「誕生日おめでとう、がっくん」


屈んで俺の頭を優しく撫でながら言うルカ。

何を隠そう今日7月31日は──俺の誕生日なのだ。

ついでに俺についても紹介してやろう。
俺の名前は「がくぽ」。
愛称は「がっくん」で、ここの屋敷の皆に愛される存在だ。

ハハ、この世に誰からも愛されるなんてことはないよ、だって?
確かにルカがよく読んでいるミステリーからもそんな言葉がある。
だがしかし、俺は誰かとすれ違うと必ずといっていいほど頭を撫でなれ、俺の好物も貰えるのだ。
よくルカにも「はぁ、がっくんを見てるとホントに癒されますぅ。もう全てがどうでもよくなるほどに……ハッ、いけないいけない、宿題をちゃんと終わらせなくてはぁ!」と言っていた。
つまり俺はこの屋敷の癒しであり、アイドル的存在であるといっても過言ではないのだ!

どうだ、恐れ入ったか! さあ、俺を敬え、崇め、そしてひれ伏せ!


「──さあ、がっくん。ご飯ですよぉ」


……おっといけない、俺としたことが、何処かの誰かも分からん人たちを従えようとして、目の前にご飯に気づかなかった。
ルカが、俺がご飯を食べるのを今か今かと笑顔で待っているというのに!

「この作品を呼んでいる人達(なんというメタ発言)を俺に付き従わせること」はもうすでに俺の頭の片隅にすらなく、代わりに、頭の中は「目の前にあるご飯に集中すること」で埋め尽くされていた。

無我夢中でご飯を食べていると、ルカはふふふと可愛く笑って俺の頭を撫で続けた。


「がっくんは可愛いですねぇ」


ルカは、というか屋敷の人達は全員俺のことを「可愛い」と言ってくるが、俺としては正直納得がいかなかった。
俺は男なのだから「カッコイイ」と言ってほしいのだが、誰一人して俺を「カッコイイ」と褒めたことはない。
解せぬ。


「がっくん? どうかしたのですかぁ?」


ルカは首を傾げ、一緒に彼女の桃色の長い髪も揺れる。

まるで女神を思わせるかのような容姿に落とされた男は星の数ほどいるらしく、そして彼女を狙って社会的に殺されそうになったという雄も同じくらいに存在するらしい。
それぐらいルカは美しく、地位も高い。

ちなみに俺はルカにどんなことをしても怒られないという特権を持っている。

はははっ! 聞こえる、聞こえるよ。
この俺に歯軋りをする者たちの声が! はははははry



ご飯を食べ終わり、ルカは俺の皿を持ってキッチンへといった。
その背中を見送りながら優越感に浸る俺に、真上から間抜けな声が降ってきた。

顔を上げて声の主を確認すると、馬鹿亭主でありルカの父でもあるカイトだった。
カイトは爽やかな笑顔で「おはよう、がくぽ」と頭を撫でてきた。
……ええい、俺が撫でられたいのはルカや女であって、お前じゃないんだよ!

俺は体中から「触るな」オーラを発した。
だがそれも空しく、カイトが俺の頭から手を離したのはルカが戻ってきてからだった。
男に撫でられたことにより不機嫌な俺などよそに、二人はなんともムカつく家族愛を見せつけた。

会話を載せるのすら疎ましく、ここでは割愛させてもらうことにする。

そして家族愛()のあと、俺はカイトから誕生日プレゼントでナスの大きなぬいぐるみを貰った。
俺はこのときだけ、この馬鹿亭主を好きになった。
こ の と き だ け だが。(大事なことなので2回言いました)



その後の他の誕生日プレゼントについては面倒くさいので割愛してもらうが、いつしか俺の周りはナスのぬいぐるみだらけになった。
いや、確かにナスは好きだが……こんなに貰っても……なぁ……。
だがルカは俺が喜んでいると思っているのか、「良かったですねぇ、がくぽ」と俺の頭を撫でた。

俺は「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」と聞きたくなった。
──否、たとえ聞いたって無駄だ。

だって俺が彼女たちの言葉を理解できても、彼女たちは俺の言葉を理解できないのだから。

だって俺は──


「うふふ、がくぽは世界一可愛いワンちゃんですぅ!」
「ワンッ」


──犬なのだから。

この屋敷に買われ、この屋敷で育ってきた、この屋敷の飼い犬。
だから皆に「カッコイイ」ではなく「可愛い」と言われ、頭を撫でられ、プレゼントだってホンモノのナスではなくナスのぬいぐるみ。
ルカに近づいてたって社会的に殺されることもない。
むしろ喜ばれるぐらいだ。

俺とルカの関係は飼い犬と主人。
それなのに俺は、ルカのことを好きになってしまったのだ。

分かってる。
こんな恋叶うわけがないって。
所詮は飼い犬と主人なんだって。

──それだけではない。
ルカにも思い人がいる。
ガクトという、俺の見知らぬ人だ。

俺は彼の顔を見たことがない。
それもそのはず、彼は、俺が生まれるとほぼ同時に──事故で死んでしまったのだから。

メイドのグミの話から、彼とルカは間違いなく近い将来結婚していたらしい。
──不幸な事故さえなければ。



当時彼の死にショックに立ち直れていなかったルカ。

そんなときにルカは俺を見つけた。

俺の産まれた日が7月31日──彼の命日であり誕生日──であることを知
ったルカは、スグに俺を買い取った。

そして俺は彼女に「がくぽ」と名づけられた。



グミは、どうせ犬の俺に聞かせても意味など分かりはしないと思ったのかほとんどを包み隠さず話した。
だが、俺はその話に人知れず──いや、犬知れずショックを受けた。

この恋は絶対に叶わないということに。

彼女がそんな悲しい過去を背負っていたことに。

そして──俺は彼の代わりだということに。



──だが、それでもいいと思った。
愛しの彼女に近づけられるのなら。

ルカの部屋のバルコニーにて。
椅子に座って俺を膝の上に置き、瞬く星を眺めながら何処か寂しそうな顔をする彼女に、俺はぺロリと彼女の頬を舌で舐めた。

すると彼女はニコリと笑い、「くすぐったいですよぉ、がくぽ」と俺の頭を撫でたのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【がくぽ誕】たとえこの思いが届かなくても

