#14「兄と妹」



床に落ちていた鋭利なハサミ

それを自分に向けて、アイツに問う


「私とアンタ……何が違うの?私が女で、アンタが男だから?」


私の手に力がこもる


「ちょ、ちょっと待て!リン!な、何考えてんだ!」


アイツも立ち上がって、私をとめようとする


「いいの……もう、私なんて……いなくてもグミはやっていける……」

「……グミさん?……と、とにかく、ハサミをおろせ」


アイツは必死に私を説得する


「バカだな……そういってやめると思う?」


そういいつつ、私の手は震えている……結局、こんな状況でも怖いものは怖いのだ


「だったら、やめさてやるよ!」


そういって、アイツは私の手にとびかかる


「や、やめてよ!はなして!これ以上、私の邪魔しないで!」

「嫌だね!こればっかりは譲れない!!このぉ!」


本気の力を出したアイツは、私の手からハサミを奪い取った

結局……女の私では、本気の男の力には敵わないのだ……


ハサミを失った私は再び力が抜けて、ぺたんと座り込む


「バカ!」


パシンといい音を立てて、私の頬に痛みが走る

私は驚いて、自分をぶった人の顔を見上げる


「……いつも僕のことをバカ、バカというくせに……何を考えてるんだ……もし、ここでリンに万が一なことがあったら、僕は父さんや母さん、それにグミさんに顔向けできないよ……」


それはいままで見たことのないくらいに私の身を心配してくれている兄の姿だった


「ぶったりしてごめん……リンが何で悩んでいるのかは、まだわからないんだけど……僕が力になれることがあるならいってくれ」


そして、コイツはこんな時でも、すぐに謝った


「リンがいなくなったら、父さんも母さんも、僕も、そしてグミさんも悲しむんだよ……頼むから、もうこんなことはしないでくれ……」


そういって、兄は私を優しく抱きしめた





私は悔しかった……

そして、私は悟った……

兄に何一つ……勝てる気がしない……と

兄を選んだグミの目に狂いはなかった……と


兄の嘘偽りのない言葉は、こんなになってしまった私の心にも染み渡るのだから……


私はそのまま兄に強く抱きついて大声で泣いた

















「どう?落ち着いた?」

「……うん」


あれから一時間ほどして、私をベッドに座らせて、兄は私がめちゃくちゃにしたものを片付けてくれていた


「……ねぇ……その……えと」


私は兄に話しかけたものの、その先の言葉を言えない


「ん?……ああ!大丈夫、リンが泣いたことは誰にも言わないよ?」


それはありがたい……


「いや、そうじゃなくて……その……えと」


私はベッドの上のシーツをつかむ


「ははは、いいよいいよ。リンの言いたいことはわかってる。それにそっちの方がリンらしいよ」


そういって兄はいつも通り笑った

私はこの笑顔が嫌いだったはずなのに、今日はそんなふうには見えない

むしろ、とっても頼りがいがあるように見える


「リンはいつも通りでいいんだ。いつも通り、僕に怒って、グミさんと仲良くして、元気一杯なリンでいればいいんだ。……ね?」

「……うん」


兄の優しさに触れたとき、グミの気持ちが少しだけわかった気がした

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

私とアイツとあの子 #14

レン君ががんばった

リンちゃんの中で変化はあったのだろうか……

次回、最終回です

閲覧数:287

投稿日:2014/02/01 21:16:35

文字数:1,394文字

カテゴリ:小説

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    コメント遅れて不覚です!!
    読んでたんですが、最近ちょっと忙しくて(言い訳無用

    リンちゃん……
    もお、ああ、前も言った気がしますが、誰も悪くないのに、皆いい子なのに……
    そしてイケレン!!
    ああもう最終回が気になるじゃないですか!ww

    2014/02/02 19:14:30

    • しるる

      しるる

      いいんです、いいんです
      私のは、ヒマな時でいいんですw

      13、14は、レン君の見せ所ですからねw
      がんばりましたよーw

      2014/02/02 19:52:57

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