二時間続きの音楽が終わり、生徒達はゾロゾロと教室を出て各自の教室に帰っていく。
「あー、何か楽だったわ」
うん、と伸びをしながらリンは言った。
「そら、まだ完璧に授業らしい授業受けてないからだろうが・・・」
ポソリ、とネルに突っ込まれリンは う、と言葉に詰まった。
「ま、まぁ、ホラ!次はお昼だし!まだ午後の授業あるでしょ!?そん時に頑張るよ!」
「ほう、その物言いだと音楽は頑張ってなかった様に聞こえるぞ」
「!!! あぁ、もうネルはぁ!音楽だって頑張ったよ!行き成り皆の前で歌わされてびびったよ・・・。何、あの巡音、て先生、何時もあんなに唐突なの?」
「いや、普段は割かしマシな先生だ。けど歌の上手い生徒が現れると帰国子女なので英語が出てしまい、そして目をつけられる」
「帰国子女なら英語の先生やりゃ良かったのに・・・。・・・て、目をつけられる、て?」
リンが問うとネルは あー、と面倒臭そうに宙に目をやり、そして携帯でレンを指しながら
「その説明はこいつにでも聞いてくれ。私はその目をつけられた生徒じゃ無いのでな」
と言った。
「んあ?何だよ?」
「巡音先生についてだ。目をつけられた生徒代表として説明頼む」
言うが早いがネルは携帯を高速で打ち始めた。こうなってはもう話は聞いていない。ハァ、と溜息をつくとレンはリンに説明を始めた。
「取り合えず言うとだな、巡音先生は耳が良い。絶対音感・・・とかでは無いらしいんだけど・・・兎に角耳が良い。だもんで歌の上手い生徒がいると文句なしで評価Aをくれる。・・・まぁこれは歌のテストの場合だけどな。んで、その生徒達を音楽祭で歌わせる、らしい」
「音楽祭で・・・?え、それってその選ばれた生徒全員、て事?」
「あぁ、確か去年ミク姉も歌ったらしいぜ。多分今年も選ばれんじゃねーのかな・・・」
分かんないけど、とポツリ レンが呟いたのと同時に教室に辿り着いた。
「・・・さて」
パタン、と携帯を閉じ、これまで会話に加わらなかったネルがリンの方を向いた。
「リン、この学校は学食があって、生徒は弁当でも学食でもどちらでも良い、と言う事になってるが・・・如何する?」
「あ、そうなんだ!んじゃ学食!いやー、今日うっかりお弁当忘れちゃってさー・・・」
えへへー、と照れ臭そうに頭を掻きながらリンは言った。
「? 珍しいな、おばさんが弁当忘れるなんて」
「あー・・・。まぁ、ね」
レンの問いかけにリンは苦笑いで返す。レンはその笑いが気になったが取り合えず気にしない事にした。
「学食ならミクもいるだろうし・・・。レンは行くか?」
「ん?あぁ、おう」
ネルに問われ、レンはコクリと頷いた。
「あ、三人共、来たね!席取っといたよ!」
学食スペースに行くと、ミクが目敏く三人の姿を捉え、ブンブンと腕を振り、居場所を教えた。
「高校生にもなってあほな事するな、アホ」
「ネルちゃん酷いなぁ!相変わらず!」
ガタリ、と椅子を引き、其々席に着く。
「リンちゃん、どれにする?私的には日替わりランチとかお勧めだよ!」
「あ、それ良いかも!・・・あ、でもこっちのオムライスとかも美味しそうだなぁ・・・」
「うんうん、オムライスも美味しいよ!え・・・と、私は日替わりランチにハヤシライス、それから軽くカレーライスでもよそって貰おうかな」
『重いな!』
「え、でもこれ何時もよりは少な目・・・」
「ミク姉食べすぎだから!幾ら部活で運動するからって・・・」
「では私はラーメンとカツカレー(大盛り)とスパゲッティのミートソースでも食べるとするかな」
「ネルも多っ!」
「? 何時もより少な目だが?」
「可笑しいから!何か可笑しいから!」
「そういうお前は何頼むんだよ・・・」
「あ、あたしはオムライスにラーメンに、チャーハンの大盛りでも貰おうかな」
「・・・お前も変わっちゃいねぇよ・・・」
「? 何か言った?」
「んにゃ別に・・・」
