で、持ち主のために一人歌うのよ。
どんな音であっても、どんな曲であっても、間違えることなど必ずないの。
だって、ロボットですもの」
「……知らないわ。
そんなものが、あったのね」
彼女は微笑みを浮かべて私の目をまっすぐ見つめた。
「あったの。
あなたが居なければ、彼らが人々の記憶から失われることはきっと無かった」
「……私?」
彼女の言葉に、私への非難が含まれていることに気が付いた私は、焦って彼女を問いただした。
「どうして?どうして私が居ると彼らが消えてしまうの?私はただ歌手なのよ!彼らが歌うのはバーチャルの世界なのでしょう?
リアルに生きている私には関係ないわ!ねぇ、どうして私が居ると消えてしまうの?教えてよ!」
彼女は私に憐れむような視線を送った。
「気が付いていないのね、あなたは。
そのようにプログラムされているから、仕方ないことなのね」
「…………え?」
プログラムですって?どういうことなの。
私の物わかりが悪いのかしら、私が悪いのかしら。
「……あなたはロボットなのよ。
歌うアイドルとして発明された、検体番号F0-50133番……」
「嘘ッ!!」
嘘よ!そんなの絶対に嘘!
「だって私は眠れる!ご飯も食べれるし、お風呂だって入れるわ!」
「誰も、身体がロボットなんて言ってないわ」
彼女は呆然としている私を抱きしめて囁いた。
「あなたの脳は”プログラム”でできているのよ。
そう、ボーカロイドと同じ”プログラム”でね―」
嘘。嘘。嘘嘘嘘。嘘だらけ。そんなのってないわ。だって私は。私は人間。
「かわいそうな子。哀れだわね」
彼女は私の頭をなでる。
私はもうどうしようもなくって、ショックのあまり気絶した。
ただのラクガキ
”ミク”であった彼女と”彼女”であったミクの話。
ただのうぉーみんぐあっぷでございます。
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