ある少女がいた。
彼女は超能力を持っていた。
――未来予知
彼女の目には『少し未来』の風景が映っていた。
その『少し未来』が一分後なのか。
はたまた一ヶ月後なのか。
彼女には分からない。
とにかく『少し未来』なのだ。
例えばそこに佇む街路樹。
いつものような登校風景。
学校へ向かう彼女。
ふと彼女はその木を見上げた。
青々と爽やかに生い茂る葉。
その中の細い一つの枝に手を伸ばした。
――ボギリ、
嫌な音を立てて折れた。
すると木に変化が起きた。
青い葉が溶けるように消えた。
枝が老婆の腕のように枯れた。
彼女の目にはそう見えたのだ。
それは、枝が無生物に分類されたからである。
彼女の目に映る風景は。
彼女の目に映る全ての無機物は。
すべて『少し未来』なのだ。
その時間は彼女にも分からないのだ。
そこの道を行く人間は至って普通。
だがそれは彼らが生きているからである。
彼らが身にまとっているものは違う。
ある男性がもつ携帯電話は水がしたたっている。
ある女子高生が乗る自転車は崩れそうなほど錆び付いている。
ある少女がまとう白のワンピースは引き裂かれてボロボロ。
彼女の目にはそんな風に映っているのだ。
生物の未来は決して見えない。
無生物の現在は決して見えない。
そんな中途半端な未来予知。
――近くにいた男性が怒鳴る。
「こら、君!枝を折っては駄目だ!」
街の清掃員だそうだ。
枝を折ったことに怒っているようだ。
彼女は老婆の腕を放り投げ、踵を返した。
「ただいま」
彼女は家に帰ってきてしまった。
家には母がいるはずだった。
しかし何の返答もない。
両親は彼女が持つ力に恐れを抱いた。
それからはずっと彼女を無視している。
居間で汚れた洗濯物を畳む母がいる。
得体の知れない物を見る目で彼女を見る母。
異端だと罵倒してただ彼女を傷つける父。
彼女は母に学生鞄を投げつけた。
そしてすぐに二階の自室へ向かった。
階段を駆け上がる途中。
母が何言か喚いていたような気がした。
だがもう彼女には関係のないこと。
彼女が心を許すのは一人の友人だけだった。
他人とは思えないほど恐ろしく顔の似た少年だけだった。
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2010/01/01 18:13:43