第一章 第二話
「グミちゃん、ただいま」
家に帰ったミクは、おそらく部屋で勉強をしているであろうグミに声をかけた。
しかし、返答はない。
「?」
おかしいと思ったミクはそっとふすまを開ける。
普段なら、明るい声で「おかえり、ミクちゃん」と言ってくれるのだが。
今日はそれがない。
というよりも、物音すらない。
「グミちゃん?・・・っ!!」
そこには、誰もいなかった。
ミクは部屋を見回すが、いない。
そして、部屋の真ん中で一通の手紙を見つける。
それをみて、確信する。
「が・・がくぽ・・兄さん・・!」
気づけば、走り出していた。
第八工場 PM6:00
「レンくん、お疲れ様」
「あ、ルカさん」
作業着の裾で機械油をぬぐっていたレンにハンカチを差し出したのは、れんよりいくつか年上の女性、『巡音ルカ』
ふわりと綺麗な髪の毛が揺れる。
「はぁ、最近ますますハードですよね」
「仕方ないわよ、最近米軍からの攻撃強くなってきたもの」
「・・・やっぱりそうですよね」
「うん・・。そろそろ本番、ってところかしら」
二人は定まらぬ焦点のまま、ぼーっとしていた。
その時、後ろから大声が聞こえて、ぱ、と焦点が合う。
「レンくん!ルカさん!」
声を張り上げて駆け寄ってきたのは、隣の第七工場で働いていた亜北ネルだった。
その後ろに行きも絶えたえの弱音ハクの姿。
「ネル?どうしたのさ」
「ハァ・・ハァ・・た、大変なの」
「大変?何が?」
「がくぽさんが・・がくぽさんがぁ!!!」
そこにあるのは、ただ一つの確信だけだった。
「兄さん・・・!」
商店街 PM6:30
「グミちゃん・・グミちゃんどこ!?」
「ミク姉!グミさんは!?」
「どこにもいないの・・ど、どうしよう・・レンくん・・」
「泣かないで探そう!めーこ姉さんもカイト兄さんも来てくれるって!」
「う・・ひぐっ・・うぅ」
泣くミクの腕をひいて、レンは走り出した。
「レン!そっちにはいた!?」
「ううん・・・いないんだ」
「どうしよう・・グ、グミちゃん・・自殺とか」
「やめなよミク姉!すぐに見つかるって・・・!」
皆、もしかしたら・・・といやな方向にばかり考えてしまう。
レンは、絶対にそんなことはない!と首を振った。
レンはネルに「ミク姉をお願い」と言い残し、再び走り出した。
(グミさんが行くところなんてわからないよ・・・!)
そう、わかるはずがない。
今の戦況でむやみに外に出歩くはほとんどない。
なので、リン、レンはもちろんの事、ほとんどの者は外に出かけることなどできない。
なのでグミが行きそうな場所など見当もつかないのだ。
「くそっ・・・グミさん・・グミさ・・」
そこでは、と息を止める。
大声で名前を叫ぼうとした瞬間、見つけたのだ。
揺れる、綺麗な緑色の髪の毛を。
「グミさん!グミさん!!!!」
レンはただ一心不乱に叫んだ、彼女の名を。
彼女はそっと振り向く。
レンは、もう一度息をとめた。
「レン・・くん・・・」
その泣きはらした瞳を見て、レンは途端に何も言えなくなった。
あぁ、なんで僕らがこんな目に会うんだ。
「レンくん・・レンくんっ」
「グミさん・・・」
「にいさんが・・・兄さんがぁああああ!!!!!!」
レンの中でのグミの印象は、明るく、元気なお姉さん。
そんなお姉さんが、ただ悲痛な叫びをあげている。
愛しい兄の名を載せて。
「あああああああああああああ!!!!!」
レンは、空に向かって強く吠えた。
なんで・・・なんで俺たちなんだ
歯車の崩壊が始まる。
そして、
「あら?郵便?」
ここにも一つ、崩壊へ誘う悪魔の手。
「っ!!!!!!」
あらわれた、赤い紙。
メイコは走り出し、居間でテレビを眺めるカイトをただ強く抱きしめた。
「め・・めーちゃん?」
「いや・・いやっ・・いや!!!!!」
「どうしたのめーちゃん!?」
「いやよ・・カイト・・カイトだけは・・」
カイトは何事かとメイコを見た後、見つけてしまった、『それ』を
床にひらりと舞い降りた、赤い紙を。
「あか・・がみ」
そして、その亀裂は大きくなっていく。
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ご意見・ご感想
lunar
ご意見・ご感想
こんばんは。また送らせて頂きます。あ、しつこかったら言って下さいね? 調子に乗ると毎回送る様になるので。
割り切れないと思いますよ。特に、大切な人を失った人達には、すっごく深い、もう私達には想像もつかない位、大きくて、深い傷を負ってるのだと思います。終わった今も、ずっと、ね。
いたと思いますよ、強く、強く、諦めずに、明日を生きようと頑張っていた人達は。
いえいえ、私のなんてただのその場の思い付きで ガッと書いてるので読み返してみると「何だこれ・・・何書きたかったん? うち」て言うのが結構ありますよ・・・。うぅ・・・。
いえいえ、もう充分に御持ちじゃないですか! 黒えんぴつさん、幾つですか!? 因みに私は高2のミクと同い年です。あ、でも今月誕生日だから17になっちゃう・・・。
私の所にメッセ下さる人達は皆、年下なので・・・。
あ、どうぞどうぞ、いらして下さい! 駄作ばかりですが、コメントなど下さるとうれs(ry
・・・失礼しました。あ、無理はなさらない様に気を付けて下さいね。それでは、二回目のコメント、失礼しました。
2010/07/08 21:15:32
りお@黒えんぴつ
こんばんわ!!またありがとうございますっ!
