「これって、何て読むか分かる?」
私はカイトに、二字熟語を見せる。
「かいこ、ですよね? これぐらい僕だって読めますよ」
少し怒ったような目で、こっちをみてくるカイト。・・・やっぱり、可愛いw
「そうそう。はいよくできましたー♪」
「・・・子ども扱いしないで下さい」
カイトは、ますます怒ったようにこっちを見てくるけど、それに比例してほっぺがますます赤くなっていく。・・・やっぱり、嬉しいのかーぁ♪
「じゃあさ、意味分かる?」
「・・・ぁ」
カイトの瞳に怒った要素が消えて、代わりに、小さく揺れ惑う。私はにこやかに、
「あれれぇ? 分かんないの? 分っかんにゃーいのー??? それじゃあ、子ども扱いしてもいいよね、はいおっけー!」
「・・・あ、当て字ですか」
「・・・ん?」
「僕とは直接面識無いんですけど、カイコという僕に、そっくりな女の子がいるんです。だから、その子のことかなって・・・」
「・・・・・・・・へー、あの研究まだ続いてたんだ。てっきり研究所ごと無くなったのかと思ったよ」
私は、口調を暗めにして言った。感想めいた本音で。
「え? マスター?」
幸いなのかは分からないが、距離があったためカイトには聞こえなかったようだ。いやぁ、よかったよかった。
「何でもない。でね、本当の意味は・・・」
でも、この時の私は分かってなかった。
この時から、・・・。
事件は、すでに始まっていたってこと。
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