病室に眠る人形は
今日も心の中に
聞こえない、そのままで
消えていってしまうのか

誰かがしきりに話しかける
デモ、キコエナイヨ
その誰かに話そうとする
デモ、ハナセナイヨ

そんな人形を
皆は知らないふりをする
感情なんて、
とっくの昔に
わ、す、れ、た

一人ぼっちの人形は
今日も病室の中に
サミシイなんて、そんな事
言えるわけないのだから

知らない誰かがここにいる
キミハイッタイダレナノ
知らない誰かが話しかける
ヨク、ワカラナイヨ

そんな人形に
明るく接する知らない子
その子のおかげで
消えかけて行ったものが
う、ま、れ、た

感情を知った人形は
今日は病室の外に
楽しみながら泣きながら

でも幸せは、続かないのだ

誰も病室にはいなかった
イッタイ、ドコニイッタノ
どこに行ってもいなかった
モシカシテオイテ、イカレタ？

その子の名前は
なくなってしまったのだ
そう、その子は
存在自体を
け、さ、れ、た

一人になった人形は
今日からまた心の中に
涙を必至にこらえては
一人で過ごしていた

見つかってしまった人形は
知らない大人に連れ去られ
とがったものを向けられて
静かに消えてしまったの

消えてしまった人形は
もう戻ることはない
無人になった病室に
また人形がやってくる

また人形がやってくる