「マスター、体調はどうですか?」
 


昼を少し回った頃。
ミクが寝室に入ってきて言った。
俺はベッドから起き上がって、「大丈夫だよ」と返事を返す。
 


「昨日はごめんな、ミク」
 
「そんな……私の方こそ味見もしないでご飯出したから……」
 
「なっ……いや、気にするな」
 


あまりの味付けに予想はしてたが、まさか味見しなかったとは……。
俺は少し引きつり気味に笑ってミクの頭を撫でた。
どうやらこれは癖になってきたらしい。
そう思いながら俺は、今日はなにをしようかと考えを巡らせた。
予定もないのでいつもならネットを開くところだが、今はミクがいるのだ。
せっかくだからミクと何かしたい。
そう思って俺は言った。



「なぁミク」
 
「なんですか?」
 
「俺に作詞と作曲の仕方を教えてくれ」
 
「え…?」
 
「せっかくミクが居るんだから、歌って欲しいだろ?」



柄にもなくこんな事言う俺はどうかしてるのかも知れない。
けれど



「は、はい!私、頑張ります!」



ミクが本当に嬉しそうに笑うから、
たまにはこういうのも良いのかも知れない。
とりあえず半日以上かけて、
作詞はどうとでもなるからと徹底的にミクから作曲について叩き込まれた。
俺の家には楽器なんかはないので、ひたすら打ち込みの仕方を覚えた。



「良いですか、マスター?此所はこうしてですね……」



俺に教えてる時のミクはとても楽しそうで、提案して良かったと思った。



「もう!さっきからそれは違うって言ったじゃないですか!」
 
「すみません……」
 


例えスパルタであっても……。



夕方を少し回った頃。
俺達は台所に立って、二人で料理を作った。
なんだかんだで自炊をしてて料理が得意な俺は、
ミクに味付けの仕方や色々食べ物の作り方を教えながら楽しくやった。



「うん、美味い」
 
「マスターが教えてくれたお陰です」



そう笑うミクが作った料理は、昨日のものとは段違いだった。
教え込んだだけあって美味い。
あぁ、普通って素晴らしい。
 


「明日は詞も作って歌おうな」
 
「はい!」

  



―その夜、
味噌汁の豆腐が傷んでいたのか、
俺は腹を下して一日中トイレと仲良くする羽目になった。

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Song of happiness - 第3話【2日目】

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投稿日:2010/09/28 12:06:20

文字数:967文字

カテゴリ:小説

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