うっわあああああああああああああああ間に合わなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!_(:3」∠)_←
時間なかったのでめっちゃ短いです。んでもってgdgdです(泣)
しるるさんギリギリ見逃してもらえませんかねぇ(´;ω;`)

とにかくがっくん誕生日おめでとう!!
遅刻だけど!! コレぽルカかどうか怪しいけど!!(((

閲覧数:312

投稿日:2013/08/05 00:11:34

文字数:2,499文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    一日?起きてから寝るまでに決まってるじゃないか!←

    これはいいワンコがっくんwwwwメタ発現するなwww
    そしていい生活をしているじゃないですか。
    だが残念だったな!!歯ぎしりだって?するわけがないじゃないか!
    なぜなら俺はルカさんに蹴ってもらったり踏んでもらったり鞭でシバいてもらったり言葉責めにしてもらったりでも時々抱きしめてもらったりと激しく熱く燃えるようなスキンシップをしているのだからな!!(おい
    怒られない?ふふ、真に『ルカさんは俺の嫁』と言える者とはっ!!
    叱られる痛みすらも快感に変えられる上級者のみなのだああああ(何語ってんだ

    『俺が撫でられたいのはルカや女であって』
    犬だから仕方ないとはいえわずかに漂うヴェノさん臭www
    そしてこれはいい謎解きディナwww
    因みに私は原作も映画も見たことはないです(´・ω・`)

    今回誕生祭オリジナルモデルのがくぽは俺しかいなかったというねwww
    だがまぁ、大丈夫だ、問題ない。

    2013/08/05 21:50:40

    • 雪りんご*イン率低下

      雪りんご*イン率低下

      そうだね! 確かに一日は起きてから寝るまでですね!←

      最近私「メタ発言」という言葉がry
      何を隠そう、ルカちゃんは財閥令嬢という設定ですから!
      うぉ……予想以上に変態でしたね……(蔑んだ目)←

      あ、ヴェノさん臭に気づきましたね!
      いやー、今回のがっくんは珍しくヴェノさんっぽい性格なんですよ! kwsk言うならヴェノさん&リリアンヌ様(

      謎ディは原作も映画も面白いですよ! ぜひ見てみることをオススメします!(`・ω・´)

      確かにwwwこの中で一番オリジナルに近いものはターンドッグさんのやつですねwww
      まあ、大丈夫だ、問題ない((

      2013/08/06 14:26:25

  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    りんご!ギリギリ間に合っているよ!
    投稿した時間がまだ四日の二十四時十一分だ、一日は二十五時間!((←
    大丈夫、私のは祝ってすらないからな!!((

    よし、まとめてツッコミを入れていこう!
    なんというメタ発言をww
    そして「だがしかし、俺は(略)必ずといっていいほど頭を撫でなれ(ry」で、「犬か?」と予想した私。まさかのBINGO!
    ふっ、歯軋りなどしないさ。なぜならルカさんは私の嫁だからだ!←
    おう!カイトがおじいちゃんdげふんげふん。
    というか、セリフが某ナゾトキドラマにw
    グミちゃんがメイドなのは固定なのか!?w

    …うん。全然まとまってないし、ツッコミじゃないね!
    我が家のがっくn…ツッコミ担当って凄いね←

    結構新鮮な話だったね。
    そして今回の企画(かなりあ荘がっくん誕)、私→幽霊 ターンドッグさん→ロボット りんご→犬 という、見事に主人公のがっくんが人間じゃないっていうね。
    だが…がっくんはどんながっくんでも、かっこいいのだ!←

    がっくんがルカさんラブだから、がくルカでいいんじゃないかな(おい

    2013/08/05 16:09:00

    • 雪りんご*イン率低下

      雪りんご*イン率低下

      そうだね! 一日は25時間だ!←
      なんてたってもうすぐ27時間TVもやるんだsh(ry

      最近「メタ発言」という言葉が気に入っているんです私w(
      チッ……バレていただなんて……ッ!!(あっはー、バレちゃってたかーwwwまあちょっとこれはバレるかなーって思ってたんだよー!www)←本音と建前が逆
      ……そ、それはターンドッグさんの台詞かと思ってたぜ……((ぇ
      そしたらめーちゃんはおばあちゃんに……おっと誰か来たようだ(フラグ)
      私は初日に、しかも舞台挨拶付きでこれの映画を見に行きました。コレの小説の筆者も、そして毒舌執事を演じてた人も大好きな私にとって幸せでしたry
      Bad∞End∞Nightの影響か、グミちゃんがメイドなイメージが強いんですwww

      確かにゆるのがっくんはとってもいい仕事()してるなって思うwww

      wwwちょっ、それ言っちゃダメでしょwww確かにがっくんはどんなのでもカッコいいけど!wwwwww←

      がくルカ好きなゆるに言われて安心しましたー。
      よーし、それじゃあもう堂々と「コレはぽルカです」って言いますねー(((

      2013/08/05 16:47:43

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