投稿作品28
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■甘いお菓子、ちょうだい■
暗い雲が立ち込めて
小さなガラス瓶を
一杯にしてしまう
ガラス瓶から兎が
ひょこりと顔を出して
瞳を濡らす...甘いお菓子、ちょうだい
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■Shadow■
「帰れないの」
と少女は云った
「道に迷ったの、」
と訊くと首を横に振って
「星が無いから」
と答えて指さすと
「帰れないの」
呟いて夜空を見上げた
確かに其処に...Shadow
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■彼岸■
もう、謝罪も御礼も云いません
代わりに桜の花弁でも空に投げましょうか
あの時の貴方の言葉は宝物と成り
夕陽に透かさずとも綺羅綺羅と光る
そっと風が貴方の馨り運んでも
貴方の吐いた優しい嘘を思い出しても
泣いたりしません
気持ちを殺さずとも歩んで往ける
然様ならも御休みも云いません...彼岸
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■テディベア■
テディの腹ん中に詰め込んだ
焦燥葛藤劣等感
今此処で切り裂くから
其処で見ててよ
拾ったメスの切っ先から
滴る赤い糸舐め取れば
御味は如何?
吐き気もよおす程最高さ
纏わり付く赤い糸ごと胃の中へ...テディベア
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■You are it.■
自己同一性迷子デス
放送案内宜しく御姉さん
「迷子の放送案内申し上げます
自己同一性さん 自己同一性さん
お連れ様が御呼びデス
至急此方へ御来し下さい」
自分で作った不安(モンスター)に
踏み潰されそうサ
サァ手の鳴る方へ御出で...You are it
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■酔ヰどれLady■
貴方がくれた最後の指輪を
ウイスキーのボトルに入れて思い切り叩き割るわ
酔っ払いの戯言だと笑って好いから今だけ 今だけ
長い髪が似合うと云ってそれからずっと切れない儘の髪
後ろ髪引かれると笑って其の指絡めたの覚えてるかしら
思い出話がしたいわけじゃないの今は未だ帰りたくない
ど...酔ヰどれLady
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■nightmare■
幾度も視た夢だから
結末は既に知ってる
繰り返される狂った芝居の様に
御免なさいって何度も泣き乍
繰り返す子供の様に
昨日食べた無花果はもう腐ってしまった
夢の中でさえ僕は
然様ならと云えなくて
手を振り返すだけなんだ...nightmare
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■天鵞絨の沈黙■
音を吸い取る
天鵞絨の部屋
めくらないで、と
少女は唄う
其処で少女は独り
ナイフとフォークを
手に取って
青く冷えきった
心臓を一口ずつ...天鵞絨の沈黙
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■玩具の椅子■
12時過ぎても
起きていられるけれど
魔法は解けてしまう
縫い包みは
玩具箱に仕舞って
立ち上がらなければ
いけないのさ
玩具の椅子は
壊れてしまうから...玩具の椅子
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■迷子の森■
お菓子の家に
捕われた儘の彼は
飯事が下手くそなの
幾度もパンを
鳥に食べられては
繰り返す
僕まで帰り方が
分からなくなったようだよ
何時まで...迷子の森
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■青い鳥■
醜い鳥を
仕留め損ねた
僕を貴方は
正しいと唄う
其の言葉で
初めて知った
醜い鳥の
色
其の色...青い鳥
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■雨垂れる■
真っ赤な口開けた
虹を食べた或の日から
咽喉が渇いて仕方ない
だけど水道水何かぢゃ
駄目なんだ
足りない 足りない
駄々っ子みたいに
だけれど止まらない!
天然水(ミネラルウォーター)だって...雨垂れる
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■春色カーディガン■
彼女の口から
色とりどりの
花弁溢れ出しては
何処か奇妙な静寂に
蝸牛が首を傾げた
時折一番の風が吹いて
花弁を撒き散らしては
去って往く
僕の春色カーディガン...春色カーディガン
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■季節の御便り■
散らばる雪に鶯声
鳴く梅の酒ほろほろ
菫馨るモンブラン
兎噛る苺の花弁
雨色紫陽花揺ら揺ら
泡が弾けて零れる
曹達水の乾杯
烏瓜の御面付けて
仮面舞踏会(ダンスパーティ)...季節の御便り
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秘密キャンディ
丑三つ時
秘密という名の
蜂蜜色した鉱石を
拾いに行こうよ
丑三つ時
秘密という名の
蜂蜜色した鉱石を
見つけたら
丑三つ時...秘密キャンディ
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■天体議会■
夜空の記憶
一番星さえ
忘れてしまう
赤い星を
見付けたから
其れが全て
贋物だって
構いやしないさ
真実ばかり...天体議会