いえいえ!!メッセージ送ってくれるとうれしいですっ!!!!
逆に私が調子にのってニヨニヨしちゃいますよ(ry
そうですよね。
自分たちが望んで戦場に行ったわけじゃないんですからね。
そんな理不尽な理由で大切なひとを失って、それでも強く生きようとしているんでしょうね。
いくら戦争が終わっても、悲しみは消えませんからね・・・。
私も思いつきで、テンションあがった瞬間に「うぉおおおお!」と書いていくんですが、書きたいものがまとまらず最終的に「あれ?え??」みたいになるんですw
それでかなり加筆して「まぁ、なんとか・・いいよね?」みたいな感覚で投稿してますw
私は一応14ですね。あ、でも今年で15ですw
ミクと同じ!私はとりあいず12月までは鏡音姉弟と同じ年ですw
私にメッセくださる方は年下or同じ年の方が多いです!
なので年上の方からメッセもらうと飛び上がります(←
もう必ず行かせてもらいます!
ガリガリガリガリと調子にのってコメントしまくっちゃうかもしれませんが(
はい!今テンションが上がっているうちに三話目を書きたいと思いますw
2010/07/09 00:51:11
lunar
ご意見・ご感想
こんばんは。始めまして。lunarと言います。
新着を見ていた時に、題名が面白そうだな、と思って読んでいったら嵌りました。
戦争時ですか、舞台は。悲しいですよね、戦争って。
どこぞのお偉いさん方の為に死んでいくのは平民であって、市民であって、兵隊であって、何時も死んでいくのは罪も無い人達で。誰かの欲の為に、沢山の人達が死んでいって。結局残るモノなんて、何も無いんですよね。ただ、拭う事の出来ない、一生消える事の無い悲しみと、深い、深い深い決して癒えない傷と、そして、孤独感。喪失感。
失うモノばかりで、得られるモノなど、決して無い。けれど、人間はその事に、気付かないまま、終わった後に、気付くんですよね。今更遅いのに。手遅れなのに。意味が、無いのに。
・・・すいません、初めての癖して訳の分からない事書き連ねまくりました。本当にごめんなさい・・・。
文才があって良いですね! 羨ましいです。私の文章滅茶苦茶だからなぁ・・・。
それでは、ここらで失礼させて頂きます。続き、楽しみにしていますね。では。
2010/07/08 20:05:56
りお@黒えんぴつ
初めまして!読んでくださってありがとうございます!!!!
そうですよね・・・。
何も罪もないのに、なぜ死ななければいけないのか。
仕方ない、とか、国のため、だとかで割り切れないと思うんですよね・・。
大切なひとを、「お国のために」という理由で失うというのは本当につらい・・。
そんな戦争中でも、強く生きていた少年たちもいるはずだ!と思い書き始めました!
lunarも私とまったく同じ考えで・・
読んでいてびっくりしましたw同じ事を考えている方もいるんだなーと・・
ちょっとうれしくなりました^^
文才!?いやいや!まだまだ修行中です!
lunarさんも小説を書かれているようで・・!
今度読みに行かせてもらいます(><)
ああ・・はまっちゃうフラグが!
続き早めにあげますね!!!ありがとうございました!!
2010/07/08 20:13:50