? と小首を傾げたリンに、
「ちょっと、鏡音さん、良いかしら?」
と声を掛けられその方を向けば其処にいたのは金髪の髪を長く伸ばし、フワリとウェーブ掛けられている見た目は綺麗なクラスの女子が立っていた。その後ろには十人程の女子が影の様に着いていた。
「・・・?何ですか?」
「ちょっと来て欲しいの。駄目かしら?」
クスリ、と冷やかす様にその女子は笑った。ス、とミクの目が鋭くなる。
「・・・良いですよ。あ、レン、あたしの料理来たらラーメンは食べて良いよ。伸びちゃうから」
「・・・・・・あぁ」
ガタリ、と席から立ち上がり、リンはその女子達の後を着いていった。少しばかり距離を置いてはいるが。
「・・・殺気立ってたな、あの女子達」
「お、レン君、気付いたんだ。流石次期空手部のエースだね」
「誤魔化さないで下さいよ、ミク姉。元はと言えばミク姉の目つきが変わったから気付いたんですよ。・・・まぁ、授業中も殺気立ってはいましたけどね」
「ホゥ。レンも流石に気付いてたか。・・・何かあったら私とミクが・・・ってミク!」
ふとネルが隣にいる筈のミクに目をやろうとしたら、其処にミクの姿は無かった。
「・・・悪い、レン。ちょっと一悶着片付けてくる」
「あ、あぁ。頑張れよ」
「分かってるさね」
フ、と不敵に笑うとネルは駆けて行った。
「・・・さて、如何したものかねぇ・・・」
現在、リンはと言うと、屋上へ行く扉の前で少し考えていた。
『中に入りたければ入れば良いわ』 とあの金髪ウェーブ女(と、リンの中で決定した)は言ったが、中に入れば間違い無くネルの言っていた「一悶着」がありそうだ。
・・・まぁ、悩んでても仕方ないし、それに・・・
「あたしは売られた喧嘩は買うタイプだしね・・・」
ニヤリ、と不敵に笑うと、リンは構えながらその扉を開いた。
「はっ!」
「!」
開けた瞬間、ブン、と拳が襲ってくる。リンはそれをスルリとかわし、パ、とその腕を取り、パン、と足払いをする。
ドサッ と背中を強打し、その拳を振ってきた少女は痛みからか、蹲ったままリンにはもう攻撃を仕掛けてこない。
「なっ・・・、旗幟がやられた・・・!?この中でもかなりの遣い手なのに・・・!」
金髪の少女がうろたえていると、リンは「あぁ」と納得した様な声を出した。
「やっぱりこの子、そういう系統やってたんだね。けど爪が甘い。ガードが弱いよ。そりゃああんなに胴をがら空きにさせてりゃあねぇ」
「っ!」
金髪の少女はグ、と下唇を噛むとス、と片手を振った。すると周りの女子達がズラリと並びグルリとリンを囲んだ。
「・・・」
リンは冷静に女子達を観察する。竹刀を持っているのが5人、拳に布を巻きつけているのが3人、そして、素手なのが、金髪の女子を含め三人。
竹刀、折っちゃっても良いかな?けど竹は撓るからなぁ・・・。まぁ、良っか。成り行きで折ってみせちゃおうじゃないか
フゥ、と息をつくと、リンはス、と構えだした。
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音坂@ついった
ご意見・ご感想
リンかっこいいリンかっこいいリンかっこいいリンかっこいい(黙)
再会シリーズにすっかり心奪われてます。鈍いレンにキーッてなりますけど、それもまたよし……!
ミクの素敵なお姉さんっぷりもたまりません。楽しみにしてます^^!!
2010/05/25 18:39:36
lunar
こんにちは、いや、今晩は、ですかね?
リンカッコいいですか?そうですか、有難う御座います!
レンは鈍い子!でもきっといつか気付く・・・筈(←
ミクは次恐ろしくなります。打ってたのに消えてしまった・・・!
約一時間かかってた私の時間返せ・・・!
・・・ハッ!し、失礼しました!
楽しみにしてて下さいね!コメ、有難う御座いました!
2010/05/25 18:55:36