数日後、雅彦とミクと沢口は雅彦行きつけのレストランでライブの打ち上げをしていた。
 「それでは、乾杯」
 『乾杯』
 そういってソフトドリンクで祝杯をあげる三人。
 「ミク、改めて、お疲れさま」
 「ミクさん、お疲れさまです」
 「雅彦さん、沢口さん、ありがとうございます」
 二人からねぎらいの言葉をかけられ、笑顔でこたえるミク。
 「そういえばさ、ミク、最初の天井から降りてくる演出って凄かったね、あんな演出、今までなかったと思うけど」
 「はい、せっかく天使をイメージした曲があって、それで天使になりきるんだったら、高い所から降りてくる演出が良いんじゃないかって話になって、ちょっと危険だったんですけど、何度もリハーサルして失敗のないようにしたんです」
 「ふーん、思い切った演出だったね。お客さんは楽しそうだったけど。沢口さんは、何か気になった曲はありました?」
 「ええっとですね、個人的には戦乙女の姿は良かったと思います。事前に安田教授からライブの映像を貸してもらったんですが、その中にもあんな姿はなかったですし、いつものミクさんと雰囲気が違う所は良かったと思います」
 「それに関しては、今回はいつもと違うことをしようということで、雰囲気が違う衣装や演出をしたんです。最初の天井から降りる演出等もその一環ですよ」
 「ふーん、確かに今回は選ばれた曲や演出はかなりいつもと変わっていた曲が多かったな。定番も悪くないですが、趣向を変えるのも悪くないですね」
 和やかに会話が続く。しかし、しばらくするとミクが話さなくなった。
 「ミク、どうしたんだい?」
 「あ、あの、沢口さん」
 「はい?」
 「私、沢口さんに謝らないといけないことがあります」
 「何ですか?」
 沢口が少し困惑した様子で話す。
 「私、沢口さんに嫉妬してしまったんです」
 「私に嫉妬ですか?なぜ?」
 沢口が驚いたように話す。
 「あの、雅彦さんの気持ちがずっと沢口さんの方に向いていたことがあって、それで、ずっと雅彦さんの愛情を受けていた私が、そのことに気がついて、沢口さんに嫉妬してしまったんです」
 「それについては僕が補足します。僕が沢口さんをしってから、沢口さんと何かしらの形で接することが面白く感じていた時期がありました。それで、いつもだったらミクに対して接している時間も沢口さんと接することに費やしてしまったので、ミクと接する時間が減ってしまい、ミクが嫉妬したんです」
 ミクと雅彦が事情を説明する。
 「そうですか」
 「ミクは嫉妬をよい感情とは思っていなかったので、そのことを指摘されて戸惑ったみたいです。僕も、ミクにそんな感情を抱かせてしまったことは反省しています。ただ、そうだからといって、今までみたいにミクに対して愛情を注ぐことは難しいので、僕は一緒に沢口さんを好きになろうと提案しました」
 「私を好きになるんですか?」
 「はい、沢口さんは良い人ですから、それが良いと思っています」
 「沢口さん、そんな私ですけど、好きになっても良いですか?」
 「それは大歓迎です。世界的スターのミクさんに好かれるなんて、滅多にあることではありません」
 笑顔でこたえる沢口。その後も、今回のライブについての話に花が咲いた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初音ミクとパラダイムシフト4 2章29節

閲覧数:63

投稿日:2017/03/09 00:01:53

文字数:1,363文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました