願い、星にかけて~KAITO,MEIKOの想い~


 ……そう、悪いのは私だ。

    私は飛び続ける

 リンのせいじゃないんだ、これは、私が引き起こした願い。

    私は飛び続ける

 早く、早くこの手で止めないと…

    私は飛び続ける

 森の中、何故か開けた場所、綺麗な星空。

  ーここが、



 朝が来た。
 いつも私の上に乗って寝ているリノを突き飛ばそうとしたが、リノはそこに居なかった。
 ミクのところにいるのだろうか?

 「リン!ミク!ちょっと来てくれ!」

 聞き慣れた声に返事をする。

 「兄さん、アイスなら、買いにいかないよ。」

 そう、KAITO兄さんだ。
 
 「違う!めーちゃんが大変なんだ!!」

 いつになく真剣な声。
 ただ事じゃないのが一瞬で分かり、ホテルを飛び出した。

 「どうして兄さん、姉さんを置いてきたの!?」
 「だって、めーちゃんにそうしろって言われたから!」

 遠くに、姉さんらしき人が居た。
 その周りに居るのは、荒らしだろう。
 ここからでも援護ができる歌を、必死で考える。

♪~愛されたいと口を零した もっと大きなハサミで顔を切り取るのさ

 すぐ近くを、もうひとつの鋏が飛んでいった。

♪~だけど仕事は頑張らなきゃ 鋏を片手に一生懸命

 ルカだ、いつの間に追い付いたのだろう。
 二つの鋏は風の刃を作り、突破口を切り開く。
 私たちは、一気に乗り込んだ。

 そこは、今までとは少し近うコメントで覆われていた。

 「MEIKOの声聞き取れんw」
 「初代やからって、もう使う奴いないだろ」
 「結局、ミリオン曲あるんけ?」

 耳を塞いだ。聞きたくなかった。私が作った世界の荒れと認めたくなかった。
 言い返してやりたかった。
 それでも、それすら荒れる原因になりそうで、怖くて。
 それを打ち破ってくれたのは…兄さん……

 「めーちゃんには、めーちゃんだけの声がある。その声でしか表現できない世界があるんだ。君たちに、それを馬鹿にする資格なんか、これっぽっちも無いんだ。」

 ミクの手を引いて、中心に歩いていく兄さん。
 そして、突然歌い出した。

♪~消せない硝煙を香水にまとう姫 強い瞳僕の凍った仮面ごと撃ち抜く

 荒らしは凍りつき、打ち砕かれていく。
 一気に片付けるために、兄さんを使いに出したのかな…
 それにしても、リノの居ない戦場は…いや、空間というかは、空っぽになった気分だ。
 なんだろう、感情の一部が欠落したようなこの感覚は…

 「KAITO、遅かったじゃない。でも、ありがと。」
 
♪~花散る森の道駆け抜けた愛する二人の赤子胸に抱いて夜を走る…逃亡者

 姉さんの歌。
 本当に綺麗で、悲しい歌。
 姉さんが駆け抜けると、荒らしたちは散っていった。
 ここまで来て、呟く。

 「あれ、レンは一緒じゃないんだ?てっきり、リンと一緒なのかと思ってた。」

 「私にも、わからなくて…ごめんね」

 「ああ、良いのよ、謝る必要なんてないわ。」

 そう、レン…どこにいるんだろう……



 家を出てから、もうすぐで一年が経つ。
 ふとリンが恋しくなり、その感情を必死で抑えた。
 目の前を流れ星のような姿が飛んでいった。
 それが泣いているように見えたのは、気のせいだろうか。
 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

願い、星にかけて~KAITO,MEIKOの想い~

 はい、今日で七夕まであと16日ですが、それまでに完結は難しいかな。
 いや、だからといって、決して私が「世界を急速に終末に近づけている犯人」なわけ、ないですよ!
 これは本当に!
 
 最後のレンは、レイに繋ぐt(

閲覧数:143

投稿日:2013/06/21 22:57:48

文字数:1,405文字

カテゴリ:小説

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