15話 ホワイトデーで誕生日…だったな。
珍しく鳥のさえずりで起きたすがすがしい朝。
というかいつも囀るやつがいないんだけど。
「…帯人?」
部屋は俺一人。
「まあ、いっか。好都合だし。」
今日はあいつの誕生日でホワイトデー…つまり弾乃に3倍返しでプレゼントさせられる挙句にあいつの1倍返しの毒―もとい手作り料理を貰う予定があるわけで、弾乃が来る前に帯人のほうをどうにかしないとタイムアップでバットエンドが待ってる。
それに、せっかくなら一人で準備してびっくりさせてやりたい。
と、いうわけでさっそく買い出し。作ってやる時間がないからな。期末テストに学校の部活勧誘ポスター書かせられるのに…ああ!忙しい!ほんとは弾乃の料理でぶっ倒れる前にそっちやった方がいいけど明日は幸い休みだ。そこでやろう。
買った奴で悪いけど、とりあえず弾乃には高い菓子、タイトには…どうしよう?
「お、これでいいか。」
ふと目にとまったのは子供も使える割と安全な料理道具セット。あいつ火事が好きだけど、片目で距離感が取れないせいで両氏が危なっかしくて仕方ない。
キレ味悪いと文句言われそうなおもちゃのような包丁とかが入ってるセットにしておいた。これでちょっとは怪我が減ることを祈ろう。
3っかに一回くらい料理に挑戦して指切ってるし。
「あと、これかな。」
ホワイトデー用にラッピングされた箱。青いリボンと白い包装紙でカイトみたいなカラーだけど…。
誕生日とホワイトデー一緒じゃ不憫だし。
帰りがけ、ついでに寺の住職に桜餅をあげようと思って寺に寄った。…まあ、ほんとは家に帰って弾乃似合うのが嫌で現実逃避しに行きたかっただけだけど。どうせあるだろう柏餅も食べたかったし。
「・・・あ。」
近道に墓場を通ってるときに人影発見…帯人だった。
遠くでたった一声もらしただけで、こっちに気づいてやってきた。音で俺だってわかったからだろうな、驚くそぶりも振り返るときにはなかったのは。
「サイ!買い物行ってたんですか?すいません、今日買い物行くなら勝手に出かけないでついてった方がよかったですね…。あ、あんまりにも気持ちよさそうに寝てたんで、起こさなかったんですけど朝のうち起きれました?」
あー、一気にしゃべるな。
「いや、買い物は一人でしたかったからいい。朝のうち起きれた。」
「よかったー。体内時計狂っちゃいますもんね。寝だめって体に悪いし。あ、描き沖見ました?一様リビングに置いといたんですけど…」
「そうなのか?見なかった。弾乃んちでアカイトに付き合わされてるんだと思ってたし。」
勝手に出てバツが悪いのか、墓場にいたのを見られて気まずいのか。思いつく限りの話題で話してるらしい。
「…別に咎める気もないから、そんなビビんなよ。ほらこれ。」
「へ?」
押し付けた箱2つ。驚いた顔がとたん笑顔になった。
「わー!サイ誕生日覚えててくれたんですね!サイ、サイ!嬉しいです!」
「分かったから、ちょっとは黙れ。」
んと、帯人っぽくない帯人だよな…
「すいません、うれしくってつい。」
…満面の笑みか。
喜んでもらえたならよかったよ。
「じゃあ帰るか。」
「はい!」
帰宅後、この笑顔が苦痛にゆがむと思うと順番を間違えたかな、と、思った。
…まあ、弾乃の毒のあとで今日中に渡せる自信皆無だけどな。
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