「・・・・アカイト、なっかなか粋な事やるじゃん!!」
リンが心底感心した様子で呟く横で僕は夜空を見上げながら、アカイト君には叶わないなぁとか思っていた。
「・・・・ミク」
僕は、同じ空を眺めているはずの好きなコの名前を誰にも気づかれないように、そっと大切なものでも扱うかのように、呟いた。

(・・・正直、こんなに楽しいとか思ってなかったなぁ・・・)
夜空を眺めながら、私は思った。
(<メッセージ花火>なんて、あるんだね・・・)
テレビでそういう特集は、あっていたがこうして実際にあると、
(・・・・・嬉しい、としか思えないよね・・・)
私は、口元がほころんだ。
(・・・アカイトには、感謝しなきゃ。こんな何のとりえもない私を夏祭りに一緒に行かないかって誘ってくれたから・・・)
私は、となりにいる赤い髪の人のことを思いながら、夜空に目を凝らす。メッセージの最後の1文字を見届けるために。
<さぁて、いよいよメッセージの最後の1文字を打ち上げます!準備はいいですか?・・・それでは、いっきまぁすっ!!>
ハイテンションな司会の声がして、辺りはよりいっそう静寂が音を押しつぶす。
会場にいる人々も息を潜める中、ついに最後の1文字が打ちあがった。
ひゅ~~~~・・・
という音のあと、
どぉーんっ!どーん、どーん!!
ピンクの花火の周りに、色とりどりの花火が囲む。
「・・・<る>・・・」
私は、小さく呟いた。そして頭の中で全部つなげる。
(・・・す、き、あ、い、し、て、る・・・)
私は息をするのを一瞬忘れた。
<好き、愛してる>
それが、アカイトが私にくれたメッセージ・・・。
「・・・アカイト」
私は、小さく彼の名前を呟いた。
「ん?・・・何だ?」
アカイトは、全て分かり切ったような優しい声で返事した。
「・・・・・・」
「・・・・!」
私は、アカイトに抱きついて、たった一言
「・・・ありがと」
とだけ、言った。本当は、いろいろ言いたかったけど、言葉が出てこなかった。
「・・・まぁな」
私の言葉にアカイトはまんざらでもないようだった。
そして、そのまま私とアカイトは夜空を見上げていた。

そのあと。
「あー<好き、愛してる>なんて、アカイトってば、きゃ~~~っ!!はあ、なんかもうミクが羨ましいよっ!・・・ね、カイトも・・・」
リンが、はしゃぎながら言って、僕を見て言葉を詰まらせた。
「・・・あ、ごめん・・・。・・・カイト」
歯切れ悪くリンは誤る。
「・・・ねぇ、マスター(作者)とはどうなの?」
「・・・え、うん。マスター(作者)とは両思いだよ・・・。・・・リンちゃん」
僕は夜空を振り仰いで
「・・・心配しなくても、大丈夫だよ。もう僕には大切な人がいるからね」
と、リンに笑いかけた。
「・・・・そっかぁ!なんか、嬉しいなぁ・・・とっても」
リンは嬉しそうに、しみじみちした口調で言った。
それから、僕とリンは星が綺麗に輝いている夜空を見上げながら、自宅へと歩いたのだった。

                    END

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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日常的環和 18話 初デート夏祭り大作戦!!その8

夏祭り大作戦、いかがだったでしょうか?楽しんでもらえたら嬉しいです♪
これで夏祭り編は終わりとなります。

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投稿日:2009/08/03 14:10:58

文字数:1,271文字

カテゴリ:小説

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