タグ:がちゃっぽいど
7件
「レン、遅いなぁ…」
リビングのソファを独りで占拠すると、リンはつまらなそうに呟いた。
ばたばたと騒がしい足音が聞こえる。
玄関で誰かの、たのもー、という声が聞こえた。
「はいはーい」
グミが玄関を開けると、その相手が誰で、何の目的なのかを理解する前に、客はずかずかと家の中に入っていった。
...ホワイトデーとクッキー 下
リオン
顔を地面に強打したがちゃ坊がそのままの恰好で、うううと唸っていると、ガチャ坊、どうしたの?とよく知っている声が響いた。
「こんな時間にひとりでどうしたのよ。」
釣り目気味の瞳をぱちくりと瞬かせて次姉のリリィがそこに立っていた。学校帰りなのだろう、まだ制服姿で大きな鞄をその肩にかけている。
もうこ...母の日のぼうけん・6
sunny_m
「ありがとう。」
がちゃ坊が差し出したカードを笑顔で受け取って、だけどそうしたらあともう一つ必要なのね。と女の子は再び考えるようにうつむいた。と、次の瞬間。何かを思いついた様子で女の子はぱっと顔をあげた。
「あ、それじゃあ庭のお花はどうかな?」
明るい表情でそう言って、女の子は窓の外へと視線を向けた...母の日のぼうけん・5
sunny_m
気がつくと歌声が重なっていた。
自分と違う女の子の声だった。小さな歌声と共に、こつこつという石畳の上を歩く靴の音も響いていた。その歌声をもっとよく聴こうと、がちゃ坊は歌うのをやめて、真っ白い靄の中に視線を向けた。
と、相手の歌声も止んでしまった。不意にがちゃ坊が歌うのをやめたせいで相手もがちゃ...母の日のぼうけん・4
sunny_m
誰かに家に帰る道を訊きたいけれど、だれも通らないんじゃあどうしようもないや。とがちゃ坊は半ば開き直った気分でその場に座り込んだ。ずっと歩き回っていたせいで、少し疲れていたのだ。それにおやつを食べ忘れたせいでお腹もすいている。
ぽっけに何か入れていなかったかな。とカーネーションを入れていたのと逆の...母の日のぼうけん・3
sunny_m
「ひゃくえん」
百円と言ったら、小学1年生には大金だ。というか、がちゃ坊のお小遣いは毎週七十円である。この間もらったばかりだけど、とそっとお財布の中身を覗いてみたがやっぱり七十円しか入っていない。
百円、ないとカーネーションは買えないのだろうか。どうしよう。おろおろと泣きだしそうな様子で眉をハの字...母の日のぼうけん・2
sunny_m
「明日は母の日ですから、おかあさんに母の日に毎日の感謝の気持ちを送りましょうね」
授業が終わったあとのホームルームの時間。担任の先生が連絡事項の最後にそう言った。
その言葉に、児童たちが、はーい、と元気よく返事をする。周囲のクラスメイト達の元気な返事に、少し首をかしげながらも、はーい、とがちゃ坊も...母の日のぼうけん・1
sunny_m