ブックマークした作品
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8
扉があいて、ルカがゆっくりと入ってきた。
「プリンセス、ここは危ないですから…。レン?」
「はい、先生」
にっこりと笑い、ルカに微笑みかけたのは紛れも無くレンの表情で、ふんわりと優しげな、少年の笑い方だった。
黄色と黒のドレスを着たレンはリンにそっくりだ...悪ノ物語 -罪-8
リオン
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7
「めーちゃん、久しぶり」
聞きなれた、しかし少し懐かしい声が聞こえた。
振り向くと可愛い弟分の青い髪が彼女の紅い対照的な目にとても鮮やかに映る。紅い瞳
と短い栗毛が、さっぱりとした彼女の性格を象徴しているようにも見えるが、大きくパッチリと開いた目はすこしだ...悪ノ物語 -罪-7
リオン
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6
一度、ため息をついた。…これは、レンの真似などではなく、実際に離れたところで同じことをやってしまっただけなのだが。
鮮やかな薄い桃色の長髪が、何か考え事をしているのか、彼は心配そうに彼女を見た。さきほど、インカム越しに入ったとてもうれしい知らせが、心の中...悪ノ物語 -罪-6
リオン
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5
「酷くやったもんだよね。顔色もずいぶん悪いし、体中内出血しているじゃないか」
カイコは答えず、ただ恨めしげに我が上司を思い切りにらみつけてやった。テトは気づいていたけれど気づかぬ振りをし、気にも留めないようにレンの傷を見るが、その間もカイコを捉える力は緩まな...悪ノ物語 -罪-5
リオン
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4
ふと目を開くと、焦点が定まらないままにぐらぐらと頭が前後左右に揺れる。
焦点が定まってくるにつれ、周りの色や形が綺麗に見えてきた。
「う…。ここは…」
レンはあたりを見回して、なにかの建物の地下室か何かにいるということが、冴え始めた頭にインプットされるよう...悪ノ物語 -罪-4
リオン
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3
国民たちの熱も冷め、どうにかさっきの知らせは間違いだと国中に広めることができた。ルコとルカはほっとしてその場に座り込んだ。と、そこに薄汚れた鎧を着た兵士が一人、城の裏手から走ってきて、ルコに報告した。
「リン王女がいらっしゃいません!」
「何、自室はしらべた...悪ノ物語 -罪-3
リオン
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2
『ヒトゴロシ』
『ヒトゴロシ』
『王女ハヒトゴロシ』
『召使モヒトゴロシ』
『緑ノ少女を殺シタ、ヒトゴロシダ』
『イツカコノ国モ植民地ニナッテシマウ』
『コロセ』
『王女ヲコロセ』
『召使ヲコロセ』...悪ノ物語 -罪-2
リオン
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-罪-
レンはしばらくリンの縁談が気になっていたが、本人の前では切り出せずに居た。
一方、あのミクという少女とはたびたび会っていた。
緑ノ国へ出かける用事があるときは自ら進んで出かけ、そのたびにミクとあってはそれぞれの国の栄えているところ、これからやっていきた...悪ノ物語 -罪-1
リオン
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4
「リン王女がお帰りになられた!」
大きな声が、王宮内に響き渡った。
大臣たちが王宮の玄関あたりまで走っていき、かわいらしい王女様を笑顔でお出迎えした。
「王女、お疲れになられたでしょう。ささ、お部屋でお休みください」
「レンはこちらで報告をなさい」
リ...悪ノ物語 -離-4
リオン
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3
ある日、リンレンの二人は隣国である緑ノ国へ視察に行くこととなり、お忍びではあるが、緑ノ国の街へと出かけるということになった。
豊かな緑ノ国は町も賑わっていて、黄ノ国など比ではないというようだった。
「レン、あそこのお菓子は何?たべてみたいわ」
「ここでまって...悪ノ物語 -離-3
リオン
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2
その後、間違いを訂正して国民からの批判を受けるのを免れるため、リンが正当な王位継承者となり、レンが召使となった。
それから数年後、国王が病気で死去、王妃も後を追うように亡くなってしまう。
リンは14歳という異例の年で、女王となり、レンはリンにお付の側近・...悪ノ物語 -離-2
リオン
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-離-
「レン、遊ぼう。今日はね…、ジャジャーン!パズルを買ってもらったの!一緒にやろう。レンは頭が良いから、リンが一人でやるよりもずっと早くできるもん」
金髪のショートヘアーにお気に入りの黒いレースがついた大きなリボン付け、揺らしながらリンは言った。
レンも...悪ノ物語 -離-1
リオン
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-序-
さあ、物語は今からずっとずっと昔。貴族の服がいっそう華やかになったころ。
悲しくも哀れ、そして狂おしい一生をたどった、美しい双子の物語。
彼らは望まれずに祝福の光を浴び、生まれてきました。何も知らぬ民衆からは喜ばれ、両親には望まれぬことなった、過ちを犯...悪ノ物語 -序-1
リオン