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<期待してあけるドア>
久々に仕事休みをもらった。
多分、私の体調を考慮してくれた結果だと思う。
でも休暇は残念なことに平日のど真ん中で、旦那はともかくちびーず達はみんな学校に行ってしまって、一日中遊んでやれないのが残念だった。
でもまぁ、たまには夫婦水入らずっていうのも悪くないかもしれない。
旦那...ボカロ イメージ小説~家に帰ると家族が必ず死んだふりをしています~(4)
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<そして新境地へ>
神威夫婦の乱入によりコスプレ死んだフリも行きつくところまで行ったようで、それからしばらくは落ち着いた(?)ものが続いた。
そういえば、いつのまにか「一人ずつ順番に」っていうルールも気が付けば形骸化してきたような気がする。
けれど、あの旦那とちびーず揃って血のりぶちまけたアレも、マ...ボカロ イメージ小説~家に帰ると家族が必ず死んだふりをしています~(3)
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<きっかけ>
うちの家族たちがこんな真似をするようになったのは、いつぐらいからだろうか。
多分、先月の初めくらいに遊んでいた“かくれんぼ”がきっかけだったように思う。
休日ながら仕事で外出していた私を除く家族四人、暇つぶしに遊び始めた、かくれんぼ。
けれどやるからには徹底してやるというのが、うちの家...ボカロ イメージ小説~家に帰ると家族が必ず死んだふりをしています~(2)
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<家に帰ると家族がそろって死んだフリをしています。>
……最近、少し食欲が無い。
いつものお昼のA定食(焼き肉定食)も…
たまに選ぶB定食(メンチカツとコロッケとアジフライ盛り合わせ定食)も…
週一の楽しみのC定食(大盛り焼きそば餃子チャーハン定食)も…
最近は完食できずに残してしまいがちになってし...ボカロ イメージ小説~家に帰ると家族が必ず死んだふりをしています~(1)
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山には、昨夜の内に雪が降った。
赤茶色に枯れた晩秋の景色を晒していた山々も、今朝にはもうあたり一面、銀雪に覆い尽くされていた。
かつては紅葉に彩られていた木々も、代わりに幾つものつららを枝に垂らし、その下を流れる谷川の水も、身を切るほどの冷気をはらんで飛沫を輝かせていた。
空には厚く暗い灰色の雲が立...ボカロ イメージ小説~いろは唄~
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<浅き夢見し 酔ひもせず>
あの山奥の旅籠で那須衆の頭領を討ちとってから数日が経っていた。
山々の紅葉はすっかりと落ち、寒々しい裸枝が乱立する森の中を、時おり銀の粒子をはらんだ風が寂しい音を立てて吹き抜けて行く。
晩秋が終わり、いよいよ冬が来ようとしていた昼下がり。
楽歩は谷川の河原の岩に腰をおろし...ボカロ イメージ小説~いろは唄~浅き夢見し酔ひもせず
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<有為の奥山 今日超えて>
リンと名乗る少女と出会ってから、四年。
神威家が取り潰されたから五年が過ぎた。
この四年というもの、真綿に水がしみ込むように忍法を覚えて行く凛に、修行を施すのは楽しかった。
と言っても、幼い身体を痛めつけるような過酷な鍛錬を課した訳では無い。
忍法と一口に言っても色々ある...ボカロ イメージ小説~いろは唄~有為の奥山今日超えて
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その壮絶なる覚悟をもった非情な男が、凛と言う名の少女を手に入れたのは今から四年前のことだった。
伊田寝を出奔した楽歩は、追っ手から逃れるため陸伝いでは無く、船で他国へと向かっていた。
その船旅の最中での出来事だった。
千石船に山と積まれた荷物の隙間に、楽歩を含め二十人ばかりの舟客が居た。
その舟客の...ボカロ イメージ小説~いろは唄~我が世誰ぞ常ならむ(2)
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<我が世誰ぞ 常ならむ>
神威 楽歩は、元は伊田寝家が召し抱える那須衆と呼ばれる忍びの一人であった。
忍びの中にも侍階級も居ればそうでない者も居る。更にその中で、上忍、中忍、下忍と細かく分けられるのだ。
そのなかでも神威家と言えば、忍びの差配を司る侍の一族の一つであり、那須衆のなかでも大きな影響力を...ボカロ イメージ小説~いろは唄~ 我が世誰ぞ常ならむ(1)
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――神威っ!
「お久しゅうござる、お頭」
男に心中、神威と呼ばれた男は、その細面の顔に冷たい笑いを浮かべた。
しかし、それがぞっとするほど美しい。
「我が弟子の妙技、ご満足いただけたようで実に何より」
言葉からも山なまりが消え、その低く深い声が、座敷にしんしんと響き渡る。
「紹介いたそう。我が弟子、...ボカロ イメージ小説~いろは唄~ 色は匂えど散りぬるを(2)
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<色は匂へど 散りぬるを>
倶利府の国は北の奥。
隣国の伊田寝との国境にも近いそこは、急峻な山々が軒を連ねる峠道であった。
山の谷あいには倶利府の側から谷川が流れ、それはやがて伊田寝に至り海へと流れ込んでいく。
峠道はこの谷川の沿いに細い道を伸ばしていた。
しかし険しい峠も一つ越せばそこは国と国を結...ボカロ イメージ小説~いろは唄~ 色は匂えど散りぬるを(1)
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デート当日、待ち合わせの駅前広場。
もちろん予定時間の三十分前。手には三段重ねのアイスクリームと準備は万端だ。
ただ気温が思ったよりも高いので、アイスが想像以上に早く溶けてしまいそうなのが誤算だった。
たぶんこのままじゃ三十分どころか五分と持たない。なんてこった。せめてカップアイスにしておけばよかっ...カイメイでメルト(その2)
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朝起きると真っ先に思い浮かぶ、君のこと。
≪とっとと起きなさい、このバカイトっ!≫
何しろこうやって毎朝、耳元で怒鳴り散らされるのだから、思い浮かばない方がどうかしている。
僕は蒲団にくるまったまま手を伸ばして、ベッドわきの携帯電話を掴んだ。
≪とっとと、起きなさい、この――≫
「はいはい、起きたよ...カイメイでメルト(その1)